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町田さんのコメント: 点数順

★4ある一日のはじまり(1999/カナダ)「はじまり」があれば「おわり」もある。両者はいつもつながっている。「動く視点」の表現が見事。[投票]
★4(秘)湯の町 夜のひとで(1970/日)コントラストの効いた白黒映像と、常に画面の何処かに配置された水の流れが、劇中劇の活弁にもある、流れ者の侘しさをいやがおうにも補完して、ポルノ・ジャンルに留め置くには勿体無いほどの旅情溢れる秀作に仕上がっている。ノスタルジーと同時にモダーンなポップさを感じさせる音楽も吉。脚本は大和屋竺の変名。[投票]
★4怪談せむし男(1965/日)西村晃、及びイタコ鈴木光枝の熱演に尽きる。石坂金田一に先駆けて加藤武の無責任推理も満喫。当時話題を呼んだ澁澤龍彦『黒魔術の手帳』からの影響をどれ程受けたか知らないが、黒魔術と聖女崇拝とは良く出来たハッタリじゃないか。[投票]
★4暗黒街の女(1958/米)その絢爛たるケバケバしさの中に顕れる自負と自嘲、これぞ映画=ショウ=娯楽であるという、ニコラス・レイの矜持を観た。シド・チャリシーリー・J・コッブが素晴らしい。[投票]
★4ミリキタニの猫(2006/米)至る所に見出せる「映画」としてのシタタカサ。撮影終了から世に出すまでの「間」の取り方も絶妙だ。[投票]
★4サラバンド(2003/スウェーデン=伊=独=フィンランド=デンマーク=オーストリア)愛される資格は、それを喪うことに怯える脆弱な魂のみに赦れるのか。死にのみ苛まれる屈強な知覚は、所詮束の間の愛しか知りえないのか。己が魂の孤独と不毛を抉り出されることの、しごく爽快で甘美な不快感。私にもベルイマンが必要だ。[投票]
★4浮世絵残酷物語(1968/日)浮世絵XポルノX怪談XSFX忠臣蔵。極彩色に迸る稚戯。女優の肌の白さも然ることながら、男達の声の深さが印象に残った。[投票]
★4日曜の人々(1929/独)1929年、大恐慌以前のベルリンの、ごくごく平凡な良く晴れた日曜の風景。どこまでがワイルダーの功績なのかは不明だが、モデル=ワインセラー=レコード店員の、繊細な関係性の描写が絶品である。オイゲン・シュフタンによるドキュメンタルで開放感溢れる映像も、忘れがたい印象を残す。[投票]
★4婦人の困苦と幸福(1929/スイス)表面的には無認可堕胎が母体に及ぼす危険性を訴える医療ドキュメンタリだが、その背後には教会の、更に後ろには軍部の思惑(産めや殖やせや!)が透けていて、かなり胡散臭い。ただし映画としては素晴らしく、前半の再現ドラマ、特に無声のパートでは、モンタージュの正統が存分に味わえる。[投票]
★4最後のチャンス(1945/スイス)所謂越境脱出モノであるが、単なる反戦、単なる反抗に留まらぬ、高質なヒューマニズムを誇る傑作。台詞には英語、イタリア語、ドイツ語、仏語などが有りの侭に飛び交い、空間造形、キャラ立ちも素晴らしい。[投票]
★4霧笛(1933/仏=スイス)初歩的な仏語と独語の聞き分けさえ出来れば、殆ど字幕を追う必要もないほどの、チカラ強い映像、描写の数珠繋ぎ。ソヴィエト・サイレントを思わせる、実に無駄のない秀作である。愛犬の死から始まる復讐の連鎖、その悲劇を描いて、結末はやや甘口だが、ラストショットへの活動性には目を見張るものがある。[投票]
★4317小隊(1964/仏=スペイン)インドシナ戦争末期。劫掠と亡喪のカタルシス。過酷な戦場に於いて、ペラン演じる新米将校の騎士道精神が崩壊するまでの過程、その末路を、鬱蒼たる糞リアリズムと、祭祀的音楽で綴った、我が国のそれとも良く似た、堅調な反戦映画である。密林を這うクタールのカメラがひたすら素晴らしい。[投票]
★4背徳令嬢(2000/伊)ブラスの作品は全部見たわけではないが、これは劇場未公開の割りに良い方。特に女不動産屋さんとの絡みはコーフンします。公園を闊歩するオープニングシーンも楽しい。[投票]
★4昨日からの別れ(1966/独)独逸の映画刷新運動「オーバーハウゼン宣言」の名と体を表す記念碑的作品であり、東独からの亡命ユダヤ人女性の彷徨を描きながら、社会性ともメロドラマとも、一定以上の距離を保ち続けている。強いて言うならば痴呆症のカフカで、その軽薄な不条理感は、ヌーヴェルバーグと比べても尚新鮮だ。[投票]
★4ALWAYS 三丁目の夕日(2005/日)執心のSFジュブナイルを点景に、得意のVFXを装置として後景に、其々留め置くことで、一躍、山崎貴は日本人のティム・バートンに化けた。堤、薬師丸の掛合いは絶妙で、吉岡に屈折、小雪に陰影を注入した擬似家族愛パートも好感持てる仕上がり。スコープの使用は縦が窮屈だったが、色味は深く統一感があり、季節感や郷愁に溺れていない。[投票]
★4ボーイ・ミーツ・ガール(1983/仏)研ぎ澄まされたミニマルな空間に、虚しくも反響し続ける、ほろ苦い青春の叫び。 [review][投票]
★4デセプション(1920/独)明らかに『パッション』の二番煎じで、アン・ブーリン役のヘニー・ポルテンには、ネグリほどの魅力を感じ得ないのだが、E・ヤニングスはこちらの方が断然活き活きしてる。彼が演じるヘンリ8世君の破廉恥ぶりと、それを見てドン引きする女官たちの描写は、どれもとても可笑しい。特に前半の玉突きの茂みのシーンは最高だった。[投票]
★4ぼくの瞳の光(2001/伊)「良き運転手の心得は?」「黙るタイミングを知ることです」 [review][投票]
★4クーレ・ワンぺ あるいは世界は誰のものか?(1932/独)独逸版『ストライキ』。「前進」するスポーツ競技の躍動が、殺人的不景気に見舞われた伯林市街にモンタージュされるジャーマンアバンギャルド先駆作。やはり前進する列車の中で繰り広げられる珈琲論戦、ブレヒトの面目躍如とも云える「赤いラッパ」の寸劇シーンなど、見所は豊富である。それとヘルタ・ティーレ、客寄せパンダでも、かわいい。[投票]
★4ブルノの退屈(2003/チェコ)倦怠感溢れる冷ややかな都市の景観の中に土俗的・牧歌的なエロスを巧く調和させたチェコ産青春艶笑コメディ。青味かかった画面と、アルチンボンド的にグロテスクな野菜達がなかなかの効果を発揮している。語り口も流麗。[投票]