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ぽんしゅうさんのコメント: 更新順

★4猫と庄造と二人のをんな(1956/日)人間にあって猫に無いもの。それは理性、ではなく欲と怨みと嫉妬。ふぬけの甲斐性なし男・庄三が、最後には一番まともに見えてしまうトリッキーな展開に人間のもつ不気味さが漂う。いつもはお嬢様の香川京子が気の強いあばずれ女役で新鮮。[投票(1)]
★5「エロ事師たち」より 人類学入門(1966/日)正直さと真面目さが同意語なら、スブやん(小沢昭一)と春(坂本スミ子)ほど真面目な生き方をしている人間はいない。全ての虚飾をはぎっとって、ただひたすら生きる男と女を見つめたとき、そこに輝くピュアな愛情の何と神々しいこと。[投票(2)]
★3ダラスの熱い日(1973/米)調べ得る事実の断片を巧みに並べ、その隙間を想像力で埋めただけのドルトン・トランボ脚本が、面白さの80%を占める。それだけに物語としての、ダイナミズムが足りないのが欠点。うなずくことは多いがちっとも楽しくない野村克也氏の野球解説と同じ。 [投票]
★3ジャッカルの日(1973/米)狙う者がビジネスなら追う者もミッション。一切の感情を廃して、事象だけを淡々と積み重ねていくフレッド・ジンネマンの演出がクールに冴える。理にかなったシンプルかつリアルな改造銃が、これまたカッコイイ。[投票(2)]
★3野性の叫び(1972/米)チャールトン・ヘストンはじめ、人間たちはなんとか狼には食われずには済んだが、すっかり名犬バックの熱演に食われてしまった。人の欲望にもてあそばれ、野生と理性の間を彷徨うバックの最後の叫びが切ない。[投票]
★4ジョンとメリー(1969/米)公開時期と表現手法からアメリカン・ニューシネマに分類されるようですが、当時の若者を等身大でポジティブにとらえているという点で異色。10代の頃に見て、その自由な生活と感覚に憧れ、ミア・ファローの可愛らしい声にもドキドキしたものでした。[投票]
★4シンシナティ・キッド(1965/米)キッド(S・マックィーン)に夢と欲を託しつつ、手のひらを返すように振舞う人々。勝負師として背負わなければならない孤独の重さに初めて気付いたこの時から、彼の本当の人生は始まるのだ。ノーマン・ジェイソンのメリハリの利いた画作りが好きだ。[投票]
★2勇気ある追跡(1969/米)敵討ち少女(キム・ダービー)と州連邦局保安官(グレン・キャンベル)に、映画的な魅力がまったくなく、タラタラと成り行き任せのヘンリー・ハサウェー演出が退屈さに追い討ちをかける。ジョン・ウェインのオスカーは孤軍奮闘賞なのだろう。[投票]
★3ガンヒルの決斗(1959/米)突然わき起こった家族をめぐる争いで、かつての僚友が戦うことに。しかもカーク・ダグラスアンソニー・クイーン。こんなに面白そうな話なのにちっとも盛り上がらない。ジョン・スタージェスは、やっぱりドラマではなくアクションの人なのだ。[投票(2)]
★4ヴェラクルス(1954/米)何の迷いも悩みもない単純明解なお話しをバート・ランカスターゲーリー・ク−パーの同ベクトル・異キャラクターだけでもたせてしまうロバート・アルドリッチの大胆かつ細やかな職人技。台詞のやり取りの中で、いざ銃を“撃つ!”というタイミングが絶妙。[投票(3)]
★5白鯨(1956/米)神とも悪魔とも呼ばれる白鯨に挑む、復讐の狂人エイハブ(グレゴリ―・ペック)がアジテーションで船員達を洗脳していくさまが不気味。ジョン・ヒューストンの精緻なショットと的確なカッティングの積み重ねが、クールで硬質な緊張感を持続させる。[投票(2)]
★4理由なき反抗(1955/米)父親と上手くコミュニケートできない子供達は、繁栄の残骸を残す廃墟の中に楽園を求めた。丁寧な画作りの中に時折り入る斬新なショットと音楽が不安定な心情をかもし出す。他の二作では過剰で鼻につくジェームス・ディーンの芝居も厭味なく見られた。[投票(2)]
★4打撃王(1942/米)メジャーリーグの魂、ルー・ゲーリックを当時人気No.1のゲーリー・クーパーが演じるアイドル映画かと思いきや、物語は軽快で会話もユーモアに溢れお洒落。脇を固めるキャラクターも楽しく、何よりテレサ・ライトが可愛い。ハリウッド黄金期の力。[投票(1)]
★3月世界旅行(1902/仏)リュミエールの「工場の出口」からわずか7年で、映画がこれだけの表現力を持ちえたのはフィルム媒体の持つ可能性の大きさと興行的価値、そして人間の想像力の賜物だろう。次に何が飛び出すか分からない、幼稚園のお遊戯的構成と舞台装置が楽しい。 [投票]
★3男と女(1966/仏)感情的な台詞をことごとく排除し、光と影、色、音楽のみで1時間45分の長編メロドラマを成立させてしまった奇跡的作品。この後、映画はもとよりCF、TVドラマ、ファッション写真、音楽ビデオの世界にあまたの模倣の山が瓦礫と化して散在している。[投票(6)]
★1しあわせ家族計画(2000/日)脚本を書いた山田耕大と、監督をした阿部勉という人の映画的センスの無さは資質の問題だと思われるのであえて責めないが、生活する者を定型にはめ、観客をなめる態度は許しがたい。無意識だとしたなおさらのこと。 [投票]
★4午後の遺言状(1995/日)今、何気なく繰り返している事。飯を食い、人を愛し、仕事をし、そして善を成し罪を犯す。その全てを背負うことが老いるということ。日々の営みが澱のように心に溜まり、やがて老弱した体の中でギラギラとたぎりだす。今しなければ成らないのは老いる覚悟。[投票(1)]
★3伊賀忍法帖(1982/日)見る前に期待しすぎないこと。どんな妖術も容認すること。この二つさえ守れば、絶頂期の角川映画だけあって金は出し惜しみしていないので最後までそれなりに観られる。単純なアクション・ラブストーリーに成田三樹夫が怪演で毒を添える。[投票(2)]
★2月光の囁き(1999/日)面白いテーマだと思うが、あまりにも物語が形式的。異常性愛という名の愛がもつ衝動の激しさや痛みが定型どおりで映画としての魅力が足りない。出来の悪いロマンポルノをさらに薄めたみたいだ。高校生だからソフトに、と逃げた訳でもあるまい。もったいない。[投票]
★4男はつらいよ 寅次郎紙風船(1981/日)同窓会のエピソードが悲しい。岸本加世子地井武男のブレイク兄妹が映画にメリハリをつけ、小沢昭一の袖口からのぞく刺青に無常を見、音無美紀子の諦観にはかなさを感じる。久々にヤクザらしい寅が全体に一本軸を通すオムニバス的面白さ。[投票(2)]