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煽尼采さんのコメント: 更新順

★4晩春(1949/日)魔物のようにさえ思える紀子(原節子)だが、彼女は自身の立場の不安定さに喘ぐ存在でもある。表情の振り幅の大きさ、彼女自身の動揺によって、映画全体を動揺させる眩暈的なダイナミズム。 [review][投票(6)]
★3コッポラの胡蝶の夢(2007/米=独=伊=仏=ルーマニア)不老不死としての、写真、録音、言語。 [review][投票(3)]
★3誰も守ってくれない(2008/日)リベラによる美しい主題歌が1.5倍は感動度を増しているが、善も悪も全て、自明視された「家族」に収束される点は大いに疑問。前日譚のTVドラマの方が出来が良い。 [review][投票(1)]
★3追憶(1973/米)大きな時間的スパンをもってこそ描かれ得る、人間の、変わりゆくものと、変わり得ないもの。ケイティ(スーザン・サランドン)の容姿の変化は、視覚的にも主題的にも、最大の見所の一つ。 [review][投票(1)]
★3世界(2004/中国=日=仏)何度か挿まれる、タオ(チャオ・タオ)が乗り物で移動しながら外の景色を見つめるカットに漂う、彼女の抱える空虚さ。紛い物の「世界」が集約された場所から逃れられないタオ。「世界が一望」できる「エッフェル塔」の眼下に広がる、卑近な街並。 [review][投票(3)]
★4シベールの日曜日(1962/仏)カメラワークと構図の計算。些細なショットにあっても、この画を撮る、という明確な意志が感じられる。少女の、大人びた言葉が却って際立たせる幼さが発する透明な色香と、夢幻的な映像が、この世の彼岸へ誘う。 [review][投票(4)]
★3ファニーゲーム U.S.A.(2007/米=仏=英=オーストリア=独=伊)手袋越しの握手。レンズ越しの暴力。その、清潔さの醜悪さ。 [review][投票(2)]
★3ハプニング(2008/米)他者とコネクトすること。その切断という恐怖。「手を繋ぐ」画の反復も、この主題に沿うものだ。単に人が立っている、或いは顔が映っている、ただそれだけのことで恐怖がかき立てられるという一点に於いて既に、シャマランの演出は成功している。 [review][投票(3)]
★3ジェイコブス・ラダー(1990/米)ジェイコブ(ヤコブ)のラダー(梯子)の昇降運動。 [review][投票(1)]
★4暴力脱獄(1967/米)まるでポール・ニューマンセガールばりの格闘を披露するかのような邦題に相反して、概ね囚人の生活を淡々と描いたタッチが好印象。平穏とさえ思える日常に潜む足枷に徐々に抗いゆく主人公。 [review][投票(2)]
★4イキガミ(2008/日)「生き神/逝き紙」。過激に戦中的思想を取り込みながらも、同時に、人の生き死にで感動を演出する風潮への批判をも内包した、シニシズムの映画。 [review][投票]
★3ムーンウォーカー(1988/米)異星人が、「映画」なるものを目にして、見よう見まねで自らも制作したなら、こんな作品を撮ったであろうと思える映画。つまり、通常の感覚ではついていけない展開に驚き呆れ返ると同時に、既存の映像表現のツギハギに終始する退屈さもそこにはある。 [review][投票(1)]
★4鬼畜(1977/日)反復される愉しげな旋律が、むしろ呪いのように聞こえ、まだ何も起こっていない冒頭から既に、何やら不穏かつ凄絶な空気が立ち昇る。 [review][投票(2)]
★4枯葉(1956/米)アルドリッチは歪な人間を魅力的に描くのが巧い。その意味ではこの作品のようなものも、『特攻大作戦』などの作品群と同一線上にある。本作では、変わり者たちの関わり合いが、プロットを意外な形に転がしていくのが見事。 [review][投票]
★4救命士(1999/米)都会の闇を背景に、滲み、歪み、横溢する色彩・光は『タクシードライバー』以上。地味な邦題からは想像し難いファンキーでクレージーな映画だが、それはまた主人公の、死と憂鬱に圧殺されかけた分裂気味の感情から来る眩暈でもある。 [review][投票]
★4チェ 39歳 別れの手紙(2008/米=仏=スペイン)革命という言葉の華々しさとはまるで無縁の、鬱な行軍。だが、この徹底的に無感動にも見える、砂を噛むような虚しさにこそ、むしろ胸が打たれる。 [review][投票(2)]
★4めがね(2007/日)柔らかな素振りで、さり気なく排除と囲い込みを行なう宿の雰囲気は確かに薄気味悪いが、「めがね」の機能性も含め、何重もの仕掛けでその「空気」に人を溶け込ませていく巧妙さには感心せざるを得ない。シンプルな画と長回しで、意識もいつしかチルアウト。 [review][投票(1)]
★3砂の器(1974/日)夏の暑さにうんざり顔ながらも丹波哲郎の旅はどこか愉しげにも見え、俳句を詠んだり、ぶらり旅気分な情緒が地味に面白い。だが終盤に至って、丹波のこの悠々とした旅情緒は致命的な演出ミスだったと思い知る。 [review][投票(6)]
★4浮草(1959/日)殆どのカットに含まれる赤の鮮やかさ。反対色の緑が各所に配されているのも絶妙。加えて、茶系統の色の落ち着きと、白による視覚的な抜けの心地よさ。色と闇の対比も見事。画の構図も、屋内のみならず、狭い路地が織り成す直線の構成による、整然たる美。 [review][投票(4)]
★3神様のパズル(2008/日)抽象的な論理にダイナミズムをもたらす、市原隼人のロック節。そのミスマッチの妙が魅力的なのに、終盤は雑で安易なプロットに。宇宙といえば通常は、遥か上空を指して言及されるが、本作では地面の下に宇宙がイメージされる。 [review][投票(3)]