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3819695さんのコメント: 点数順

★4浜辺の女(1946/米)何かがおかしい。ひとつびとつのカットが、繋ぎが、どこかおかしく、それが不安と恐怖を煽り立てる。「昼の光」と「海辺」がそう呼ぶことをいささか躊躇わせるが、しかしこれはファム・ファタルをめぐる堂々たるフィルム・ノワールだ。 [review][投票(2)]
★4リトル・ショップ・オブ・ホラーズ(1986/米)フェイク度の高いブラック・ミュージックとでも云えばよいのか、とにかく音楽にノリがあってよい。とりわけ町じゅうを巻き込んでの“Skid Row (Downtown) ”は泣き笑いながら踊るしかない名曲だとさえ思う。このシーンはミュージカル演出(人物/カメラの動かし方)もなかなか魅せる。 [review][投票(2)]
★4ヴァイキング(1958/米)血の繋がりがある(ことを知らない)者同士の争い、という神話的悲劇の側面はいいかげんにしか前景化されないが、そんなことはどうでもよい。ジャック・カーディフの撮影には惚れ惚れするばかりだし、アクションシーンは迫力満点。そしてフライシャーらしい無駄な面白さに溢れている。 [review][投票(2)]
★4赤線地帯(1956/日)冷たく醒めきった画面は、しかし触れれば火傷をする。もはや笑うしかない出来事ばかりが繰り広げられるが、その笑いはいつしか引き攣り、やがて声を失った自分に気づくだろう。溝口健二は最期まで引き裂かれた映画を撮り続けた。 [review][投票(2)]
★4黄色いリボン(1949/米)どうしてフォードだけが(というのは云い過ぎだが)ここまで疾駆する馬の速度感を画面に収めることができるのだろうか。ジョン・ウェインの「老い」を以って「戦わないこと」の西部劇を正当化しつつ、活劇性の確保にも余念がない。風景(=撮影)の力は云うに及ばず。ミルドレット・ナトウィックのキャラクタもよい。[投票(2)]
★4シャイアン(1964/米)確かにこれは贖罪の意識を持って撮られた映画なのだろう。そのフォードの誠実さを疑いこそしないが、それがために活劇としての面白さが不徹底なものになってしまったのだろうし、またその贖罪がどこまで「通用」するものなのかも分からない。それでもこれはフォードらしい美しさに溢れた映画だ。 [review][投票(2)]
★4Ray レイ(2004/米)光の操り方に癖を持つユニックな色調の画面は紫煙を印象的に浮かび上がらせるなどして、それだけで全篇を見せきってしまうところがある。やはりパヴェル・エデルマンは注目しつづける価値のある撮影者だ。 [review][投票(2)]
★4野性の少年(1970/仏)「教育」はその人間の在り方を根底から変えうる崇高で怖ろしい行為だ。だから誠実なトリュフォーは、トリュフォー的な「愛」でもあるところの「教育」を命懸けのアクションとして撮る。これは野性児という生粋のアクション人間を相手にした命懸けのアクション・メロドラマだ。 [review][投票(2)]
★4スティング(1973/米)ヒルの演出は厳格さを欠くが、タイトルバックの人物紹介・絵を用いた章立て・ワイプやアイリスの多用なども含め、厳格さの欠如ぶりに関しては一貫している。この一貫した緩さこそが多くの観客に愛される所以かもしれない。有効に演出されてはいないものの、ポール・ニューマンの隠れ家に回転木馬があるといった細部も好印象。[投票(2)]
★4ある結婚の風景(1973/スウェーデン)具体から一般へ。特殊から普遍へ。エルランド・ヨセフソンリヴ・ウルマンという具体的な一組の夫婦を描き詰めることで、人間が結びうる「関係」の本質を目指す。実に的確で見事な演出であり演技だ。だが、だからこそ感動や共感よりも驚きを映画に求める私にはいささか物足りなくもある。 [review][投票(2)]
★4雪国(1957/日)豊田四郎安本淳の見事な仕事。ロングテイクの多用と正確なカッティング・イン・アクションがシーン内の連続性を担保し、緩やかに情感を育む。それにより岸恵子のキャラクタの突飛さも可愛らしさとして十分に正当化されている。川渡りなど幾つかのシーンの美しさはもはや壮絶の域。芸者市原悦子の異様さも忘れがたい。[投票(2)]
★4荒野の決闘(1946/米)冒頭十五分間が予感させる「復讐劇」としての厳しさはない。だが、奇跡的と云うほかない雲と照明。暗闇を切り裂く土砂降りの雨。ヘンリー・フォンダキャシー・ダウンズが踊り出すまでの時間の流れの濃密さ。馬車の速度感。発砲と殴打の所作の簡潔さ。フォードジョセフ・マクドナルドが描出する風景は果てしなく豊かだ。[投票(2)]
★4引き裂かれたカーテン(1966/米)このジュリー・アンドリュースはどうも好きになれないし、あまりにヒッチコック的すぎて「ヒッチコック的」という形容を超えるものをほとんど持たない作品だが、それでもこれを面白いと云わなかったら嘘になる。 [review][投票(2)]
★4ワイルド・アパッチ(1972/米)これはとても厳しい映画だ。私には厳しすぎたのかもしれない。その厳しさとは残酷描写やドッグ・キャニオンでの凄絶な殺し合いのことでもあるのだが、それ以上に作中人物/観客がニヒリズムに陥ることさえも許さない厳しさのことであり、それは私たちを徹底的に宙吊りにする。 [review][投票(2)]
★4マーニー(1964/米)ヒッチコックらしい「母」をめぐる物語をロバート・バークスの撮影術が彩る。自在なカメラポジション/アングルによって醸し出される官能性。金庫破りシーンのティッピ・ヘドレンと清掃婦の画面配置。「めまいショット」で始まるフラッシュバックの不気味さと力強さ。 [review][投票(2)]
★4夕陽のギャングたち(1971/伊)レオーネのフィルモグラフィの中では最もロマンティックな物語とキャラクタ。しかし演出が若干空回り気味であることは否めず、レオーネ自身がその溢れるロマンティシズムを扱いかねているようにも見える。結果としてモリコーネの音楽もしょんしょんしょんしょん。 [review][投票(2)]
★4ヴェラクルス(1954/米)バタバタと人が死ぬカネ本位の展開ながらも一抹のロマンティシズム漂う物語や埃っぽい画面は、後のペキンパー西部劇やマカロニ・ウェスタンの礎となったか。もっぱら利害関係に基づいた協力と裏切り。 [review][投票(2)]
★4陽のあたる場所(1951/米)新聞・ラジオの使い方や湖の対比が上手い。特に観客に向けての状況説明のためによく用いられた新聞という小道具を使って、シェリー・ウィンタースモンゴメリー・クリフトエリザベス・テイラーの関係に勘付く契機とするとともに、改めてクリフトの上流階級入り(及びウィンタースとの懸隔)を印象付けるあたり。 [review][投票(2)]
★4ナイト・オブ・ザ・リビングデッド ゾンビの誕生(1968/米)人間の負の面を照射する装置としての異形の者リヴィング・デッド、というすぐれて文学的な着想を一篇の映画作品へと仕立て上げていくロメロの手際は見事の一言。 [review][投票(2)]
★4バーバー(2001/米)これは「言葉」をめぐる映画だ。それはビリー・ボブ・ソーントンのキャラクタのユニックさと無縁ではない。エド・クレインという「寡黙な男」を饒舌なモノローグによって造型していくという方法論。 [review][投票(2)]