[コメント] マタンゴ(1963/日)
映画を見終った人むけのレビューです。
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皆さんコメントで「怖いのはマタンゴではなく人間心理」とおっしゃっている理由がよくわかった。極限状態の人間は、みんな何かにすがりついているのね。色に走る奴、金に走る奴、過去の栄光にすがりつく奴・・・一番冷静そうに見える「センセ」も「理性」というシロモノに必死にすがりついていたってことか、と終盤思った。それに比べると、マタンゴそのものは思っていたよりもずっとおとなしい性質で、「よろしかったら召し上がって」という感じの謙虚さがあり、どろどろになっていく人間たちと好対照だった。島のあちこちに生えているマタンゴが楚々とした美しさを感じさせるのに対し、人の身体に生えたマタンゴが妙に醜悪なのは、栄養源が醜い人間だからかもしれない。
それにしても水野久美さんの笑顔、スゴイ。まさに彼女はマタンゴ=安易な快楽の化身だ。イブがアダムに禁断の実を喰わせたときもきっとあんな感じだったに違いない。ま、言えばタコ殴りにされるのは分かっているが、私も一度は言ってみたいものだ。・・・「ハン!みんなアタシが欲しいのよ」・・・
ところで、劇中の天本英世氏を観た彼氏が、「アレはスタッフでも演じられるのでは?」と疑問を投げかけていた。が、私はあえてあのシーンに天本氏を起用するダンディズムがあったのだと信じたい。後半に難破船にあふれかえるマタンゴ人間たちと比べて、氏のマタンゴはどこか哀愁を漂わせ、「食べてしまった悲しみ」のようなものを感じさせていた。(と私は思った)
やっと観ることが出来たマタンゴ。この世界は当分二人の間で流行りそうだ。(既に台詞の引用大会状態となっている。「センセ〜、おいしいわあ」とか「ばかっ!あいつら半分キノコだ!」とか)。
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