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DSCHさんのコメント: 更新順

★2サタンタンゴ(1994/ハンガリー=独=スイス)鐘の音、汚いアコーディオンのメロディがこびりつく。体臭や口臭、饐えた臭いに満ちている。ノアの洪水のように雨がいくら降っても何も洗い流せず、その感傷も含めて何もかも無価値だ。カットの長さの意図も分かる。ニヒリズムの極北を語る不退転の覚悟は無二のものがあるが、まあ、有り体に言って、大嫌いな映画だ。何か嫌いなものに立ち会えば、逆説的に、自分が何が好きかわかる。そのことは大変有意義なことだと思った。 [review][投票(1)]
★4最後まで行く(2014/韓国)大山鳴動して鼠一匹の奥行きのなさが残念だが、コーエン嫡流的なノワールコメディとしては十分以上に面白い。即ち運命(プロット)に嗤われる主人公。あたふたと情けなくエネルギーを発散する人間のおかしさ。爆笑ポイント多数。 [review][投票(1)]
★4ノック 終末の訪問者(2023/米)終わった時にスリラーを飛び越して「良いものを観ていたのだ」と気が付いて驚いた。原作が良いのかもしれないが、強迫観念的に物語を説明しひっくり返しにくるシャマランも、寓意の余白を残して冷静に踏ん張ったと思う。抑制の利いたバウティスタさんにも加点。 [review][投票(4)]
★4ドラッグ・ウォー 毒戦(2012/香港=中国)策謀も、捜査も、痛みや死ですらも、ひたすらに手続き的。無情緒による情緒というものがある。混迷が底無しに深まり、崩れかけても崖っぷちの爪先立ちで無表情を貫くスン・ホンレイから、却って無常感が立ち上がる。好演である。対してひたすらに濃ゆい顔面のルイス・クー。 [review][投票(1)]
★4マッチ工場の少女(1990/フィンランド)「マッチ売りの」ではなく「マッチ工場の」である。雨雪をしのぐ屋根と定収はあり、一応生存には困らないが、地味な悲惨が山積。カティ・オウティネンは実年齢31才で、「少女」と呼ぶには無理があるが、やはり「老けた少女」である必然性があったのだろう。この辺も「絶妙さ」のように感じる。 [review][投票(4)]
★2マリグナント 狂暴な悪夢(2021/米)???「不安、緊張、恐怖、先の見えない展開で観客を宙吊りにし、解決への興味を持続させる。そして、物事には必ず裏表がある。サスペンスの基本だね。」ジェームズ・ワン「ほーん・・・」 [review][投票(1)]
★4ノースマン 導かれし復讐者(2021/米)動物映画。獣性の発露が人間性の発露と同義になる、まさに神代の物語。あらゆる獣、獣、獣(人間)。正調復讐劇に、火、風、水、土の四大エレメント、光と闇と、昼と夜、そして生と死。もっともらしい顔をして結構な厨二感があって満腹。剣戟に鋼の重みがあり、泥臭くていい。そしてエガースの撮るアニャさんはここでも正しい。お美しい・・・ [review][投票(2)]
★4戦慄怪奇ファイル コワすぎ! 史上最恐の劇場版(2014/日)半日かけて、ぶっ続けで観てしまった。それにしても、私は一体、何を観せられていたのか・・・(採点評価は、オリジナルビデオシリーズを含みます) [review][投票(2)]
★3ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結(2021/米)一見さんお断りなのか知らないが、そのメンタルで何故そうなるのか分からないキャラの乱舞、百歩譲ってそういう物語としても使い捨て・卓袱台返しの濫用でエモーションが滅茶苦茶。その割に鼠少女の大見得が読めてしまう(感動的だが)等とにかく歪で、ウェットにしたいのかドライにしたいのかどっちやねん、と。しかし、だからこそジョン・シナの真っ直ぐな「信念」の狂気が屹立するとも。 [review][投票(1)]
★5私の少女(2014/韓国)割り切れないものを割り切ろうとするのは想像力の欠如、理不尽な暴力だが、怠慢で脆弱な社会と法は「秩序」を守るため、意識的か無意識的であるかに関わらず、時としてその暴力を振るう。抑制を強いられ、不条理への怒りと、何より己自身の割り切れない揺らぎに震えながら拳を固め、眼を閉じるペ・ドゥナに胸が締め付けられる。「あなたに話す必要はない」。この言葉と越境の重み。彼女のベスト演技かもしれない。 [review][投票(4)]
★4ハイ・ライフ(2018/独=仏=英=ポーランド=米)私の中で「宇宙×密室×スリラー×人間のドロドロ×生命」の頂点は『火の鳥』(宇宙編)なので、この観点からするとこれでも尚ぬるい。「罪」をはじめとした情報の開示も少な過ぎるし、人体実験と並置されるミッションの関連性も分からない。しかし審美的な面は相当なもので、これほど完全に光を吸い込む「深宇宙」感は未知で痺れる。あと、ミア・ゴスはやはり逸材。これは断言できる。[投票]
★3渇き(2009/韓国)神だの背信だの地獄だの、勿体ぶったモチーフが下世話な「痴情のもつれ」とグロ、情念に蹴散らされていく可笑しさ。結局人間てそんなもんやん・・・で済ませていいのか分からない食えない映画。たまにコーエン兄弟がどこまでふざけてるのか分からないの撮るでしょう。あれに近い印象。 [review][投票(1)]
★5君たちはどう生きるか(2023/日)宮崎駿の臓物(はらわた)。 [review][投票(8)]
★4X エックス(2022/米)腐っても、狂っても、愛。グロテスク。それでも、だからこそ、愛。主線は古典的スラッシャーだが、「B級」というある種の安全牌に甘えない創意と、意外なことに、(不快だが)切ない余韻がある。不穏な俯瞰視点やロングショットの緊張感、監督自ら手がける編集の独創性も見もの。そしてミア・ゴスのポテンシャルの高さ。 [review][投票(3)]
★3犬王(2021/日)一世一代、文字通りの命懸けの舞台、ほとんど決死戦みたいなところに振り切れた情念やドラマが収斂せず、何か期待に反した苦味が残る。史実(というほどのものはないのかもしれないが)など無視して、もっと跳躍すれば良かったのに。原作が悪いのか、読み手が悪いのか、私にはよくわからない。あと、アヴちゃん森山未来が負けている。向井秀徳先生じゃいけなかったのか。まあいけなかったのだろうな、、、 [review][投票(2)]
★5ナイト・オブ・ザ・リビングデッド ゾンビの誕生(1968/米)作り手は政治的な映画とはしていないようだが、都市伝説がその時代の人々の潜在的欲望と恐怖、罪悪感のインデックスである(押井守)ように、優れたホラーやSFもまた、意識的であるか無意識であるかに関わらず、時代と無縁ではいられない。歴史や道徳(!)の授業で、今こそ観るべき映画とすら感じる。「非常事態」のドサクサに、人間は何でもするのだ。「気が付いたら正座させられていた」娯楽映画の模範。 [review][投票]
★4グッドフェローズ(1990/米)「法」はなく、「徳」すら売られた。欲と力、奇妙な錬金システムへの妄執。流麗な諧謔、軽薄さの哀しいギャグ・ギャング映画だった。それでもこの時代には、まだ罪と罰はあった。罪も罰も無くなったら、『ウルフ・オブ・ウォールストリート』の世界に至るのだ。(私のニワカ・スコセッシ観について。) [review][投票(2)]
★4シン・ウルトラマン(2022/日)ポスト『シン・ゴジラ』の強い日本かと思いきや、生きることに飽いた、生かされていることを忘れた日本。庵野印の厭世観で「そうそう、これこれ」なのだが、狙って、皮肉に時代が捉えられている。自らの作品をパロディのように扱ってもおり、人を食ったアクロバティックな作りだが、ウルトラマンの濁りのないデザインが、ギリギリの所に映画を着地させた。 [review][投票(3)]
★5荒野のストレンジャー(1972/米)一見整合性が取れないように見える奇妙な部分が一番の肝のように思える。誰にも(善も悪もなく)容赦ない不条理さは災害を思わせるが、それは公平さですらある。言わばイーストウッドの『ゴジラ』。本気度が窺える「地獄の業火」。 [review][投票(2)]
★3シン・仮面ライダー(2023/日)木梨憲武のドロップキックの方がよほど身体性を感じさせる・・・という冗談はともかく、主人公がいつ「笑えば・・・いいと思うよ」って言うかと思いながら観ました(二つの意味で)。馬鹿馬鹿しくて、正直結構楽しんだんですが、ふざけてる暇があったら次のステップに進んでいただきたいです。 [review][投票(2)]