台詞が極端に少ない分を役者の表情や抒情詩的な映像で見せているところが凄い。でもこの映画の誰もが認める素敵なシーンは、やはりチャン・ツィイー の走る姿でしょう。

走る、走る、走る！走る！

その中でも一番印象に残っているシーンは髪飾りを無くしたところ。大切な大切な髪飾りと言う事が僕の心に伝わりました。この部分の演技も最上級です。髪に手をあてて髪飾りが無いと気がついた後も、また無意識的に頭に手を持って行きます。意味としては、さりげない髪飾りの有無の再確認なのですが、こう言ったシチュエーションでは無いと分っていても再確認をするのが人間というものです。そんな細かい演技の連続が物語り全体を自然に見せているのだと思います。

それにしても最後の遺体を運ぶシーンは泣けました。現代人が何処かに置き忘れた何かを思い起こさせた感慨深い作品です。

（『あの子を探して』のレビューにて「初恋のきた道」の追加投稿文有り）