★3 | 音響生命体ノイズマン(1997/日) | 衒いもなく理想論のテーマを高らかに謳うこんなアニメ、旧世紀にはよくあったな、と今改めて見ればこそばゆくも懐かしい。ただ、意識的に見づらくノイジィになっている画面を見続けるのは少々骨が折れるが。小ブーム前の菅野よう子の才能の片鱗が拝め、その点では拾い物。 | [投票] |
★3 | 暗黒女子(2016/日) | 岡田麿里って畢竟アニメ脚本家なのだなぁ、と当たり前のことに気がつく。現実の少女にある魅力を押し広げ増量することはできても、もともとないタイプの特徴をもって少女の花を咲かせることができるのは二次元の世界だけだ。 [review] | [投票] |
★2 | メビウス(2013/韓国) | 興味深いテーマと見ていたが、次第に退屈になりやがて唇からは失笑が漏れた。こんなにもこれらの人々が男根にこだわるのは、ギドクがきわめて男性的な作家だからだ。要するに彼は女性を凌辱できなくなれば自分は人間でなくなるとでも思っているのだ。 [review] | [投票] |
★3 | キンキンのルンペン大将(1976/日) | 東映らしい汚わい趣味にはちょっと辟易してしまうのだが、清純さを絵に描いたような田舎娘を演じる坂口良子にすべて持ってゆかれる。この当時こういうお嬢さんは榊原るみと双璧か。如何せんキンキンを活かすのならラスト以降にもうワンクッション欲しかったところ。どうしても山田洋次ならこう撮ったろう、と思わせる語り足りなさが残念。 | [投票] |
★3 | ナイチンゲール(2018/豪=カナダ=米) | 西部劇の骨組みをもつこの映画には、人間の矮小さ、薄汚さ、身勝手さが余すところなく描写されている。それらに苛まれながらヒロインはもはや良識の欠片も持ち合わせぬ男への復讐に走るのだが、それに伴うカタルシスはというと何かおかしなことになっているのだ。 [review] | [投票] |
★4 | コレット(2018/英=米) | フランスで展開される英語劇であることには大した反発はないが、やはり女性の意識向上やLGBTの讃美に於いては終始嚆矢的人物であり、それほどの興奮や共感は示せなかった。この作品の成功はひとえにキーラ・ナイトレイの力強い眼差しによるのだろう。しかしながら、こうした着実な歴史の再発見は評価に値し、重要な足跡と見るべきだろう。 | [投票] |
★4 | 星屑の町(2019/日) | ベテランお笑い芸人たちによる、安定の歌謡コメディ。意外なことは一切起こらずドラマは予想の内側で盛り上がり収束する。昭和のムード歌謡が売り物だが、見せ場としては歌手を目指す東北娘のんの実績に裏打ちされた歌唱と、ファンには涙モノであろうナチュラルな東北弁。デビュー当時を彷彿とさせる前座歌手・戸田恵子のヴォーカルも聴きもの。 | [投票] |
★2 | Red(2020/日) | 例えば人肉食礼賛のために創られた宣伝映画があれば、それを発禁にすべきだ、と自分は拳を振り上げる気はない。そんなフィルムの影響力など知れたものだからだ。だが、この映画の結論をカッコいいものと認め、女性解放の旗印と納得してしまう人間はけっこういそうな気がする。訴えたい気持ちはないが、こんな作為的な扇動行為はないと言って回りたい気持ちには駆られる。 [review] | [投票(2)] |
★3 | ジュディ 虹の彼方に(2019/米) | 自由と愛情を渇望し、その片方も得ることができず消耗品として消えてゆく大スターをゼルウィガーが好演。だが、その当時の世界こそが抑圧の権化だったことを語るには状況は甘かった。 [review] | [投票(1)] |
★2 | 劇場版パタリロ!(2019/日) | 漫画の性格を考えれば、すべて日本人俳優によるミュージカル舞台劇のチープな仕様はむしろ正解であるはずだった。だが、映画には素人である舞台監督の手になることでその利点は活かされず、またコメディとして滑り切っていた。観客を極端に選ぶことを覚悟しても、舞台俳優によるゲイ描写を映画的に撮り、思い切ってスペースオペラは削るべきだったろう。 [review] | [投票] |
★2 | マインド・ゲーム(2004/日) | 「生への渇望」を描くものだろうか、焼き鳥屋など現実世界の活写は魅力的で、今田耕司の声優としての勘など素晴らしいのだが、ファンタジックになっての場面は冗長に尽き、『ピノキオ』まがいの鯨の腹場面は退屈。まだ湯浅政明が自分の長所と欠点を掴み切っていなかった頃の作品だろうか。今創ったならもっとタイトに締められたろう。 | [投票(1)] |
★3 | 初恋(2019/日) | 三池崇史が恋愛劇を撮るというのはもちろんデマだったが、かといってヤクザ映画をまともに撮るというのも違っており、これはギャグ映画だった。染谷将太やベッキーの悪趣味なドタバタをはじめ、ファンタジーもどきに理屈のつかない展開が腹をよじらせる。純愛一直線の窪田と小西への幼い演出は、それに比べれば屁一つの価値もない。精神年齢の低さはお互い様だが。 | [投票] |
★5 | 静かな雨(2020/日) | 何と太賀/衛藤美彩のふたりが初々しいことだろう。ただの難病映画と高をくくっていた自分を恥じる出来だ。ここに語られるのは反復の許容…ただの無意味が繰り返されることの許容、つまりは人生の許容だ。 [review] | [投票] |
★4 | グッドバイ〜嘘からはじまる人生喜劇〜(2019/日) | 他愛ないが愛すべき要素は多々かかえる通俗喜劇。だが、金の使い方で減点せざるを得ないのは残念。セットを精緻につくることはいいが、やはり安易なロケ地選択をしているのは痛し痒し。ここぞという場面で妥協の結果のような背景を用意されては萎えるのだ。キャストは概ね賞讃していい。戸田恵子の占い師、そして何より小池栄子は願ってもない役どころ。 | [投票] |
★3 | 街から街へつむじ風(1961/日) | こぢんまりと纏まった本編では、作品世界を潤わせるべきヒロインたち(芦川いづみ / 中原早苗)もまたおとなしく腰かけた状態でおさまり、話をぶん回す余力すら見せない。このおとなしさが作品世界に波及してか、弾まない中編はひたすらエンドマークに向かう以外に気力を見せない出来栄えとなった。裕次郎もまだ新人で暴れるわけにもいかないだろうが、淡泊な一編。 | [投票] |
★5 | ロマンスドール(2019/日) | 現代の「スブやん」は悲愴なる求道者ではない。非の打ちどころなき理想の妻を伴った幸福な職人だ。タナダユキという女のフィルターを突き抜けた「いい女」は、いまや「助兵衛でいい女」として描写されるのだ。彼女は男のみる女の理想形でありながら、断じて女に嫌われる都合のいい娘でもない。ここにみる園子は全方位型の性格美女だ。 | [投票(2)] |
★3 | ヲタクに恋は難しい(2020/日) | 惜しいのだ。高畑充希は稀代のドタバタ女優ぶりを披露してくれるし、片やダイコン山崎賢人だってその能面役者ぶりで奇人性をむしろさらけ出してくれるのだ。そして鷺巣詩郎のロマンティックなナンバーは何と奇演の間隙をぬって孤独な恋人たちを彩ってくれたか…それというのに。 [review] | [投票] |
★2 | his(2020/日) | TVドラマの前置きを観ていなくとも理解できる平易な語り口だけに放っておけない。この話は何のために語られたのだ。日本伝統の「長いモノには巻かれろ」説で頬っかむりしておけばよいというのか。 [review] | [投票] |
★4 | あじさいの歌(1960/日) | 石坂洋次郎によるお節介の相互作用が織りなす、恋愛劇のようなもの。なんだかんだで客寄せパンダである芦川いづみのヒロイン主張を轟夕起子が見事に掻っ攫ってゆく。他人事には首をつっこみたがる石原裕次郎もすっかりお株を奪われた形だ。 | [投票(1)] |
★2 | テリー・ギリアムのドン・キホーテ(2018/英=スペイン=ベルギー=仏=ポルトガル) | ギリアムが主人公らに仮託しようとした思いが酷く焦点が甘いのか、あるいは観客たる自分が理解していても「いつものこと」とそれを受け取るのにためらいを感じているのか、いずれにせよ「ごっこ遊び」の2時間と見えてしまう。『ロスト・イン・ラ・マンチャ』以降の20年は何に費やされてきたのか、今となってはかなりどうでもいい観覧後感。 | [投票(3)] |