[コメント] シザーハンズ(1990/米)
友達になりたいけれど、なりたくない。傷つけ、壊してしまうだけかもしれないから。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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…ナイーブな少年心理の暗喩たる主人公だが、彼には、「僕はここにいてもいいんだ!」なんて叫ぶことが出来る口もなかったし、手を叩いてくれる有難い周囲もなかった。怪物は最後まで怪物だったし、怪物に接する人々も結局は怪物を排除した。これは、御伽噺のようでいて、凍てつく現実そのままの世界なのだ。
でも、その現実にあって、心の底から理解し合えないのは、怪物と人間の間に限ったことじゃない。人間と人間の間だって同じ。いや、人間同士にあってこそ、人は孤独なのだ。だとすれば、彼=怪物との明確な境界線を持ち合わせている人なんて、この世のどこにいるだろう?
孤独…確かにどこまでいっても孤独なのだが、それでも、怪物である自分のことを気にかけてくれる人間はいる。ある人にとって、完璧に理解し合う事が出来ないにも関わらず傍にいてくれる誰かがいるように。
怪物の存在に対する、ハッピー・エンドには程遠い、ぎりぎりの肯定。それがこの映画の結論なら、この映画におけるティム・バートンの怪物への愛情はいつになく冷徹であり、深遠である。怪物は人間の影であり、常に現実の中に見出せる存在である、そんな彼の信条が彼自身によりストイックに問われた結果だと思う。
それにしても、ここまでジャストフィットなものを見せられると、少しひいて四点付けちゃう俺も、間違い無くシザーなやつです。
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