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エピキュリアンさんのコメント: 投票数順

★4オー・ブラザー!(2000/米)セピアの色調の絵が撮りたかったに違いない(次作はモノクロームだし)。裏ツインピークスっていうか裏スティーブンキングしながら(逆だけど)、そこからブルースがゴスペルがC&Wが生まれた奇跡を、素晴らしい寓話にした感じ。絵と感情と歴史が一体になった美しい佳作。彼らは音楽を底まで愛している。[投票(6)]
★5洲崎パラダイス 赤信号(1956/日)タイトルでさえあるのに、そのパラダイスを、橋を渡った向こうを、一度も見せないところが、素晴らしい。だから「隔たり」の映画になっているんだと思う。そこにある川は、なんども印象深く描かれるけどつねに危険な感じが漂う(ボートもね)。その空間の作りだけで、泣きそうになっちゃうよ。[投票(6)]
★4酔いどれ天使(1948/日)「沼」の映画だと思う。いつも画面の片隅にあの沼が映って、でもなかなかカメラはそれをちゃんと見せない(後半に泡のアップがあるけど)が、すべては沼の周りで起こる。たぶん象徴であり現実の沼。絵づくりの才能を感じます。[投票(6)]
★5トラフィック(2000/独=米)かすかに揺れ続けるカメラ(ドグマとは全然違う)とニュース番組の編集方法で、政治家や金持ち(トップスター)や警官やちんぴら(個性的な脇役たち)を平等に撮って平等に編集してしまう方法が、凄い。最後、政治家の選択に、個と公に対する新しい答えがある気がする。でも、英国のTV番組のドラマのTraffikのほうが、三十倍は面白かった・・。[投票(6)]
★5アンダーグラウンド(1995/独=仏=ハンガリー)笑っちゃぐらい何度も戦禍にまみれながらも、けちな悪党や女やその仲間が、阿呆のようにめげずに生きる。滑稽で悲しい。猥雑で優しい。凄惨で美しいこのカオスが、音楽、映像のリズム、人物の多彩さ、重層的な(つまり地上と地下と)展開など、すべての表現を一貫していて素晴らしい。[投票(6)]
★4暗殺の森(1970/伊=仏=独)すべての構図が、緊張感のあるグラフィックデザインのよう。つまり、どこにも息がつけない。窒息しそうな完全な構図、緻密に計算された光と影。でも、最後のシーン、構図が、ルーズになるんだよね。彼が自分は自分だと受け入れる時に、世界はくつろぐ、ということ?[投票(6)]
★5勝手にしやがれ(1959/仏)軽くて速度があってお洒落で明日がない。ベルモンドの泥棒に重い目的や古い倫理がないように、この映画にも目的も倫理もない。セパーグが成熟を保留しているように、この映画も成熟を保留している。ベルモンドが唇を指で撫でるように、この映画にも気になる癖がある。[投票(6)]
★4ソフィーの選択(1982/米)人間が壊れる瞬間を描いた、希有な作品でしょう。そういう選択を人間が人間に迫れるということを「想像」しただけでも、自分のなかでもなにかが大きくきしむ。人間がどこまで残酷になれるか、やはり直視すべきなんだと思います。[投票(6)]
★5仁義なき戦い(1973/日)なんてカメラがうまいこと。このぐらい、自由自在に群衆や人間の生態に迫れた時代があったんだなあ、と感心。そういえばNHKアーカイブで「新日本紀行」などのドキュメンタリーを改めて観て、当時のカメラのうまさに愕然。どうなってるんだろう。[投票(6)]
★4許されざる者(1992/米)なんか、作者が、ものすごく深く強く怒っているのが、分かる。もう、初めから終わりまで、怒っている感じ。でも、作者としてのイーストウッドが何に怒っているのかは、分からない。西部劇にか、映画にか、米国にか、家族にか、自分にか・・・。[投票(6)]
★5ロスト・イン・トランスレーション(2003/米=日)言葉が通じない外国で、なぜか親しいはずの夫や家族との意志疎通が不能になるお話。いやー、この状況設定がリアルだわ。仕事で訪れている海外での孤独が自分の内面を鮮明に写す出してしまうって切ないほどリアルで、笑いながら痛かった。小児的なキャラの国日本をよく忠実に捉えていたしね。照明をほとんど使わない撮影には勇気を感じました。[投票(5)]
★5テス(1979/英=仏)ナポレオンを諦めて撮った『バリー・リンドン』。シャロン・テートに捧げられた『テス』。そして途中で資金がなくなってしまった『天国の門』。なんだかこの三本は、映画というものの悲しさを表しているように思えます。こういう強度の映画が存在してそれを命がけで作る人間ってなんだろう、って思う。[投票(5)]
★5バーバー(2001/米)そこにいなかった男ねえ・・。こんな微妙なテーマを、よくまあ分かりやすく、しかも、面白い映画にしたもんですねー。ただただ感心。自分の中ではちゃんと考えているつもりで、じつは、なにも選択していない=つまり生きていない。こういう人っているよなー。自分の中にも居るし・・。怖いけど滑稽で哀しい。[投票(5)]
★4ウディ・アレンの重罪と軽罪(1990/米)悲劇と喜劇の差って?芸術と商業の境界は?本気と浮気はどこが違う?俗物と本物の違いは?純愛と玉の輿の見極めは?純粋なら最後に俗に勝ってる?世間を動かす物語と対抗できる?などなど、一般に信じ込まれているさまざまな対立概念が、じつは曖昧なことを暴き出す存在論的ゲーム。重層性に1点。[投票(5)]
★4サタデー・ナイト・フィーバー(1977/米)この作品、無意識に避けてました。いまのトラボルタは好きだけに。でも、純粋に映画としてよかった。いわゆる自立系の物語だけど、意図されたチープなキャスティングとコスチューム(そこからみんな成長しよう、出ようとしている)、チープなフィルムルック(ブロンクスを表現するため)が、絶望のなかのイノセンスをよく表していて、泣けたよ。[投票(5)]
★4海辺のポーリーヌ(1983/仏)ロメール氏は、わずかなストーリーと少人数のスタッフでも、ちゃんと映画がとれる、ということを、すごくチャーミングに証明してくれつづけてくれたけど、それに最初に出会ったのが、この映画でした。だってもう、このオープニング・シーンの必要十分かつ妙にエロい湿度に、感服でありまする。[投票(5)]
★5情婦(1957/米)具体的には書けないけど演出上の「お約束」を実に巧みに使って見る物を納得させてゆく事そのものが罠になっている巧みさ!。弁護士事務所と法廷の2場しかないから、これは十分に舞台でも成立すると思いきや、クローズアップの罠も待っている!。プロットだけではなく、演出の神業がここにあるもんね。[投票(5)]
★4ボーイズ・ドント・クライ(1999/米)なんども挿入される「早送りの夜景」が、登場人物たちそれぞれの孤独と焦燥を増幅していて泣けた。ブラントンとラナはもちろん全員が自分の寂しさ=自己の非同一性を抱えきれずに傷つきイライラするしかない現実。殺人を犯したあの2人さえも丁寧に描いていることに、監督の深い悲しみが感じられる。[投票(5)]
★1Helpless(1996/日)映画のことだけ考えて作ったんだろうなあ、と言う感じがした。日常が一瞬ずれて「出来事」が現れるか?等々。でもフィルム上には、何も起こらない。何も映らない。その人物の人生も、そこに揺れる木々の命にも、興味がないんだろう、と感じた。[投票(5)]
★4ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ(1984/米)なによりも、編集が良い。なんの説明もなく、カットつなぎで時代がぱっと飛ぶ、その残酷さ。それは主人公たちが運命にもて遊ばれるのと、呼応している。その表現の鋭利さを楽しむためだけでも、3回は見たかな。女のタメにレストラン借り切るダメ男の切なさも、たまらん。[投票(5)]