[コメント] ALWAYS 続・三丁目の夕日(2007/日)
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自分は、続編を望んではいなかった。マンネリズムに陥るのは見えていたからだ。でも、「三丁目」世界は大好きである。もう一度覗いてみたくなるのは人情ってもんじゃないか。
で、作品は続編なりの満足感と少しの物足りなさを感じさせて終わった。
物語はおおむね、前回決着がつかなかったこと、敢えて語られなかったが期待される出来事の連鎖である。家庭に入ってきた異物への鈴木一家の波紋、鈴木やトモエの過去、六子の幼なじみとの出会い、宅間の子供達との交流、これらのことが茶川の芥川賞への挑戦、そしてその結果としてのヒロミや淳之介との家庭への願いを軸に周回している。そして、総ては納まるべきところに納まり、最良の結末を迎える。これは『男はつらいよ』や『釣りバカ日誌』と同じ作劇法である。
だが、それゆえに前人未到の昭和再現に挑んだ第一作のインパクトを越えることは出来なかった。それは仕方のないことなのだろう、お馴染みの二作目のジレンマだ。とはいえ、これで第三作はありえないこととなったな、とは思う。あの世界が贅を尽くした画面に描かれたユートピアである以上、寅さん映画のように簡単に次回作を創れないことは見えてしまったからだ。
まして茶川家の物語には、一応の決着はついた。これ以上を描くとなれば、鈴木家のそれも本作に倍する喜劇的ストーリーを中心とするしかありはすまい。あるいは数年後、鈴木オートが発展し、長男が成長したのちのこととなろう。でもそれを本作に求めるものはいまい。この物語はこのへんでいいだろう。
そんなわけで、今度こそさようなら、三丁目。
(付記)戦死者の話のあとで「あっ、ホタルだわ」って薬師丸に堀北、君らは何という映画に出ているつもりなんだ?(笑)…それはそれとして、戦争を引きずるのは宅間医師だけに限ってほしかったものだ。あまりに生臭く、ユートピアとしての三丁目には明らかに不似合いだ。どうせ山崎貴も知らない時代の痕跡を無理矢理挿入するのは、エンタテインメントとしても避けるに越したことはない。
(付記その2)この映画の冒頭に登場する「Zilla」は、アメリカはおろか本家にも肉迫する出来であったことは特筆に価しよう。山崎貴には冗談抜きで一本撮ってほしいものだ。
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