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[POV: a Point of View]
年代別ベストの不思議
50年代〜70年代の区切りは明確に感じても80年代〜2000年代の区切りはボーダレスなんだよ

A:1900年〜1940年代 B:1950年代 C:1960年代 D:1970年代 E:1980年代 F:1990年代 G:2000年代
E★5風の谷のナウシカ(1984/日)地政学的広がりと歴史的時間軸を精緻に設定して巨大なクロニクルの一端を垣間見たようなロマンティシズムが発生。清冽な風吹く空と澱む腐海の高低差の表現とそこを縦横に飛翔するダイナミズム。ナウシカの無為と余りに人間的な脇役陣。対比は須らく成功した。投票(3)
E★5家族ゲーム(1983/日)盛り込むではなく削ぎ落とすアプローチで60年代ゴダール的ポップへの回帰が図られた上でボソボソ声の優作が止めを押す。十三さおりの硬軟助演の妙もハマり全てが理想的な上、ブニュエルな晩餐から終末示唆の午睡。神業的な出来だ。投票(3)
E★5サンタ・サングレ 聖なる血(1989/伊=メキシコ)大空を舞う1羽の鷲が見下ろす人間界の寓話が象の葬式によって幕が開くというのが訳はわからんまでも一種の神話性を獲得し得ていると思う。それがごった煮的展開の果てにトラウマからの開放で収束するのが意外に整然として快感。投票(5)
E★5ジャズ大名(1986/日)映画とはカットが絶妙なリズムで紡ぎ上げられ産まれる快楽の止め処ない連鎖であることを思い知らされる。支離滅裂が殆どシュールの域に到達する終盤の一大狂熱!限定セットを逆手に取って迷宮を現出させる錬金術師喜八。終わったかに思えた晩年の狂歌。投票(6)
E★5台風クラブ(1984/日)刻々と迫り来る台風の予兆と淡い危機への緊張と切迫の狭間で何かにつけて自制が効かずにイラつく中学生の生理が同期し過剰反応していく。このライブ感覚は生硬な物語性を凌駕しており、雨中の裸踊りこそ相米イズムの理想的達成。むず痒く居たたまれない。投票(3)
E★5ダウン・バイ・ロー(1986/独=米)至芸とか逸品とか珠玉とか言いようはあろうが、同時にジャームッシュにとって2度と超えられぬ最高到達点。主演3者のどうでもよさ気なコラボが至る奇跡的均衡こそ堪らぬ味わい。ミューラーの淡いコントラストとシネスコ使い。ラストも映画史上級。投票
E★5ツィゴイネルワイゼン(1980/日)清順の内在に根差したらしき処から降って涌いたかの如くに確固たる認識で高等遊民を描いた昭和モダニズム世界が現出した点。それが、その技法上の破綻した個性と融合し模倣を許さぬ幽幻に到達した点。孤高の男の追随不可能な映画。投票(3)
E★5パリ、テキサス(1984/独=仏)寄り添って生きることは苦しいが、喪失は更に耐えようがない。しかし、自己完結な放浪では傷は癒えず、直面し相対することでしか状況は打破できないのだ。そして、少年は大人達を後目に成長を続ける。一点一画を揺るがせにしない画面は至福でさえある。投票(4)
E★5マッドマックス2(1981/豪)ミディアムからロングに至るショットの往還が破綻ないリズムで統一され、その中で中世と近世と近代と近未来が歪つに混合された挙句に現出したパラドックスな世界観。しかも、ロマンティシズムと侠気と執拗なまでのチェイス。真似できそうでできない混沌。投票(2)
E★5恋恋風塵(1987/台湾)劇的な何事もないのに充ち満ちる郷愁。計算も多少はあるのだろうが清冽な映像は見たことのない域に達している。野外上映のスクリーンに代表されるストーリーと直に連携しない風景のフレームの切り方が巧く、そういうカットが計算外に意味を醸し出すのは見物。投票
F★5アイズ ワイド シャット(1999/米)最先端の過激度は無い替わりに極上の器が用意され、鬼面人を驚かすハッタリの替わりに揺れ動く心の襞の細部をも精緻を凝らして描くキューブリックの新局面と思われたのに…。クルーズキッドマンのかけ合いには後期ベルイマンの匂いがある。投票(6)
F★5赤い航路(1992/英=仏)冒頭の乳白色の海の深みに誘われ突入する目眩く変態性欲世界は文学情緒満載で時制の構成も巧緻。依存と乖離を往還しながら堕ちてゆく男と女の腐れ縁の帰結はそれ以外にあり得ない必然。そして突き放す。物語のバイブレーションが話法と同期した圧倒の余韻。投票
F★5恋の秋(1998/仏)一見充足した人生に見えても人は皆本質的には孤独に苛まれ続ける。5人の男女の変幻自在な組み合わせの妙が産み出す全く予測のつかない正真正銘のドラマの醍醐味。均等に描かれた5人から抽出された1人がラストの落としどころとしてビンゴ!投票(2)
F★53−4X10月(1990/日)平素がどうであれ男達が有する内に秘めた怖さの突発的表出に対する既視感を繰り返しクローズアップ。わけてもたけし渡嘉敷コンビの個人史に基づくリアリティが傑出してる。シュールな展開も脳内組成でない肌感覚。北野最高作。投票(3)
F★5シンドラーのリスト(1993/米)基本私利の為なシンドラーの複層なキャラ付けがあるにせよ、状況に偏愛するスピルバーグのサディスティック視点の結実こそ肝。ゲットー解体から収容所に至る俯瞰描写のスケールと細緻。その厚みの対極での映画心を揺さぶるシュールな詩情。これは真偉業。投票(3)
F★5セブン(1995/米)猟奇な刺激やアクションのキレも図抜けているが、曇り空に雨がしとつく特定されぬ都市の構築が付与する寓意性が、シリアルキラーを単なる事象から神話的な領域へ昇華させる。又、反転の白昼荒野で行きつく帰結はギリシャ悲劇の現代での高度な復古にも思える。投票(3)
F★5バートン・フィンク(1991/米)陰鬱な東部での健全と陽光のカリフォルニアでの退廃。更にその陽光の裏でミニマムに濃縮された安ホテルでの時間は永遠にたゆたう無限地獄への誘いか。2重3重の逆説の螺旋構造の果てに到達した楽園は幻影に過ぎない。コーエン稀代の傑作にして最高作。投票(3)
F★5パルプ・フィクション(1994/米)人の営為には煎じ詰めれば意味あることなんて何も無い。小癪な達観だが強烈なウィットが全てのシーンを被い工夫が効いていてダルに流すところが全く無い。まともなことは悉く避け脚本構成やキャスティングは全て1回捻って戻している。天才的と言うしかない。投票(3)
F★5Hole(1998/台湾=仏)世紀末・疫病・雨と1歩間違えればあざとさキワキワのキーワードのオンパレードだがダサ直球を混じえて巧くすり抜けた。シュールな意匠は純なハートと表裏を成し、人は孤独地獄から救済されねばならないという確信が胸を打つ。投票(1)
F★5ワイルド・アット・ハート(1990/米)極楽恋愛道を往く2人の地獄巡りは「ラブ・ミー・テンダー」で強引に帳尻を合わせたが屹立してるのは地獄の方であった。怖いヤーさんが退いた後を締めるイザベラデフォーの変態的存在感。マッチの炎とバダラメンティの音楽。そのイカした除法。投票(2)
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このPOVを気に入った人達 (4 人)イライザー7 ぱーこ tkcrows