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disjunctiveさんのコメント: 点数順

★3ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス(2017/米)ブルーカラーを無意識に嫌悪し図書館よりも各種口述に気をやってしまうのだが、ロジスティクスへの軽蔑が無意識だからこそ、聴衆には動物学的に接近できてしまい、人体の情報量が画面を制圧する。 [review][投票]
★3マトリックス レザレクションズ(2021/米)人妻の不倫願望ともいうべきうっすらとした性欲が、脈略のない各種欲望の陳列をリキ・タケウチ的に消化し、五里霧中の筋のフォグライトとなる。武断ギークという撞着語法がレディコミ的感性によって労われている。[投票]
★3ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ(2001/米)文明の受容にせよセクシャリティにせよ政治性の薄い去勢が虚無を持て余し、失われた肉片の追憶に思想の在処を探索する。倒錯した因果関係の外観は内臓が裏返ったような色彩感覚である。 [review][投票]
★3紀子の食卓(2005/日)人を動かすのは観念にすぎないから延々と説明が尽くされるだけだが、人の能力は目に見えるために事態を転がしていく。瑕疵がなくとも家庭そのものを許容できない女権称揚が空論を押し通してしまう。 [review][投票]
★3ホットギミック ガールミーツボーイ(2019/日)普通の妖婦物ではない。天然性の媚びを放散する棒読みは苛立ちではなく逞しさであり、昼メロ事案が襲ってもスリラーの居場所がない。男の口説きに焦らしとムラっ気で対応する媚びの実践は、男の焦燥が伝わってくるほど堂に入る。 [review][投票]
★3モリコーネ 映画が恋した音楽家(2021/伊)ひとつの台詞を消化するのに3名の話者と6つのカットを費やす早漏編集の有様である。素材の量に気圧された操状態が、多様な形をしたオッサンの頭部を譜面のように流していき、モリコーネの薄いキャラクターがその洪水に埋没する。 [review][投票]
★3ベネデッタ(2021/仏=オランダ=ベルギー)天然の信憑性を問う方策が格調につながらない。演出家の形而下的興味は時代劇を軽くして、格調をもたらすべき意図の曖昧さは、狂信と性欲が互換する性急さを悪目立ちさせる。 [review][投票]
★3肉体の門(1988/日)五社演出がノリノリになって怪奇に走ろうとすれば、爆弾が立ちはだかり交通整理して筋の体裁がかろうじて保たれる。情念はウェス・アンダーソンのような箱庭の新宿に押し込められ、五社英雄アトラクションという誰も得をしない奇怪な外観となる。 [review][投票]
★3赤西蠣太(1936/日)天然ゆえにリミッターの外れた男に出来ないことはなく、内面を持たないために間者にはうってつけだが、話は人を叙述する営みだから無内面には耐え難く、原田甲斐という形で千恵蔵を分離して、ガチガチに作為的な旧劇の芝居をやらせる。 [review][投票]
★3眺めのいい部屋(1986/英)道学者と称して社交の手続きを無視してくる男の甘えが業腹である。引っ越しという経済的な名目で脅されたほうがよほど受容できる。むしろ脅しを欲していたのだが、引っ越しという物証でなければ女は自分の欲望に気づかない。 [review][投票]
★3ロケットマン(2019/英)性欲と仕事が絡み月並みな痴愚となったのであれば、性欲から愛を遠心分離するべくステージは回り始める。最後に至る純愛は性欲的には一方通行だからこそドキドキがあり、セクシャリティの疎外感が訴える射程を越えていく。 [review][投票]
★3バジュランギおじさんと、小さな迷子(2015/インド)事件の端緒となり大人たちに災厄をもたらすのは、ルッキズムにスポイルされた幼女の乱脈である。しかし生存戦略に忠実な媚びは大人たちを腑抜けにして行政を恣意的に運営させる。これは二重のマッチポンプである。 [review][投票]
★3人斬り(1969/日)演技観が芝居を支配するのではなく、役者の肉体の個性に引っ張られるままに、勝新と裕次郎と仲代がそれぞれジャンルの違う芝居をやっている。文字面では会話が成立しても絵面がホンを裏切り続ける。肉体に介入を試みる文意は肉体に拒まれる。 [review][投票]
★3ブラッド・ウェポン(2012/香港)無法の自由を謳歌する行政不信は、自由だからこそ対処療法に促されるまま、目的もなくクアラルンプールの街頭を荒らし回る。公園の沈んだ水底を漂う無意識の流れが人を操るのである。[投票]
★3夢二(1991/日)原田と玉三郎に演技を矯正されても、キャピキャピする大楠に悲鳴を上げてしまう沢田。彼の躁は観測の権利を巡る闘争に起因するのだが、この舞台調では観測が原理的に困難である。効いてくるのは原田が体を張って作った沢田不在の時間だ。[投票]
★3人間革命(1973/日)敗戦のトラウマを利用して男を動機づける起業映画としての体裁が、拘置所の大回想が始まると独房に木霊する喘ぎ声に挫かれる。教義は倫理的な応報機構からの解放を求めるが、宗教の近代化は宗教を無用にする意味で論理エラーである。 [review][投票]
★3劇場版 仮面ライダー555 パラダイス・ロスト(2003/日)組織内事情への内向が抵抗の理由を不明瞭にする。人でない方がかえって幸福に見える。行政案件に政治が対応した類型であり、社内恋愛の拗れが業務を滞留させる。怪人組織がこのロマン主義に苛立つと、各集団の要を得ない目的が理念レベルで浮上する。[投票]
★3浅田家!(2020/日)就職の心配がなかった点は幸福だったと三島は戦時中を回想している。主夫家庭の不安が安寧を求め、震災というその戦時経済を引き寄せ、事態を社会化するのである。自衛隊は戦時のシンボルと化し、救助そっちのけでひたすら焼野原を行軍する。[投票]
★3死刑にいたる病(2022/日)どこから見ても不審者にみなが嬉々として心を許していく。阿部サダヲがこの無防備に憤るくらいだから語り手には瑕疵の自覚がある。サダヲを招いた被害者の心のスキマこそ問われるべきとされるが、サイコの運動が目指すのは人々の属性の漂白である。 [review][投票]
★3峠 最後のサムライ(2022/日)北越戦争しか扱わないのはひとつの見識だが、小説とは違いこの人物の行動原理を碌に知らないまま修羅場に放り込まれる結果、オッサンのキャバクラ説教を2時間にわたり上映する狂人劇になっている。 [review][投票]