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[コメント] PLANET OF THE APES/猿の惑星(2001/米)

テンポは良いけど深刻さはない。ファンタジー・コメディーと思って楽しもう。ティム・ロスは素晴らしい。 #追加「猿の惑星」のタイムテーブル(01.08.07)
らいてふ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







お笑いシーンの連続でテンポは良いけど深刻さはない。旧作のようなSFサスペンスではなく、旧作のパロディーか、ファンタジー・コメディーと思って楽しもう。ティム・ロスのセード将軍の演技は素晴らしい。

きどっている猿人が興奮するとただの猿に先祖がえりしたり、主人公が脱出中に主要猿の寝室を次々と踏み倒していくなど、お笑いシーンが連続。テンポは良いけど深刻さはない。旧作のようなSFサスペンスではなく、旧作のパロディーか、ファンタジー・コメディーと思って楽しもう。

チンパンジーのセード将軍を演じたティム・ロスはよかった。なりきり大賞に1点。各種族の緻密なメーキャップ(猿ヒロインを除く)にもう1点。

噂によると、チャールトン・ヘストンが出てたそうだ。どこだろう。ひょっとすると、猿人誕生の秘密を伝えてガクッと死んじゃうセード将軍の親父老猿かな??

P.S. ラストシーンはいくつかのバージョンが存在するらしい。日本向けには、パトカーの中からいかりや長介が出てきて「だめだこりゃ」の一言で終わるのが良かったかも(笑)。

このときの評価が2点。

#追加レビュー「猿の惑星」タイムテーブル(01.08.07)

猿の惑星は地球だったのかどうだったのか。最後のシーンはなぜ成立するのか。始めはコメディーだと思って、考えてもしょうがないと思っていたがタイムテーブルを作り始めたら意外なことが見えてきた。

すべての始まりは、実験猿を遺伝子操作で賢くしたことである。そして磁気嵐が出現し、一年前の電波を跳ね返してくることが時間旅行の予告。チンパンジーのペリクリーズは磁気嵐に突入し、遭難する。続いて、救出に向かった主人公レオも磁気嵐に突入。そのあと母船オベロン号は謎のSOSを受信(とぎれとぎれの映像にうつるのはオベロン号の艦長自身)。

一方磁気嵐から吐き出されたレオは、とある惑星に突入。この惑星、しゃべる猿が人間を制圧している。大気には酸素があって、動植物は地球とほぼ共通。ただし、衛星が大小ふたつあって夜空には月が二個輝く。そこで数千年前に不時着したオベロン号を発見。記録から、レオを救うために磁気嵐に巻き込まれた模様。このときのSOS画像が、前出のものと同じ。その当時、セモスという猿が反乱し人間を制圧し、猿の惑星を創造したことが明かされる。レオが猿と戦い、セード将軍に殺されそうになったときにペリクリーズがご降臨(笑)。セードを母船に閉じ込め、ペリクリーズを残しレオが出発。惑星外から眺めた猿の惑星は、地球とは似ても似つかない外観。

さて、ここまでを検討する。大気の組成と動植物が似通っていることを考えると、ここは地球っぽい。チンパンジーと人間はオベロン号の生き残りと考えられるので、英語をしゃべっていても不思議はない。ただし、月が二つになって惑星のほとんどが陸地になっているのはあまり地球らしくない。月はもともと遊走していたのを地球が捕獲したという説もあるのだそうだから、二つに増えてもOKか?陸地は地殻変動?どちらの可能性をとるかだが、いちおう私は猿の惑星と地球は別の星だと考えた。

つぎに磁気嵐だが、ペリクリーズ、レオ、オベロン号の順に巻き込まれたのにも関わらず、猿の惑星には「逆の順」で出現したことになっている。これがこの作品最大の個性であり、最後のシーンの謎解きのヒントになる。この磁気嵐は、別空間へのワープホールとともに「時間の前後を逆転する」タイムホールでもあるのだ。

レオが再び磁気嵐を通って、地球に帰還する。見慣れた太陽系、見慣れた地球。北アメリカ大陸。聞きなれた着陸誘導無線。時代はともあれ、この惑星は地球と断言してもよいだろう。しかし、そこは再び猿が支配しており、その猿社会を創造したと称えられていたのがセード将軍だった。

これがラストシーンである。ここから考えるとセード将軍はレオが帰還するより先に地球に訪れて人間を制圧(ひょっとして絶滅)していた。ここで磁気嵐の時間のルールを思い出すと、セード将軍がレオよりも「先」に地球に到達するには、レオよりも「後」に猿の惑星を出発すればよいことになり、つじつまが合う。

セード将軍は、なんらかの方法でレオより後に磁気嵐に突入し、レオより先に地球に侵入したのである。レオが映画の冒頭で不時着したデルタポッドは、壊れて水の底。ただし、冒頭の様子ではオベロン号はかなり巨大。アルファポッドの番号はA20、隣にはA21のポッド、他に無数のポッド射出口があり、母船にまだポッドが残されていてもおかしくはない。

しかしセード将軍にポッドを操れるとは到底思えない。ここでペリクリーズが猿の惑星に残されていることが鍵になる。ペリクリーズがポッドを操縦してきたのをセード将軍は見ている。猿人社会での立場を失ったセード将軍は復讐に燃えて(または猿人・人間同盟に追放されて)ポッドを入手し、ペリクリーズに操縦を強制し、猿の惑星を飛び立ったのである…かも(笑)。

アメリカの黎明期(南北戦争前)に降り立ったセード将軍が、未来の武器で人間を制圧するまでのドラマもまたおもしろいかもしれない(旧シリーズの4作目みたいだね)。かくして、セード将軍が猿人開放の祖と称えられる「猿の地球」に、レオは帰還した。

P.S. なんだか文章で読んでもわかりにくいので、この図を参照してください。 「猿の惑星」タイムテーブル PNG画像(159kB) 下のアドレスをブラウザにコピー&ペーストしてください。

http://www.interq.or.jp/red/raitef/ape.html

正直言って、これを考える過程はたいへん楽しかった。 ということで、3点にアップ!

(評価:★3)

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