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けにろんさんのコメント: 点数順

★3インデペンデンス・デイ(1996/米)カタストロフの予兆から発端まではやはり巧い。エメリッヒ深部の終末観は基本悲観なのだと思う。が、それが迎合的に米国万歳アジで竹槍で戦車を撃退可かのような無理くりの楽観を装う商売人気質をギャグ化寸前で寸止めさせるのが気色悪い。生煮えなのだ。[投票]
★3尼僧ヨアンナ(1961/ポーランド)何故に神父は尼僧たちと共に堕ちて行かねばならないのか。その反道徳性・反社会性をストレートに見せるのではなく強固に難解なスタイルでもって回ったもどかしさがある。更に残念なことにそのスタイルにも一貫性がない。欠けているのは敗者の行事であり美学。[投票]
★3五番町夕霧樓(1963/日)薄幸な風情の佐久間良子が自我を表出し始めるにつれて何らかのエモーションを感じはしたし、喘ぐ彼女の表情は相当にそそるのだが、やはり千秋実によって語られる夕子の身体的特質がナマに表せないのは致命的。いっそポルノとして見たい題材であった。[投票]
★3アクシデンタル・スパイ(2001/香港)笑いが弾けきらないジャッキー高齢化の不相応感が重く哀しくのしかかる。ビビアン・スーとの哀切な物語の余韻を終局のカタルシスがぶち壊す構成の拙さ。見えそで見えない町中での逃走劇が最大の見所。そこだけは彼にしかできない至芸と言っていい。[投票]
★3黒豹のバラード(1993/英=米)これはと思う冴えた描写も結構あるのだが暗い。暗いのはいいとしても甘ったるい。マカロニウェスタンとペキンパーをパクって今風(当時)ミュージッククリップ乗りを加味したものの正体は浪花節だったというブラック・ウェスタン。過渡期の徒花である。[投票]
★3嘆きのテレーズ(1952/仏=伊)堕ちて行く女と男の物語としては余りに淡白であり、一方で悪女と言うには成り行きに流され過ぎのテレーズがどうにも煮え切らなくシニョレがその割にヘタに意志強固な演技をしてチグハグ。それでも中盤の早朝の死体検分やラストの描写の演出は冴えている。[投票]
★3水の旅人 侍KIDS(1993/日)NHK教育の幼児向けドラマのようなチープな絵作りがそれなりに味わい深く、それを全篇全うすることで題材に見合う世界を表出し得てるとは思うが、『デンデケ』以後の大林マイブーム手持ちカメラのブレ映像のしつこさが世界の完成を阻害するのもご愛嬌。[投票]
★3シッピング・ニュース(2001/米)放蕩妻と先祖の各々奇矯な話は主人公の再生の物語と有機的に繋がってないので事象を羅列しただけの印象にしかなっていない。いずれにしてもこんな他力本願親爺では自己再生なんて程遠く、「癒し」という流行言葉の舐めたクソ本質が露呈される結果となった。[投票]
★3007/ムーンレイカー(1979/英)半端に宇宙という要素を加味したのが虻蜂取らずの浅薄さで、敵ジョーズを執拗にフィーチャーし続けるに至りギャグ映画へと転換する。ギルバートの取り組みは前作と違わぬ真面目な大構えなのに伝統的「スパイ映画」というジャンルさえも逸脱してしまった。[投票]
★3狂わせたいの(1997/日)リンダみちよの70年代歌謡に郷愁を感じたかったのだが刑務所の面会所での「他人の関係」だけが強烈に画面とフィットしただけで、あとはどうも何か違う感じだ。寺山の暗部とフェリーニの陰部を足し廉価に俗で割った挙句に内向している。[投票]
★3担え銃(1918/米)後の『独裁者』で巨視的・複層的な展開を見せる題材としての戦争だが、芸としてのギャグが豊富ではあるにしても手放しでは笑い切れない。傍観者的ポジションでのアプローチであって未だ怒りの萌芽は無いのだ。当然サディスティックでもなくペーソスも無い。[投票]
★3クローン(2001/米)それなりのビジュアルは見せるものの、こういう未来絵図は『ブレードランナー』以降正直言って食傷気味。主人公と妻や親友やスラムの人々達との関わりが全てもう1歩描き足りないので思うほど盛り上がらないしラストの感銘も弱い。もう少し浪花節でもいい。[投票]
★3グッバイガール(1977/米)メイスンカミングス母娘にまつわる話は素晴らしいし愛おしいとも思える。両者の演技はキュートそのものだ。だが一方でドレイファスの奇矯なキャラクターが何とも鬱陶しい。作り込みすぎだろう。もっとストレートに愛の歌を紡いで欲しかった。[投票]
★3ブロークン・アロー(1996/米)鈍重な役者たちと辟易するCGの汚濁にまみれて香港の鬼才はハリウッドの大量生産公式に飲み込まれてしまった。最早どこにでも転がってる凡百のアクションのひとつにしか過ぎない。それだけに申し訳程度に見せるジョン・ウーの印の片鱗がかえって侘しい。[投票]
★3モンスターズ・インク(2001/米)余りに単調で毒の無い40年代的ハートウォーミングコメディを2001年にそのまま出してきた時代錯誤な能天気に鼻白む。「ふさふさ」で「ぷよぷよ」した可愛いモンスターと言葉が覚束ない子供のキャラクターはマーケットを意識したマニュアル的うんざり感。[投票]
★3トゥームレイダー(2001/米)このアクションは安全地帯に居て決めポーズだけ悦に入ってやってる感が拭えない。洒落臭いことこの上ない。もっと泥にまみれて地を這ってみろと言いたい。又、男勝りにクールで強いくせに乙女チックに親爺の命日に浸ったりするのが表層的でプロトタイプ過ぎ。[投票]
★3007/ゴールデンアイ(1995/米)ムーアダルトンと下降線まっしぐらのシリーズが世につれ遂げた遅ればせながらの変革。あくまで追随者としてだが。飄々と軽やかに役こなすブロスナンにボンド役のステイタスが喪失した時代を感じ寂しい。ファムケのヴァンプなエロスは良い。[投票]
★3軽蔑(1963/仏)醒めた視線は良いのだが、バルドーが夫をそんなに愛してるようにも見えなげで基本設定が成り立たず上滑る。本質下世話な主筋に付加されたバックステージもの映画へのオマージュも陳腐そのもの。特にラングの映画中映画は余りな抽象化の芸無さに幻滅。[投票]
★3男はつらいよ(1969/日)破壊的で荒ぶれる寅だからこそ失恋の痛みが本当に痛切。それは恋愛に関してプラトニックであることと表裏なのだ。終盤の駅の安食堂での別れに滲み出る兄妹愛がそくそくと心に染み透る。粗相やっちまったら去るのみ。妹はそんな兄を赦す。荒削りな全ての原型。[投票]
★3叫びとささやき(1972/スウェーデン)モノクロームの表現主義に傾倒してきた映像作家が虚飾を脱いで彩色世界で曝け出した女性観が血の色だというのが生々しくキツい。手法の変化という以上にベルイマンの内なるミソジニーが全開された転換点。だが先鋭的な神秘主義が後退したのが物足りない。[投票]