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煽尼采さんのコメント: 更新順

★3真夜中のカーボーイ(1969/米)ジョー(ジョン・ヴォイト)のカウボーイ姿に漂う、甘い哀愁と、何ものかの終焉。底辺の、いじましく黴臭いような生活感にも、どこか青春の甘い匂いがある。 [review][投票(2)]
★3ダウト あるカトリック学校で(2008/米)観客に「第三者」の客観性を与えぬことと、絶対の「第三者」である筈の、神と教会。 [review][投票(1)]
★4エンター・ザ・ボイド(2009/仏=独=伊)知覚の機械装置たるカメラでこそ実現し得る、身体性と超越論的領野の境。『潜水服は蝶の夢を見る』張りの主観ショットであるが故のトリップ感。純粋意識のマザーファッカー。 [review][投票(4)]
★3ウルトラミラクルラブストーリー(2009/日)野菜栽培のヘルシーさと、農薬のケミカルな毒々しさ。半ば理解不能な津軽弁も物語を追うのに支障が無い程度には理解できる絶妙さ。観客は町子(麻生久美子)と共にその言語宇宙の洗礼を受ける。理解不能と可能の絶妙さは「ストーリー」にも表れている。 [review][投票(1)]
★3パーマネント野ばら(2010/日)「パーマネント野ばら」という題名の響きをそのまま映像化したような世界。そのあっけらかんとした響きの中に含まれる、繊細な脆さと生命力。 [review][投票(3)]
★2リリイ・シュシュのすべて(2001/日)その曖昧さゆえに己が想いを投影し得るキーワード「エーテル」の海に漂う中二病的群像。「宇宙」とさえ等置される、妄想的信仰の空虚な中心としてのリリイ。 [review][投票]
★2プロデューサーズ(2005/米)脚本家、演出家、出演者、それぞれに最低な人材を集める過程は『七人の侍』風の「仲間集め」のワクワク感を醸し出すが、余分なシーンが多い反面、多様な最低人間の凝縮度が足りない。結果、肝心の「最低のミュージカル」の最低ぶりも半端なものに。 [review][投票]
★3ディア・ドクター(2009/日)カットの並べ方が見事ながらも香川照之伊武雅刀らの食み出し気味な熱演に破壊された『ゆれる』とは逆に、演出の巧さは後景に退いた反面、役者は皆(ほぼ)きれいに映画の枠に収まっていて、ホッとした。僕は役者の自我なんか見たくないですから。 [review][投票(2)]
★3ララピポ(2008/日)サイテーさがサイテーさとして昇華する映画。演出は戯画的だが、最も奇抜な、村上知子演じるキャラでさえも、普通に存在し得るような卑近さを有しているリアル。 [review][投票]
★3少年メリケンサック(2008/日)本作の宮崎あおいのキュートさは絶対的。彼女のキュートさのバリエーションを次々に見せていくのが映画の主眼のような状態。パンク映画という点では大して熱いモノを感じる話でもないが、少年的中年たちは、宮崎の少女的母性の触媒とはなっている。 [review][投票]
★4ジュラシック・パーク(1993/米)テクノロジー(分子生物学)によって恐竜を復活させる物語と、テクノロジー(機械装置、CG等)によって生きた恐竜を見せるということ。「誰もが見たいものを見せる」という、映画の原初的な夢と欲望。恐竜への畏れと同居するノスタルジー。 [review][投票(2)]
★3GOEMON(2009/日)画面をPV風にファインにし尽くした結果、生身の役者を含む全てがCG臭く、嘘臭くなる。強調された光で飛びがちなキレイ撮り画面の信用ならなさ。アクションの重量感の無さは致命的。だが彼の、中二病的厭世観と美的イメージの臆面なき結合は嫌いじゃない。 [review][投票(2)]
★4ブラックレイン(1989/米)日本を舞台にアメリカ映画をやることに伴う多少の無理がほぼ全て、作品のテンションを高める方に作用している。括弧付きの「Osaka」。カメラによって切り取られ、繋ぎ合わされた、闇に光輝く空想都市としての大阪。 [review][投票(2)]
★5HANA-BI(1997/日)ミニマムな表現に漲る厳しさと、それを絶妙に崩しに来る絵画の挿入。その簡潔さゆえに際立つ細部。波の打ち寄せ方や、画面を横切る猫の動きなど、フィルムに刻まれた全てが北野を祝福しているかのようだ。哀しみに充ちたプロットと、幸福な画面。 [review][投票(2)]
★4パリ、ジュテーム(2006/仏=独=リヒテンシュタイン=スイス)シャレた幻想空間としてのパリ。日常卑近の生活空間としてのパリ。どこにでもありそうな人生の断面がそこにもある場所としてのパリ。国籍不明な非現実的空間としてのパリ。観光地としての、皮肉なパリ。この多様性が見所。量が、多面体としての質をもたらす。 [review][投票]
★3ビューティフル・マインド(2001/米)精神の病を映画として描くことの有効性と困難。それは或る意味、映画的演出が上手くいっているが故のジレンマ。だが妻の存在が充分に演出されていたかといえば、これは普通に力不足。 [review][投票]
★4アウトロー(1976/米)これはおそらく、『許されざる者』に接続する作品。いや、イーストウッドのではなくて、ジョン・ヒューストンの。 [review][投票(4)]
★4ラ・ジュテ(1962/仏)各カットは静止画だが、所謂「写真」ではない。映画的時間に置かれた静止画が、映画のショットとしてどう機能するのかを見せてくれる。SF的設定もまた、「時間」と「映像」の関係性という主題を際立たせる。 [review][投票(2)]
★3余命1ヶ月の花嫁(2009/日)比較的長尺なのは、ワンカットの長さによる。僅かな余命の一瞬一瞬を慈しむように持続するワンカット。発するべき言葉が出てこない時間や、ただ泣くことしか出来ない時間、そうした、効率的なカット割りなら切り捨てられるような時間を惜しむ編集。 [review][投票]
★3大阪ハムレット(2008/日)「ハムレット」と題しながらも、人生の葛藤を徒にハムレット的に深刻化することを避け、「悲劇」の「面白さ」に淫しない抑制には好感を抱いたが、反面、登場人物たちの葛藤を作り手側が充分に受けとめることまでをも回避しているような印象も。 [review][投票]