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disjunctiveさんのコメント: 点数順

★3インヒアレント・ヴァイス(2014/米)当為性の微光が人情話と交織したい底意は否定しようもないため、偶然からの崇高な解放というよりも、懐古趣味の条件反射というか、舞台を成立させるためのテクニカルな要件に規制された思考や行動が、一種の混濁として現れているように見えてしまう。[投票]
★3007/ゴールデンアイ(1995/米)瞬間的な印象に反応しがちなナターリアは、ボンドへの発情に際し、細かな段取りを踏まない。Qのバゲットサンドや出歯亀海兵隊が伏線を踏んで、私たちをよろこばせるだけに、彼女の造形のまとまりのなさが気になる。 [review][投票]
★3チャッピー(2015/米=メキシコ=南アフリカ)成功したナードという語り手の知的解体的な自己投影によって、主人公の行状が観察に値しなくなる。成功したから、課題がない。AI云々は卑近の課題であって、どうしても解消したい人生の課題とは性質が異なる。 [review][投票]
★3LOOPER ルーパー(2012/米)ウィリスの話が捨て石にされるとは思ってもいないから、中盤でエミリー農園の話が長々と始まると、進行しつつある事件を意味のあるまとまりとして把握できなくなる。クラビティのサンドラの愚痴のように、演出家脚本のバランスの悪さが露呈している。 [review][投票]
★3クロニクル(2012/米)どんなに破壊を行っても、感傷とアクションを幸福に出会わせる文化祭の大道芸には、映像のテクニカルな面でも、まるで及ばない。そもそも、なぜあのような破壊が行われつつあるのか、修羅場の最中で我に返るほど、大友克洋をやる必然性がよくわからない。 [review][投票]
★3柘榴坂の仇討(2014/日)取り立てのところで、滅びゆく人種の連帯感がよく表現されていて、彼らの美意識や人種性の中身以外に、それが知らないところで共有されていること自体にも感動があるように思う。 [review][投票]
★3私のように美しい娘(1972/仏)男の生理を以てしか、存続を許されない愛により、女は一種の現象として描画される。他方で、意味を語りたいという当然の邪念が、ただの現象であるはずの女に憎悪を抱く。 [review][投票]
★3激動の1750日(1990/日)エンタメという事態を成立させるための、適切な情報量があるのだろう。序盤において、それを確保すべく時間を押しとどめていたバランス感覚は、山一抗争の勃発に至り、多発するイベントの追尾に忙殺されることで、時間を止められなくなり、費えてしまう。[投票]
★3映画に愛をこめて アメリカの夜(1973/仏=伊)監督が選択をした、というただでさえ危うい実感を構成するための儀礼が、相変わらずヌーボーとしたレオの諦念顔に阻害されている。ナタリー・バイの尻という肉体言語がかろうじて現場という現象を支えている。[投票]
★3ソルジャー・ボーイ(1972/米)道中で男たちが被る瘧使の内容に手抜かりがない。程ほどに神経に触り、かつ記号表現に堕さないような現象が考えられている。この繊細さからすると、最後の荒々しい展開は、病理の表現を果たしながらもジャンル的飛躍である。[投票]
★3野良猫ロック セックスハンター(1970/日)立川と民族浄化という、ほんらい結びつくはずもない言葉が結合していて、事件が事件として成り立つのか、疑問に思った。そこで藤達也の意図が解らなくなり、半ば幻想化するあたりになってきて、ああ大和屋脚本だ、となる。[投票]
★3ソウルガールズ(2012/豪)身の程を知ってしまった話で、内在化された差別が、解決すべきハードルを設定しえないほど、娘らの行動を軌条に載せている。したがって、観察すべきは丹下段平の救済であるが、これは課題が言語化された途端、すぐに回収される。[投票]
★3暗殺の詩 知りすぎた男どもは、抹殺せよ(1974/仏=伊)これは無理筋ではないか。トランティニャンに対する解釈はマルレーヌ・ジョベールの方が常識的だ。ノワレののめり込みは病的で、受け手の共感から逸脱している。 [review][投票]
★3ことの終わり(1999/英)レンズの違いがカットのつなぎをしばしば妨害するのは、どんなルックを以て話を表現するか確信がないからだ。かかる確信のなさは、逆に、確信のない話にはまることもある。 [review][投票]
★3暴走特急(1995/米)不器用であることの緊張感があって、寡黙であれば身体と顔面の調和がある。そこから声が発せられると、軽々しい音韻で調和が離散する。他方、セガールの名前が共有されていることで、業界があるという感覚が提示されている。 [review][投票]
★3かぐや姫の物語(2013/日)美術設定の詳細さという形で、見える文化資本へ執着する結果、見えないそれへの等閑視が浮き上がり、社会階層の往来が簡単にできてしまう原作の違和感が強調されてしまっている。 [review][投票]
★3新しき世界(2013/韓国)地位が人を作る機制を信用し過ぎていて、力の裏付けが実感しがたい。が、このマンガらしい現実腐食は、時間が進むと、受け手の感性を摩耗させ、実効性のある記号の呼び水ともなる。形式が人を重厚にする現象が最後には成立している。[投票]
★3ウルフ・オブ・ウォールストリート(2013/米)話の伝えたいことは、売人のジョン・バーンサルの言動がすべてで、レオはその価値観を担うために、あえて空疎に構成されている。 [review][投票]
★3清須会議(2013/日)語り手としては、自分の辛辣な本性と向かい合いたくはない。ところが、その辛辣さこそ、この話の興業性を担うものに他ならない。無能というものを不快な事象として描くとき、この話は異様な光彩を放つのである。[投票]
★3許されざる者(2013/日)柳楽優弥の、いかにも邦画然とした狂躁感が、後半、罪悪感の表現に至って、原作を超える感傷をもたらしている。おそらく、彼に対するわれわれの不快が贖われた、という浄化もあるのだろう。 [review][投票]