水那岐さんのコメント: 更新順
ヨコハマメリー(2005/日) | 異物が他者と混在していた、歴史上のある季節。その異物がある日突然消えてしまったその時、人は今までが幸福な時代だったことを知るのかもしれない。 [review] | [投票(3)] | |
カルメン故郷に帰る(1951/日) | 当時の観客は、母国が創りあげた総天然色大パノラマに酔い、広がる蒼穹に目を見張って肝心のストーリーがいかに平板かなぞ気にもとめなかったのだろう。もはやカラーだということに何の驚異も感じない現代人には、太古の恐竜のごとくオーソジェネシスに身動きもせず芸もできない、退屈なフィルムとしか見えはしない。 | [投票] | |
花と喧嘩(1969/日) | ひばりと橋のアイドル映画とナメていたが、さすがは野村芳太郎、一筋縄ではいかない立派なラブコメディに仕上げている。中村八大のこの映画のための数々の新曲も魅力。パープルレインたって、プリンスでも八神純子でもないんですぜ、旦那。 [review] | [投票] | |
小さき勇者たち 〜GAMERA〜(2006/日) | やっと少年たちのもとに『ガメラ』が戻ってきた。それは「人類の守護者」などではない、明らかな「子供の仲間」だった。 [review] | [投票(8)] | |
骨まで愛して(1966/日) | 現代の北海道とは思えない牧場風景の不思議。渡哲也というと『東京流れ者』の曲が付き纏う不思議。でも、憂いを帯びたルリ子は素人クサさの抜けない智恵子よりずっといい。そして宍戸錠のバイプレイヤーの王座はもはや磐石である。 | [投票] | |
喜びも悲しみも幾歳月(1957/日) | 高峰秀子の、新妻から老母へと移り変わるナチュラルな成長の演技が素晴らしい。それに較べれば、佐田啓二は些か不器用な演技だが、これも秀逸なメイク技術によって見事に化けている。最終的に不細工な女優に成り代わってしまった娘が残念(苦笑)。 | [投票] | |
悲しき小鳩(1952/日) | 所詮はひばりのアイドル映画に過ぎないのだが、三宅邦子演ずる母のバカ親ぶりに心底頭にくる。父親の怒りは当然だと思うとともに、サーカスへの当時の偏見を改めて頭に叩き込まれる。「いい子にしてないとサーカスへ売っちゃうぞ」と親が子供を脅した時代の映画なのだ。 [review] | [投票] | |
笛吹川(1960/日) | 紋切り型の詰まらない反戦映画。原型のひとつでもあろうブレヒトの『肝っ玉おっ母』の方がいかにダイナミズムを感じさせる主張を持っていたことか。死者の国に通じるあの橋を母親が渡ったことで、橋のアナロジーは途中で崩壊してしまう。イーストマンカラーの着色は児戯に等しかった。 | [投票(1)] | |
二階の他人(1961/日) | 今更のようだが、山田洋次はやはり喜劇作家ではない。ペーソスの作家だ。この作品の場合その側面が成功せず、どうにも後味が悪いものになりかけていたのだが、最後の最後にきて救われた。池田正義のテーマ曲はじんわりと温かくて良し。 | [投票] | |
ガルフォース(1986/日) | 愛すべき80年代アナログSFアニメの残滓。それは雑な絵であり、必要以上に頻出するお色気とメカアクションであり、少女たちにさえ襲い掛かる残酷な現実の軋轢である。(2006/4/12再見) [review] | [投票(1)] | |
紅の拳銃(1961/日) | 「すべて予定の行動だ」って、ここまで回りくどい方法をとることを予定していたのだろうか、赤木は。どうにもまとまりに欠け、収束していかないで無理やりケリをつけられた脚本。おかげで謎の東洋人たちはろくに活躍もせず舞台を去ることを強いられた。これで87分とはまるっきりダイジェスト映画だ。 | [投票] | |
黄色いリボン(1949/米) | 攻撃的な第七騎兵隊の壊滅直後だというのに、白人側もアメリカ先住民側も呑気に友達ごっこをし、血気にはやる若手の追撃隊への妨害を先導したりしている。こんな甘ったるい空気がその当時にあるものか。これはただの老人ロマンティシズム映画であり、ダレ切った状況からは空虚な安物の平和しか窺えない。 | [投票] | |
こんにちわ20才(1964/日) | 岡本喜八の『若い娘たち』と同じ石坂洋次郎作品からの映画化だが、こちらに自分は軍配を上げたい。ユーモラスさにキャラクターへの愛情がこもっているか否かで判断したのだが、何、煎じ詰めればミーハー根性からなのだけれどね。 [review] | [投票(1)] | |
悲しき瞳(1953/日) | 金八少年(中村正紀)に好感。子供らしいやんちゃさながら、疎まれるひばりをかばう男っぷりの良さは何ともいじらしい。それに比べひばりはちっとも子供らしくないのだが…。 [review] | [投票] | |
陽のあたる場所(1951/米) | 言ってみれば「よくある話」。主人公に感情移入できるぶんには優れているのだろうが、悲劇のテクストとしてはもはや使い古された観があり、今更心を動かされない。ラスト、歩いてゆくモンゴメリー・クリフトに囚人たちが励ましの言葉をかけるが、あれは観客の代弁者として語らせているのだろうか? | [投票(3)] | |
牛若丸(1952/日) | 美空ひばりの主演する『牛若丸』は、決して『源義経』には成り得ない。 [review] | [投票] | |
拳銃無頼帖 抜き射ちの竜(1960/日) | 赤木圭一郎はシリーズ第一作ということもあって、実に渋めのおのれの掟に生きる男を演じ、魅力を見せつけてくれた。そして忘れていけないのが…。 [review] | [投票] | |
マザー・テレサ(2003/伊=英) | マザー・テレサの我が身を顧みない献身の精神は充分理解できるのだが、物語にもう少し「遊び」が欲しい。事件とその対応に追われるマザーの行動に追い回されて、見ている側も立ち止まって考える余裕が欲しくなる。 [review] | [投票(1)] | |
男の怒りをぶちまけろ(1960/日) | 「ダンプ・ガイ」などと情けないニックネームをつけられてはいるが、二谷英明は脇役には勿体ない魅力を見せる。そして、日活アクションのマドンナといえば誰をおいても浅丘ルリ子。これにとどめを刺す。 | [投票] | |
ニワトリはハダシだ(2003/日) | なるほど、森崎東の怒りを思い切り叩きつけた「怒劇」なのはよく判った。しかし、その俎上に知的障害者問題、在日問題、警察の汚職や暴力団との癒着、果ては天皇制まで上げてしまおうというのは無理があり過ぎた。そのせいで描かれるべき一家族の成り立ちの描写が弱くなってしまったのは惜しまれる点である。 | [投票(3)] |