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★4世界にひとつのプレイブック(2012/米)マルクス兄弟にしても『赤ちゃん教育』にしても、このブラッドリー・クーパージェニファー・ローレンスなど比較にならぬほど気の触れた作中人物は映画史上にごまんといたわけだが、キャラクタの異常性に診断名を与えることでもって物語の動力源を調達するあたり、これは確かに現代的気分の喜劇である。 [review][投票(4)]
★4ランナウェイ 逃亡者(2012/米)ロバート・レッドフォードの監督作、出演はレッドフォードとシャイア・ラブーフということしか知らずに見始めたものだから、次々と現れる渋好みのキャストに吃驚&恵比須顔。「ブラヴォ!」と叫びたい衝動は何とか抑えても、ジュリー・クリスティまでも登場するに至ってはよだれを垂らし尽くしてしまう。 [review][投票(3)]
★4人生の特等席(2012/米)「父娘の衝突と和解を描いた映画」という乱暴な要約を拒めないほど簡単明瞭な物語を持ったロバート・ロレンツ人生の特等席』のおよそ第一回監督作品に似つかわしくない恐るべき豪胆さとは、その衝突の物語を、字義通りすなわち物理的な意味での「衝突」を主たるモティーフに据えて語る映画設計にある。 [review][投票(5)]
★4戦火の馬(2011/米)スピルバーグの『ウィンチェスター銃’73』。「めちゃ動物に話しかける」という前作『タンタンの冒険 ユニコーン号の秘密』におけるギャグ的/キャラクタリゼーション的細部が主題にまで高められている。ジョーイに囁きかけるジェレミー・アーヴィンの声、そこに含まれた母性の響きにこそ感動がある。[投票(2)]
★3ウォーム・ボディーズ(2013/米)吸血鬼映画三作に続いてゾンビ映画を撮るハビエル・アギーレサロベ。米国で仕事をするにしても『ザ・ロード』か『最終目的地』の線で行ってほしい。主演男女の友人ロブ・コードリーアナリー・ティプトンの役が次第に大きくなっていくのは嬉しい。劇中の既成曲チョイスは大ネタ仕掛けもあるが不発気味。[投票]
★3凶悪(2013/日)どれほどリリー・フランキーピエール瀧がよく演じたところで山田孝之の足元にも及ばない。それはよいのだが、このようにキャラクタの衝突をフィーチュアした作劇の場合、演技者間とキャラクタ間の力関係の齟齬が映画の輪郭をおぼろにしてしまう。が、それを好ましい余剰として積極的に楽しむ術もある。 [review][投票(1)]
★4人生、いろどり(2012/日)冒頭部が示す農業にまつわる絶望の深さは『奇跡のリンゴ』の比ではない。「いろどり」を名乗っている通り、共時的にも通時的にも色彩設計に腐心して視覚的な画面を創作している。富司純子中尾ミエがしっかり泣かせてくれるのもいい。現代日本映画の平均的制作規模の下ではこれが大衆娯楽作の理想形だ。[投票]
★4スター・トレック イントゥ・ダークネス(2013/米)キャラクタの習熟度が格段に向上したクリス・パインは安定感と躍動感を兼ね備え、宇宙SFであっても肉体の酷使こそが映画源であることを知悉したJ・J・エイブラムスもさすがに及第点超えの活劇シーンを取り揃える。もっと笑いを解する台詞作家を脚本班に加えて、会話劇としての練り上げを期待したい。[投票]
★3エリジウム(2013/米)ニール・ブロムカンプはいつか傑作SFをものにできるかもしれないロマンチストだが、傑作アクションを撮る可能性は果てしなく無に近い。演出家が自らの演出に裏切られている。云い換えれば、演出技術が演出家のヴィジョンに追いついていない。「報われぬ片想い」も胸を焦がすほどには描き込んでほしい。[投票(1)]
★3マン・オブ・スティール(2013/米)製作者・監督・編集者のいずれも適切な尺を知らないのは、彼らが観客の退屈力を侮っているからだろう。建造物の大仰な破壊ぶりを愉しんでいられるのはせいぜい二〇〇秒ほどだ。実父との疑似再会にいかなる興趣も見出だそうとしない演出には呆れ返って言葉もない。ケヴィン・コスナーのシーンだけがよい。 [review][投票(7)]
★325年目の弦楽四重奏(2012/米)戯曲の原作でもあるかのような充実した芝居を誇り、フレデリック・エルムズ撮影の安定感は画面の独善的な突出を避けつつ、映画化の意義を静かに主張するだろう。各々の加齢のためハンサム成分の差が相対的に縮小し、クリストファー・ウォーケンの顔面はいっそうクリント・イーストウッドに接近している。 [review][投票]
★4そして父になる(2013/日)この取替え子の物語において、主人公を務める権利はリリー・フランキー尾野真千子真木よう子にも等しく与えられていたはずだ。また『誰も知らない』『奇跡』の是枝裕和であり、『新学期 操行ゼロ』の高速度撮影に倣ったタイトルバックを持つ映画であるのだから、子供の目線で語られてもよいだろう。 [review][投票(2)]
★3ウルヴァリン:SAMURAI(2013/米)侍にヤクザに忍者。もちろん嫌いではないが、クリシェを召喚してそれで満足という風情は虚しく、当方としても「やはりジェームズ・マンゴールドは優等生の域を出ない」などとクリシェじみた言葉を吐くほかない。映画にはもっと夢を、日本を舞台にしたアメリカ映画であればなおのこと、夢を見せてほしい。 [review][投票]
★3モンスターズ・ユニバーシティ(2013/米)人生の酷薄と希望をこれまで以上に危うい均衡で成立させ、まったく迷惑なほどに心をえぐる作劇だ。これは、少しばかり現実に似すぎている。怪物界を描くにあたって原色の濫用も辞さず、ピクサー製アニメーション史上でも一二を争う広い幅の色彩を採用することでかろうじてファンタジーを取り繕っている。 [review][投票(1)]
★4偽りなき者(2012/デンマーク)官憲司直が手を下すにも及ばないマッツ・ミケルセンの『それでもボクはやってない』。ウィズ眼鏡のマッツ・ミケルセンとウィズアウト眼鏡のマッツ・ミケルセンをいっぺんに玩味したい! という一部観客からの要望に応えたサディスティックな逸品。先人の俚諺「一粒で二度おいしい」とは云い得て妙である。 [review][投票(3)]
★5ニューヨーク、恋人たちの2日間(2012/仏=独=ベルギー)息つく暇もない怒濤の喜劇。アッバス・キアロスタミのように面白い。というのが褒めすぎであれば、絶好調時のビリー・ワイルダーのように面白い。「厄介な人」を同時に三名も投入し、彼らの押し引きを自在に操り切るなど、ジュリー・デルピーの脚本/演出家としての技術と創造性はもはや疑いようがない。 [review][投票(1)]
★4タイピスト!(2012/仏)馬鹿競技で世界一を目指す物語はどうしても感動的だ。『24時間4万回の奇跡』や『世界美容師コンテスト』と較べれば競技自体の馬鹿度は低めだが、特訓シーンにしっかり尺を割くあたりは通人の仕事である。様々の表情を撮って主演女優の魅力ありきの映画であることも正しく徹底し、美しくアメリカンだ。[投票(1)]
★3パシフィック・リム(2013/米)視界不良の映画。夜、雨、雪、粉塵、海中、ど突き合いにおける視界不良状況の多様性を追求し、実に欲求不満が募る。ただし、晴れ晴れと澄み渡った空のシーンを持っていたことも銘記しておくべきだろう。そのシーンが全篇のどこに位置していたか、既に見た者には云わずもがな。未見の者には黙して秘そう。 [review][投票(7)]
★3ワールド・ウォーZ(2013/米)Zの設定(音に反応するなどの習性)に基づくスリル演出を主力とするが、手筈の無粋なために「そんな習性、手前らの胸三寸で決まるやん」「八百長け?」と肩入れできない。創作物に云っても詮無いけど。長髪ブラッド・ピットと丸刈りダニエラ・ケルテスは妙にセクシャルで、舌なめずりをさせていただく。[投票(1)]
★3NINIFUNI(2011/日)あるワンカットを核に据え、全篇が演繹的に組織されている。筋肉質で強固、しかし息苦しい構成だ。逃走と彷徨のロード・ムーヴィとして撮りたい状況を用意しながら、宮崎将にロード・ムーヴィと呼びうる移動距離は与えられない。ジャンルに対するある種の裏切りがこの映画に固有の感情をもたらしている。 [review][投票]