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けにろんさんのコメント: 投票数順

★3テルマエ・ロマエ(2012/日)少なくとも前半は上出来コントだとは思うが、にしても、マニュアルな破綻無き優等生イズム。であるから、後半のルシウス復権譚に至ると、誰がこんなん見たいねん的怠惰な吐息が劇場を覆う。すっぴんちゃんだけが小さな風穴を開け涼風を吹き込んだ。[投票(5)]
★4ゴーストライター(2011/仏=独=英)前半の元英首相が逗留する米国東岸の別邸での展開が図抜けていて、複数の人物の出入りと窓で隔絶された屋内外の舞台設定の錯綜を操るポランスキーの技は世界遺産級。だが中盤以降は展開に演出がやや従属か。不条理に振れてこそ映画は均衡した筈。[投票(5)]
★3世界侵略:ロサンゼルス決戦(2011/米)溜めが無い直截さを美点と思おうとしても、一方で海兵隊の面々を描くに情緒を垂れ流している。ミクロなエリアでのロボット兵じみたエイリアンとの戦いは『ブラックホーク』以後の映画内での近代市街戦描写のトレースでしかない。全く退屈で新味の欠片も無い。[投票(5)]
★4一枚のハガキ(2011/日)ツンデレ大竹の硬く閉じた心の融解の過程は少々強引な感が無くもないのだが、豊川との2人芝居の濃厚は有無を言わせぬ快楽がある。怒りや哀しみを呑んで腹にためる新藤演出の定型詩的な簡潔と枯淡の心地よさ。ラストは神話的でさえある。[投票(5)]
★3ツーリスト(2010/仏=米)刺激度ゼロの展開ではあるが、世の中を睥睨するかのようなアンジーのウォーキングと太鼓持ち宜しいジョニーのドM感が、意外に明媚なヴェネチアの風情と相俟って心地よい。ジャンルの欠落した間隙を埋める凡作として潔い。[投票(5)]
★4英国王のスピーチ(2010/英=豪)大戦前夜の好戦非戦の悲喜交々も、王位継承への骨肉の軋轢も、吃音解消問題の前では背景音。それがアジテートこそ必要資質たる英国王の必須要件だとしてもミニマム世界に拘泥した感が拭えない。演技陣は抑制された潔癖さの応酬。ヘレナは女房の理想形。[投票(5)]
★4SUPER 8 スーパーエイト(2011/米)ネタが割れりゃ今更題材だが、艶ある画面に充満する青春の高揚がテクニカルな設定と同期し神懸りなアングルと編集のダイナミズムに至る駅シークェンス。その前段の高揚が地平を越えず枠内に安住するスピルバーグ的帰結。リスペクトだと言うなら仕方ない。[投票(5)]
★5八日目の蝉(2011/日)今更コンセプトの作劇かと思うそばから拡散し逸れていく展開を要所で締める小池の重石としての存在の快楽。その役者陣の間隙を貫く若き井上真央の圧倒的スーパークールな佇まいこそ肝だろう。ベタになりそでならない気骨だけが成す真ドラマ。[投票(5)]
★5ブルーバレンタイン(2010/米)剃刀で切られるような進行形現在に寄り添う長焦点カメラの優しさが寧ろ痛ましい。ラブホ浴室でのピン送りはアイデアではなく必然。敷衍される過去が内包する破綻の萌芽が哀しい。だが、それでも皆生きていくしかない。カサヴェテス的ドラマの真継承作。[投票(5)]
★5ノルウェイの森(2010/日)内省的な高踏さで繕われたエロ文学としての在り様に忠実であるし、出来不出来はあるが表現に確信的な強度が持続されている。モラトリアムな諦観とモラリスティックな信義則の奇妙な同居。情緒的でない60年代ムードの堅牢。驚愕の水原希子の台詞回し。[投票(5)]
★3死刑台のエレベーター(2010/日)唐突にキレた状況から物語に差し込まれる玉山の描写。その脚色の冴えは買うし又絡む景子ちゃんも超ノーブル。問題は吉瀬のパートで、1夜の不安と焦燥と嫉妬の彷徨芝居はジャズ抜き外タレ加味で学芸会風味に堕した。『白夜』の狂気をこそと思う。[投票(5)]
★5孤高のメス(2010/日)脳死肝移植の命題に患者救済の絶対信念に忠実な医師を配しただけでは作劇は完遂しない。夏川の設定の何たる慎みと真摯。切ないまでの想いは、やがて今1人のの想いとシンクロする。石井映画の2人の「名美」の対峙。その霧の屋上での詠嘆。[投票(5)]
★3鉄男 THE BULLET MAN(2009/日)CGの時代の張りボテな手作り感とグチャグチャ編集で何とかしようというレトロな根性は買うが、「アンドロイド」とか意味を付与してしまえば底が割れるのだ。外人野郎でメタル感を補強しても美味しいところは塚本がさらうという意味不明が良い。[投票(5)]
★4(500)日のサマー(2009/米)時制の往還が意味あるとも思えず、弾け不足な似非ミュージカルも半端で、結局は身も蓋もない展開なのだが、兎に角乗りがいい。そして、主演2人。わけても大して可愛くない不思議ちゃんキャラのズーイー。彼女が通り一遍のカテゴリーから逸脱させるのだ。[投票(5)]
★4今度は愛妻家(2010/日)多くの仕掛けが機能もせずに現出する展開には正直新味は無い。が、この豊川ひろ子の掛け合いの至宝とも言える役者力。全く惚れ惚れする空気の存在。そして、悔恨地獄の果てに、それでも人は生きていく…しかない。諦念も作為もない真摯な現実認識。[投票(5)]
★32012(2009/米)拡大再生された『日本沈没』的終末への絶望的誘いが支配する中でのLA大崩落の細密画の如きビル断面の部屋部屋の精緻は笑劇的なまでの感銘度であった。が、案の定と言うか…。映画はミニマムに家族の物語に縮小収斂される。このおっさんなーんも変わらんね。[投票(5)]
★4カムイ外伝(2009/日)被虐者VS加虐者という構図ではなく同恨相食む無常に収斂させた白土イズムを押さえた脚本。殺陣も打撃と関節技を取り入れ納得性があり魅せられた。CGは『ワタリ』的原色配置は買うが「飛翔」の描写の細部が甘いなあ。新たなベンチマークとは思うが。[投票(5)]
★5ディア・ドクター(2009/日)決して新味のある話でもないのだが、時制の支配力とでも言うべき構成の説得性と、行間の描き込みの緩みの無さ。畢竟、物語の上澄みではなく総体のボリュームが浮上する。ロジカルセンテンスで浮かび上がるトリックスターってのも新しい。[投票(5)]
★5愛を読むひと(2008/米=独)青い体験』かと思えば『私が棄てた女』だったという展開に予想外に心を射られた。サイクリングシーンの唯一の煌めきは残像として後半も支配する。筋を通す強靱さをウィンスレットは文字通り体現。ファインズの『シンドラー』と正反な配役も妙味。[投票(5)]
★4それでも恋するバルセロナ(2008/スペイン=米)等身大・天然・ド天然という女のサンプリングを『旅情』的シチュエーションにはめ込み動かす作者の影が消え、行きつ戻りつの惑う等身大女の心根が前面に出る意外な素直さ。そして、落としどころに垣間見るアレン流シニカルな人生観。巧緻で闊達。[投票(5)]