★5 | 熊座の淡き星影(1965/伊=仏) | ギルシャ悲劇のエレクトラとオレステスの伝説を題材に、米人の妻となったサンドラは、幼い時に父を亡くしていた。その姉と弟との関係。また、父親の謎の死を絡めたミステリィとなっているが、後期作品に一貫として流れる貴族の滅びの美学は、この作品が転帰となった。 [more] | [投票(2)] |
★5 | マリア・ブラウンの結婚(1979/独) | 結婚して一日で出征し、終戦後も帰らぬ夫へルマンを思いながら、マリアは占領軍のバーで働くようになる。そしてそこで出会った黒人兵ビルと愛し合うようになる。戦時中と戦後のドイツが見事に描写される。当時のニュージャーマンシネマの中でも等身大の人間とドイツを描いた。という意味でこれが一番。もっと長生きして欲しかったよ。ファスビンダー様。 | [投票(2)] |
★5 | アゲイン AGAIN(1984/日) | 日本で唯一真のハードボイルドを書ける作家矢作俊彦が、187作の日活映画を集め、そこから、100作27時間のダイジェストを作り、9時間、7時間と、身を削ぐようにして選び抜かれた37本。そこから脚本を作り、「エースのジョー」宍戸錠が案内役となって、かつての対戦相手を追い求めるという斬新な日活アクション映画版「ザッツ・エンターティメント」。その矢作俊彦の思いの熱さに痺れ。日活映画の水準の高さに慄く。今の日本映画に到底見つけることが出来ないモノでぎゅうぎゅうに詰まっている映画だ。 | [投票(1)] |
★5 | グライド・イン・ブルー(1973/米) | 白バイ警官ジョンは、私服警官になることを夢見て毎日相棒のジッパーと交通違反の取締りをしていた。自殺事件をきっかけに、担当刑事のハーブに認められ、捜査の助手に任命される。ハーブ刑事はジョンを気に入るが、実はジョンの恋人がハーブ刑事の女であることがわかる。白バイ警官に戻されたジョンは容疑者を発見し、大追跡の後についに逮捕する。しかし、夢にまで見た刑事の仕事の中に、権力の横暴と人間の強欲を見たジョンは、孤独を見つめ、真実の声を聞く。 | [投票(1)] |
★5 | バタフライ・キス(1995/英) | ユーのブラウスの下には、幾つものチェーンとピアスが体を覆う。
殉教者だというユー。神に裁かれたいというユー。ミーは、ユーのことを「なんだかわからないけど」ついていく。そしてユーの役にたちたくなる。ユーは誰かを探して旅をする。ユーが人を殺して、逃げる度に死体は増えていく。ユーはミーから愛されていることに気づかないのか。愛されることを知らないのかもしれない。そもそも、探しているものなどなかったのかもしれない。
そして、どこかでミーはユーと同じになる。
バタフライ・キス。触れるか触れないかの微かなやさしいキス。
あなたの声は神に届いたのかわからないけど、あなたを愛する人とは出会えたようですよ。 | [投票(1)] |
★4 | アメリカン・サマー・ストーリー(2001/米) | 伝統的アメリカ映画のヤリタイ男の子と女の子映画。前作「アメリカンパイ」のきちんとした続編。前作から売れた役者たちもきちんと勢揃い。めでたく高校卒業前に童貞を捨てた仲間は、はじめての夏休みは、さらなる欲望のためにビーチハウスを借りる。そこを舞台としたそれぞれの夏。ささやかな笑いに包まれた、やりたい!というエネルギーの巨大さと明るさ。挿入音楽はgreen day などなかなか2001年的にキャッチイで、映画の爽やかさを増す。 | [投票(1)] |
★5 | マルホランド・ドライブ(2001/米=仏) | 必要ない、まったくの蛇足で、TVシリーズとして作成されたパイロット版のあらすじを以下の解説に。そして、あまりに、これは『ツイン・ピークス』を彷彿させる導入。TVシリーズで観たいよ。と思わすもののABCに断られ、映画という形に編集されて正解だった。のか。。 [more] | [投票(1)] |
★4 | 渦(2000/カナダ) | 私にはどうしてもこの物語は現代文学の中においても立派な一作と読めてしまう。という盲目ぶりなので、《G31》様のあらすじ以降の物語を。
不粋なネタバレで。映画を観た人も、物語としてよむとね。ね。こんなに面白い。はず。。 [more] | [投票(1)] |
★4 | 愛のコリーダ(1976/日=仏) | 料亭に住み込みに来た阿部定と、その店の主人は、遊びで性交をするうちに、次第に惹かれあう。そして、駆け落ちまでする二人は、僅かに会わない時があるだけで狂おしくなり、待合に閉じこもったまま、激しさをまして愛し合う。
人が愛ゆえに「殺しましょう」やら「殺されましょう」までにいたる気持ちを、ひたすら性愛の描写を続けることで描く。性愛こそが純愛なのか。純愛が性愛なのか。誰もが知っているアノ描写では、恐さよりも、人の美しさを観ることができる。 | [投票(1)] |
★4 | ボーイ・ミーツ・ガール(1983/仏) | アレックス3部作の第一作。恋人を親友にとられたアレックスは、親友と争い、刺そうとするがおもいとどまる。自分史にこう記す。「最初の殺人未遂、83年5月25日。グロ・カユーの河岸にて。」同じような境遇のミレーユと出会い、彼女の行くパーティへ潜り込む。アレックスは、ミレーユに激しいデジャブをもち、恋がはじまる。パーティが終わっても話しつづける二人。アレックスの拭いきれない孤独感は、幻想を生むのだが、それらは一層増幅されてアレックスへ戻ることとなる。 [more] | [投票(1)] |
★5 | 汚れた血(1986/仏) | 20世紀末のパリ。愛が無いセックスで伝染する病が蔓延。ハレー彗星の異常接近で夜は歩けないくらい熱い。息苦しさを覚えるアレックスは奇病の特効薬強盗計画に荷担。この、フィルム・ノワール、メロドラマ、近未来SFの要素を放り込んだ、計算された色彩の街で、奇跡的な役者の演技を使った、ひたすらひたすらどこまでもどこまでも疾走してしまう青春映画。アレックスシリーズの二作目。 | [投票(1)] |
★4 | シャッフル(1981/日) | 大友克洋の原作を忠実に映画化。なのかもしれないけど。これカッコいい!主人公が目覚めるアパート。その短いカット。カット。映像のハードボイルド。そして映画のほとんどが原作どおり走りつづける。この部分がモノクロ。そして、回想シーンがカラーとなって、彼のモロモロの事情が解説されるのだけど。それはよし。ただただ、ひたすら走るモノクロ。この漫画を映画にしようという、昔の石井聰亙は、すごい。登場人物をひたすら走らせる。これだけで映画になるんですよ。石井さん! | [投票(1)] |
★5 | 泳ぐひと(1968/米) | 原作は郊外小説家としてアメリカでは有名なチーバーの短編小説。この映画が大好きなのだけど、ビデオやTV放映などで見直すことが難しいようなので、あえて<ユージさん>のあらすじにこの映画の肝心なラストを書くという、蛇足きわまりない宣伝をしてみます。書かせて!そして、気にしない人だけ読んで!そして、運がよければ。観ろ!
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★4 | 白夜(1957/伊=仏) | マストロヤンニ達と設立したプロダクションの第一回作品で、すべてセットで撮られた。港町で青年マリオマストロヤンニは毎晩運河の橋で人を待っているナタリアシェルと会う。ナタリアは一人の男を愛したが、一年後運河の橋のたもとで再会の約束をして、男は街を去っていった。悲嘆に暮れるナタリアにマリオは愛を告白した。彼女も次第に現実のマリオの愛を受け入れようと心は傾きかけるが。。
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★5 | HANA-BI(1997/日) | 元刑事の西ビートたけしには、不治の病に冒された西の妻岸本加代子がいる。また、刑事時代の同僚の堀部大杉漣は、捜査中に銃弾を受けて下半身不随となっていた。西の妻への想いと、堀部への想いを言葉を使わない映像で描く。やくざから借りた金で妻とともに逃亡をするというロードムービーの形で、暴力と叙情、動と静を巧みに描きわけるという、北野武映画の総集編か。 | [投票(1)] |
★4 | プロミスト・ランド 青春の絆(1988/米) | デイヴジェイソンの家では高校のバスケットの優勝パーティが行われていた。デイヴと同級生のダニーキーファーは、ほのかに恋をしていたデイヴの恋人メアリートレイシーに別れを告げた後、その日街を出て行った。それから数年が経ち、デイヴはアッシュビルの警察官っとなり、メアリーは大学生になっていた。そしてダニーは夢も希望を喪い、敗れた人生を送っていたが、出会ったばかりのあばずれ(死語好きです)女ベブメグと結婚をし、故郷に戻り再び人生をやり直す為故郷に戻るが。。青春の光と影。夢と挫折の巡り合わされる場所こそ、約束の地なのか。 | [投票(1)] |
★5 | フラート(1995/日=独=米) | ニューヨーク、ベルリン、トウキョウで起こる3つのオムニバス映画。まったく関連のないそれぞれの都市の登場人物たちは、言葉は違うが、ほとんど同じ台詞をはなす。同じ言葉なのに、全く違う感情と、異なる受け取られ方。異なる3つの場所で同様の状況が起こったとき、異なる文化と登場人物の異なる個性や性別によって、どんな変化、活力の違いが現れるのか!というオムニバス全体を通じた奇妙なメッセージ。 [more] | [投票(1)] |
★4 | 告白(1981/米) | 1948年ロザンゼルス。カソリックの司祭デスロバート・デニーロは建設業界の大物ジャックの娘の結婚式を行っていた。その頃、売春宿で男の死体が発見、続いて娼婦が殺される。デスの兄で警官のトムロバート・デュバルは教会関係者とジャックが関係しているとにらみ、そこへデスも浮上してきた。 この当時の二人が神父と刑事という兄弟での対決という様は絶品すぎる。 [more] | [投票(1)] |
★5 | 愛すれど心さびしく(1968/米) | 口がきけず、耳も聞こえないシンガーは、親友が精神病院へ送られたため、独りで部屋を借りて住む。その部屋は娘ミックの部であったのだが、事故で骨を折った父の医療費にあてるために貸す事にしたのだ。
他者と通じ合うことが難しい世界に生きるからこそ、あたたかさを求め、同じような孤独な人々が彼の仲間になってきた。
彼の周りを囲む人々に不幸の網がめぐらされると、彼はそれを彼の方法で知り、彼の方法で孤独な人々の心に明りを灯す。マッカラーズの原作を役者人の好演により、鮮やかな映像化に成功。
映画のラストで人間の孤独の深さを突きつけられる。
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★5 | さらば箱舟(1982/日) | 架空の村“百年村”を舞台に、いとこ同士が結婚すると豚のシッポの生えた子供が産まれるというタブーを犯して一緒になった山崎努と小川真由美の運命を縦糸に、村落共同体が近代化へと脱皮していく過程を横糸にして織り成された、約一世紀にわたる一家の興亡を描く一大叙事詩。ロケ地の沖縄で描かれた寺山映像詩の到達点であり遺言である。G・マルケス「百年の孤独」の映画化として完成するも、マルケスに頑なに断られた作品だが。寺山からみたマルケスとの共通項も、マルケスとしては受け入れられなかったのだろう。が、(コメントへつづく) | [投票(1)] |