★3 | タロウのバカ(2019/日) | タロウ(YOSHI )は浮浪少年だ。彼は学校に通うことなく今まで成長して来、その名も母親に貰ったものを捨て、友人たちから改めて得た名前だった。彼の友は二人の男子高校生だ。エージ(菅田将暉)は柔道選手として学校推薦を受けた身だったが、柔道を捨て教師や柔道部員たちに疎まれていた。スギオ(太賀)は、援助交際に勤しむと噂されるピアノの名手・洋子(植田紗々)に切ない恋心を抱いていた。彼らはそれぞれに悩みを抱えながら、それを刹那的な暴力衝動に転換してすべてを破壊し、嘲笑し、暴虐の限りを尽くすのだった。そんな日々のなか、偶然にタロウたちは一丁の拳銃を拾う。それは自由への武器となり得るのか。〔119分〕 | [投票] |
★3 | マザー(2014/日) | 「漫画家楳図かずお(片岡愛之助)の生い立ちを語る本をつくる」楳図のもとにそんな企画を持ち込んだのは、彼とはつきあいの深い出版社の担当だった。彼が伴ってきた若い部下こそが、その企画を立てた思い込みの激しい娘、若草さくら(舞羽美海)だった。さくらは尊敬する楳図の執筆の原動力として、深い絆に結ばれた美しい母イチエ(真行寺君枝)の存在があることを知る。楳図はイチエが亡くなる前、一度死んでよみがえり故郷の村に「お礼参り」をしてきた、と語っていたと聞く。それらのエピソードを調べようと楳図の故郷に向かったさくらは、恐怖すべき体験をするのだった。虚実取り混ぜた漫画家楳図のエンターテインメント・フィルム。〔84分〕 | [投票] |
★3 | 米軍(アメリカ)が最も恐れた男 その名は、カメジロー(2017/日) | 第二次大戦当時、沖縄は米国艦隊への防波堤として、日本軍中枢部には見放されむしろ壊滅を望まれていた。その地獄そのものの環境を生き延びた瀬長亀次郎は、沖縄の米軍統治後も不沈空母として便利に使われ続ける状況に怒り、自ら抗議の声を上げた。弁舌に長け、何よりも「不屈」の精神をもって果敢に米軍に挑む勇気を賞される瀬長は、周囲の圧倒的な支持を得て那覇市長となるが、彼と人民党に共産主義の影を見た米国は、明らかな敵として陰に陽に潰しにかかるのだった。そして、布令によって入獄経験がある瀬長は参政権を剥奪される。しかし、沖縄人民の不変の支持とともに、彼は怯まずに抵抗運動に邁進するのだった。〔107分〕 | [投票] |
★3 | センコロール(2005/日) | 怪獣の出現に湧く小さな街。柔軟でプリミティヴな複数の怪獣たちに市民が投げかけるのは漠然とした諦念に過ぎず、自衛隊の単発的な抵抗を無視すれば、かれらは夏の市街に溶け込みかけたオブジェに他ならなかった。そんな中、女学生のユキ(花澤香菜)は他生徒の自転車に興味をもつ。それは精巧な擬態をとった怪獣であり、彼女の好奇心をくすぐるものだった。だがその怪獣…「センコ」の飼い主である少年テツ(下野紘)はうざったがって関わるな、とユキに釘をさす。それでも、ユキはセンコにちょっかいを出すのだった。そしてもう一人の関係者・少年シュウ(木村良平)は彼の所有する怪獣とセンコを戦わせたがり、嫌がるテツのためユキを人質にとる。〔30分〕 | [投票] |
★3 | ハル(2013/日) | 近未来の京都。移民を受け入れるようになったこの国だったが、少子化問題がことのほか酷くなっている昨今、ロボット労働者は貴重な助け手となっていった。ロボット労働者の「キューイチ」は、恋人を事故で失い生きる気力を奪われた孫の支えとなってくれ、と雇い主の老爺・時夫(大木民夫)に頼まれる。その翌日、青年ハル(細谷佳正)は医師の荒波(辻親八)とともに、ある小物屋を訪れる。そこに住んでいる女性、くるみ(日笠陽子)は事故以来ふさぎ込んでいたが、ハルはここに日参して彼女の生活のケアをすることになる。ハルを拒絶する彼女だったが、恋人との思い出の品を通じてくるみの心は次第に開いてゆく。〔60分〕 | [投票] |
★3 | 海獣の子供(2019/日) | 不器用な中学生の少女・琉花(芦田愛菜)は、夏休みに部活でトラブルを起こしてしまい、教師から帰宅を命じられた。途方に暮れた彼女は、父(稲垣吾郎)の勤務する水族館に足を運び、幾度となく訪れた大水槽の前に佇む。そんな時、短髪の少年・海(石橋陽彩)が大水槽内を泳ぎ琉花の前に降り立った。フレンドリーな海は生まれたときよりジュゴンに育てられ、この水族館に調査をかねて居場所を作ってもらったのだという。彼に惹かれる琉花だったが、同じ環境で育った海の冷徹な兄・空(浦上晟周)に冷笑され、少なからず気分を害するのだった。同じ頃、異変が地球に起こり始める。鯨たちは歌い、流星の流れるなか魚たちが日本近海に集結するのだった。〔111分〕 | [投票] |
★3 | ラスト・タンゴ(2015/独=アルゼンチン) | マリア・ニエベスとフアン・カルロス・コペスのふたりは、一時代を築いたタンゴ舞踏コンビだ。赤貧の生活のなかで夢をはぐくんだ少女マリアは、オールバックの伊達男コペスのリードで舞台に立ち、瞬く間に才能を開花させた。コペス・スタイルと呼ばれた舞踏法で不世出のダンサーの名を得たコペスに、マリアは深い愛情と信頼を寄せるのだが、コペスにとってマリアはおのれの野望のための名楽器に過ぎず、彼女の想いを踏みにじるのであった。物語はふたりの愛憎と成功の軌跡を軸に、コペスを演じるパブロ・ベロンとフアン・マリシア、マリアを演じるアレハンドラ・グティとアジェレン・アルバレス・ミニョの舞踏を添えて、彼らの全貌を明らかにする。〔85分〕 | [投票] |
★3 | ちいさな英雄―カニとタマゴと透明人間―(2018/日) | 母親(佐々木優子)が姿を消し、父親(てらそままさき)までも陰鬱な色の水流に奪われたカニの兄弟、カニーニ(木村文乃)とカニーノ(鈴木梨央)は川底を渡り、親たちを奪った存在の正体を暴くべく旅立つ…「カニーニとカニーノ」。卵アレルギーを障碍として背負う小学生(篠原湊大)と、彼の身を案じるダンサー志望の母(尾野真千子)の奮闘の日々…「サムライエッグ」。誰からも振り返られず、その存在すらも認識されない孤独な青年(オダギリジョー)。彼に初めて声をかけた老人(田中泯)がいた…「透明人間」。スタジオポノックによる3編の短編アニメ作品のオムニバス。〔54分〕 | [投票] |
★3 | わすれなぐも(2012/日) | 古書店の店主・硯(土田大)が所有する秘蔵の古文書には封印が為されていた。昔、都を襲った化け蜘蛛をとある陰陽師が書に閉じ込めていたいわくつきの一冊だ。だが、硯の店に家賃を取りたてにきたオーナーの孫娘・瑞紀(下田麻美)は、意味もなくその封印を破ってしまった。その結果の事件があるとすれば、古書の中から転がり出たひとりの愛くるしい姫君(金田朋子)の出現であった。母蜘蛛恋しと泣く姫君の姿を見かね、硯は彼女を母のもとに返してやろうとするが、そういう彼のただならぬ目の色に危険を見た瑞紀はオーナー(星野充昭)に事情を告げる。アニメ振興プロジェクト「アニメミライ」の参加作品。〔25分〕
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★3 | 愛がなんだ(2018/日) | OLテルコ(岸井ゆきの)は知り合いの結婚式でマモル(成田凌)に出会って以来、全く一方的な献愛に生きてきた。「体調がおかしい」との連絡が入れば仕事を放り出してマモルの部屋に向かい、料理をつくって食べさせる。彼の電話があれば夜中でも駆け付けるテルコのことを、親友の葉子(深川麻衣)は批判するが、彼女は聞く耳を持たなかった。しかし、マモルはといえば彼女を便利な人間としか思っておらず、気まぐれに抱き合った翌朝も仕事に出かけ、自室から追い出すのだった。仕事を辞めたテルコが、数か月のブランクののち電話で一報をよこした彼に会いに行ったとき、そこにはガサツだが大らかなマモルの先輩すみれ(江口のりこ)がいた。〔123分〕 | [投票] |
★3 | いのちの朝(1961/日) | 吉元小次郎(宇野重吉)はベテランの画家だったが、野菜をモチーフに使う小品ばかりを公にし、大衆に注目されることがなかった。そんな彼に長年寄り添ってきた妻の純子(高野由美)や長女の春子(小園蓉子)は画題の変化を求める忠告をするが、保険の勧誘員である次女・冬子(芦川いづみ)は父のやることならば、と異言を挟まずにいるのだった。だが、かつて弟子と呼びながら、破門した沢辺(内藤武敏)がビエンナーレ展で認められたとの情報を得た吉元は、友人で彼に個展開催を薦める画家・村野(清水将夫)の注文を呑み、人物を描く大作に着手する。それは朝日を仰ぐ冬子の姿だったが、吉元は頑固さを露わに彼女に注文をつけるのだった。〔69分・白黒〕 | [投票] |
★3 | 多十郎殉愛記(2019/日) | 幕末の京都。勤皇・佐幕をそれぞれに掲げる志士たちが跋扈するこの街に、長州の脱藩浪人・多十郎(高良健吾)は暮らしていた。小料理屋の女将・おとよ(多部未華子)に世話を焼かれながら怠惰な毎日をおくる彼は、滅法剣が強いことで皆の信頼を得ていたが、その実脱藩したのは大望のためではなく、親の借金を踏み倒す目的からに相違なかった。一方、新選組の勢いを黙認していたものの立場を失いつつあった京都見廻り組は、多十郎の漏れ出でる才能の噂を不審に思い、徐々に彼を監視するようになってゆく。そんなとき、多十郎の弟で勤皇に燃える数馬(木村了)が兄を説得にやってくる。だが数馬は権力に牙を剥き、あげくに斬撃を両眼に受ける。〔93分〕 | [投票] |
★3 | スパイダーマン:スパイダーバース(2018/米) | 少年マイルスは、警官である父親の薫陶を受けた正義漢ではあったが、どこか周囲の環境に違和感を抱き続けていた。そんな彼は偶然から蜘蛛に噛まれ、はからずも異常な能力を身につけてしまった。それが彼に託された運命の能力であることをスパイダーマン、ピーターより指摘されたマイルスは困惑するが、その眼前でピーターは絶命してしまう。スパイダーマンの名を継ぎ、マイルスは時空の歪みを世界に齎さんと動く悪党キングピンを止めようとするが、今の彼には能力の制御さえ不可能だった。だが、平行宇宙で命を長らえたピーターが現われ、マイルスの能力を引き出そうとする。さらに女性戦士グウェンら異世界のスパイダーマンたちが助っ人に現われるのだった。〔117分〕 | [投票] |
★3 | 麻雀放浪記2020(2019/日) | 戦後。秩序なき街に実利だけを求めて博徒たちが闊歩していた。その中で若きギャンブラー坊や哲(斎藤工)は、百戦錬磨の敵たちを前に幻の役・九蓮宝燈を成立させるとともに稲光の中に消えた。彼が目覚めたとき、周囲に広がる光景は2020年の世界だった!混乱する哲をアイドル雀士のドテ子(もも)、芸能プロ社長のクソ丸(竹中直人)が保護する。再びの戦争で乱れ切った日本には麻雀ブームが巻き起こり、哲をイケメン雀士として売り出せるとふんだクソ丸だったが、彼は一世一代の大博打の待つ昭和時代に帰れない、と途方に暮れていた。対戦相手(ベッキー/的場浩司/小松政夫)を求めて、哲は時間遡行の方法を模索しつつ対戦を重ねるのだった。〔117分〕 | [投票] |
★3 | ぷかぷかジュジュ(2012/日) | 日曜日のミカ(加藤英美里)がふくれっ面なのは、パパ(三宅健太)が嫌いだからじゃない。毎度パパは海に連れて行ってくれると約束するのに、その日になるとゴルフに行ってしまうからだ。ママ(岡村明美)は代わりにお庭にプールを用意してくれるけれど、ミカの気分は晴れなかった。でもある日、パパが買ってきたフロートボードのジュゴン「ジュジュ(梅田貴公美)」が、ミカを海に連れていってあげると言い出した。ジュジュはミカを背中に乗せると、プールの底に広がる大きな空間…海の世界に向かう。そこには、海の女王ミミカ(水橋かおり)が待っていた。アニメ振興プロジェクト「アニメミライ」の参加作品。〔25分〕 | [投票] |
★3 | 家族のレシピ(2017/シンガポール=日=仏) | 高崎市。青年・真人(斎藤工)は父・和男(伊原剛志)の経営するラーメン屋で、もうひとり叔父の明男(別所哲也)とともに働いていた。父は寡黙に徹して真人に料理の技を伝えようとはせず、結局自宅で自ら研究し父の味を再現しようとするのが息子の日課であった。そんな日々のなか、和男は調理場で突然死する。父の遺品を片付ける真人は、彼の幼時に帰らぬ人となった母メイリアン(ジネット・アウ)の日記を見出す。父が語らなかった母との暮らしに何があったのか。真人はかつて生活していたシンガポールに向かい、交流のあるフードブロガー・美樹(松田聖子)の力を借りて母の家族を探す。そこには食堂を営む叔父ウィー(マーク・リー)がいた。〔89分〕 | [投票] |
★3 | なっちゃんはまだ新宿(2017/日) | 「なっちゃん(菅本裕子)」が出現したのはある日のことだった。地方の高校で評価されはじめた学生ユニット、POLTAのマネージメントをしている秋乃(池田夏海)が、男友達である岡田(河西裕介)に恋心を寄せはじめた矢先に彼の恋人として知った娘が、通称なっちゃんという他校生だ。色白で友達がいない、でも笑顔の素敵ななっちゃん。彼女のことをもっと知りたい、と渇望する秋乃の思いの結晶のように、ついに妄想の彼女は自室に現われる。ソフトクリームを嘗めながら心を打ち明け合う秋乃となっちゃん。そして岡田が現実のなっちゃんと別れたのち、彼と恋仲になった秋乃の前から、なっちゃんは消えた筈だったが…?〔93分〕 | [投票] |
★3 | パプーシャの黒い瞳(2013/ポーランド) | ことばを綴る文字も、定住する土地も持たないジプシーの一族に少女パプーシャ(パロマ・ミルガ)は生まれた。皆に災いをもたらす娘となる、との占いの結果のように、彼女は幼くして異邦人に文字を習い、思いを書きつける習慣を覚えた。長じてパプーシャ(ヨヴィタ・ブドニク)が父親ほどの年齢差をもつディオニズィ(ズビグニェフ・ヴァレリシ)を連れ合いと成してのち、一行によそ者のイェジ(アントニ・パヴリツキ)が宿を求める。作家である彼はパプーシャに興味をもち、彼女の口ずさむ詩を原稿に書き、本とすることを薦める。イェジはディオニズィら一行に全国での楽器演奏権をもたらすが、彼の執筆はジプシーたちにとって異端の業だった。〔131分/白黒〕 | [投票] |
★3 | planetarian〜星の人〜(2016/日) | 戦争によって文明の衰退した地球。地は雪に閉ざされ、空は厚い雲に覆われていた。そんな雪原を「星の人(大木民夫)」と呼ばれる老人が進んでいた。各所の村落を廻ってきた彼は道半ばで倒れ、ある村の子供たちに救われる。迎えた村長(竹口安芸子)は、彼の物語を知っていた…。数十年の昔、屑屋と呼ばれる青年兵士(小野大輔)は封印都市という地区に踏み入った。往時の面影を残すその街はロボット兵によって守られ、屑屋も苦戦しつつあるビルに逃げこんだ。そこで彼は、「ほしのゆめみ(すずきけいこ)」と名付けられた昔のプラネタリウムの解説少女ロボットに出会う。自らを壊れていると自覚する彼女は、屑屋を歓迎し星の映像を見せようとするのだった。〔117分〕 | [投票] |
★3 | ある戦争(2015/デンマーク) | アフガン。タリバンと戦うデンマーク兵たちは、仲間の一兵士を地雷で失いパニック状態に陥っていた。駐留軍隊長クラウス(ピルー・アスベック)は、これを治めるために自身もパトロールに出ることを宣言する。本国の妻マリア(トゥヴァ・ノヴォトニー)との長距離電話で平静を保つ彼ではあったが、隊長として決して部下の士気を低下させる訳にはいかなかったのだ。その途上危険を訴える現地人を、敵兵の銃撃に晒し「殺してしまった」クラウスは後悔に打ちひしがれるが、部下ラッセ(ドゥルフィ・アル・ヤブーリ)までもが瀕死の重傷を負い、ついに援軍による砲撃を求める。ラッセの命は救われたが、クラウスは現地人殺害の汚名を着せられ、法廷に立たされる。〔115分〕 | [投票] |