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けにろんさんのコメント: 投票数順

★3おくりびと(2008/日)異世界との遭遇によるドラマトゥルギーの起点が周防本木のコンビ作と相似だが滝田演出に作家性は無いから鮮度落ち感が拭えない。『御法度』と『壬生義士伝』の比較も脳裏に浮かぶ。広末女房が現出させる理想郷始め役者陣は素晴らしいが…。[投票(5)]
★3その土曜日、7時58分(2007/米=英)描きたいことが終盤に差し掛かり判明するにつれ、こういう手垢の付いた多元的時制の反復は不要だったと惜しまれる。直線構造でギリシャ悲劇のようなホフマンフィニーの対峙が見たかった。それを為し得る2人だから。ルメット復調はガセだった。[投票(5)]
★5ウォンテッド(2008/米)マトリックス』的選民思考に立脚したインスタントヒーローかと思えば肉を切り骨を断つその気概は安寧世界には依っていない。そこを買う。で、後は車と列車の使い手としての映画の王道を歩める選民としてのベクマンベトフの発見。ああ…ハレルヤ!。[投票(5)]
★3ジャンパー(2008/米)能力に目覚めた少年に対してのエスパー狩り集団。そして、仲間の顕在化…と古典ハードSFから平井和正石森章太郎に連なる王道懐古記憶を刺激する展開。序盤30分は血湧き肉踊ったが、見事なまでの後半の世界の矮小化。全く納得できない。[投票(5)]
★4ランボー 最後の戦場(2008/米=独)乱暴者が殺しまくったって何も解決するわけでもないのだが、スタローンは聞く耳を持たないだろう。ライティングの安い80年代量産B級フィルム感はやがて雨と泥と血と肉魂にまみれた一大ジェノサイドに至る。小賢しい野郎には到達できない愚直な境地。[投票(5)]
★4シューテム・アップ(2007/米)正直ガンアクションとしてのキレは絶頂期のジョン・ウーの出来には遠い。が、狙ってるらしいアホが堂に入って衒いが無い。好感を持った。終盤に至ってはテキトーが罷り通り突き抜けモニカまでアホ街道を驀進する。涙を押さえられなかった。[投票(5)]
★4ぐるりのこと。(2008/日)2人を取り巻く世界が厳然として存在しつつ淡々と流れていく。偽悪的に夫婦の有様のキツい面を抽出した展開も世界に補完され至福に至る。宗教的なまでの達観。ただ多くの実事件の素描は精緻な相関には遠い。リリー・フランキーが男の全き理想型を体現。[投票(5)]
★5告発のとき(2007/米)真摯に語らねばならぬことに対してのハギス演出が、贅肉ゼロのドラマトゥルギーを潔癖なまでの簡潔さで描く。父はやり場のない憤りを噛み殺して逆さ星条旗に思いを託すしかない。ワンサイドな視座から遙か離れた錯綜した思いと鎮魂。役者も皆完璧。[投票(5)]
★4やわらかい手(2007/ベルギー=ルクセンブルク=英=独=仏)孫の為という日常思考から出発し、やがては安寧な飼い慣らされた日常から飛翔する婆さん。些か嘘っぽい話に真実味を付与するキャスティング。フェイスフルも絶対条件だったろうがマイノロヴィッチこそ俺の理想。年増趣味なわけじゃないが。[投票(5)]
★4パンズ・ラビリンス(2006/メキシコ=スペイン)少女の母への想いが醒めて見えるほどに退いた視座を保持している。過度にサディスティックな義父や偏執的にグロテスクな迷宮に対しても同様に均質な距離を感じ、逆説的に構造の歪さを増幅する。ラストの違和感も確信犯だろう。[投票(5)]
★3インランド・エンパイア(2006/米=ポーランド=仏)入れ子の物語が均質で一体な戦慄に昇華するには、ポーランド劇中劇の比較的平易なエモーションがバランスを欠き、ローラ・ダーンのマジ怖い顔面演技全開ぶりだけでは楔効果は不足。瞬間的には戦慄すべき即物感を醸すデジカメだが全篇使用は好悪半ばか。[投票(5)]
★5世界最速のインディアン(2005/米=ニュージーランド)爺さんのロードムービーと来ればリンチのそれを想起するが、ドナルドソン演出は物語にあくまで準拠しギミックを廃して自然体。出てくる人は孤独でも何ものにも依存せず後ろ向きな姿勢とは皆無縁。ここには紛れもない理想郷が現出している。[投票(5)]
★5マリー・アントワネット(2006/米)従容と運命に従い局面ごとには真摯に向き合い、それでも悩み放蕩で自分を維持し束の間の安寧には身を委ねる。仏革命のワンサイドな描写に終始しようともコッポラの衒いのない素直さをこそ賞賛したい。正直キルスティン見てるだけで全く飽きないし。[投票(5)]
★4武士の一分(2006/日)登場人物が少なく若干単調にはなったが、キムタクの微妙な演技が冷や汗もんで別の意味で緊張を強いられ心地いい。明快なコンセプトが存在し『黄色いハンカチ』や『山の呼び声』に連なる予め定められた瞬間の為の映画。わかっていてもやっぱ上手いよ。[投票(5)]
★3007 カジノ・ロワイヤル(2006/米=英=チェコ)鋭利なクレイグボンドは支持する。キャンベル演出は前半の幾つかのシークェンス(特にコンゴとマイアミ空港)は傑出した押しなのだが、後半「マジ愛」に踏み込もうとして間延びした。再三断線するカジノのシーンがバランスを欠き終盤はダレた。[投票(5)]
★4ミュンヘン(2005/米)シンドラー』の時代とは違い明快な答を出せない題材を選択したスピルバーグの立ち位置が物語的には苦しい。テロルの連鎖を断ち切る答は無く詠嘆的に鎮魂するしかない…というのは在り来たりと思う。随所の唸らされる表現とクールさには瞠目した。[投票(5)]
★4寝ずの番(2005/日)猥歌とはエッチ願望を男どもが歌うものではなくトランス状態にのめり込む為の触媒なのである。それを表現するに3代目マキノは巧妙な過激度を加味しつつ短すぎず長すぎずの絶妙な塩梅で3度の通夜を描く。その果ての男泣きは心中ささるものがある。[投票(5)]
★5ドッグヴィル(2003/デンマーク=スウェーデン=仏=ノルウェー=オランダ=フィンランド=独=伊=日=米)手法に対する疑念は終盤を見るに及んで氷解した。ラストから逆算構築された物語は寓意の鎧を纏わねば相当にいかがわしい。価値観の錯綜する現代に敢えて「断罪」を提示したトリアーを多少の躊躇を持ちつつも支持。キッドマンの美も神話性を担保した。[投票(5)]
★5妖怪大戦争(2005/日)絶対零度の期待感で観始めたが、河童の「差別すな!キュー」で世界は鮮やかに転倒。そこからは一気呵成にバカ騒ぎに巻き込まれた。内輪の狂騒はスクリーンを隔てて容易には観る物に遡及しない。これはレアケース。適材適所の役者中忌野岡村は傑作。[投票(5)]
★5Mr.インクレディブル(2004/米)家庭が平穏なら外へ飛び出せばいい。しかし、社会の基盤となる最小単位が崩壊する時代には今一度それを再構築せよということだ。保守は反転し強烈なカウンターメッセージとなるだろう。愛と連帯こそが危機を克服する。斜に構えちゃいかんと思った。[投票(5)]