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エピキュリアンさんのコメント: 更新順

★4マネートレーダー 銀行崩壊(1999/英)金融版『博士の異常な愛情』って感じで、とても面白かった。内心気が弱い大胆さに行動がショートしてゆく性格を、ユアン・マクレガーが好演。部下のシンガポーリアンふたりの演技にも拍手を送りたい。軽いタッチで作ってあるのが何気なく泥沼に入ってゆく実話の怖さを良く表現していたと思う。[投票]
★4サタデー・ナイト・フィーバー(1977/米)この作品、無意識に避けてました。いまのトラボルタは好きだけに。でも、純粋に映画としてよかった。いわゆる自立系の物語だけど、意図されたチープなキャスティングとコスチューム(そこからみんな成長しよう、出ようとしている)、チープなフィルムルック(ブロンクスを表現するため)が、絶望のなかのイノセンスをよく表していて、泣けたよ。[投票(5)]
★5ゴーストワールド(2000/米)感受性が鋭くて何でも判ってしまう人は、その分、世間との距離感や自分自身との調和に苦労する。とくに若いときは、それは地獄だ。その全能感と自己嫌悪の間を激しく行き来してぼろぼろになる。それでも日々、なんとか自分なりのおしゃれを絶やさないイーニドは愛おしい。が、それにもまして、こういう映画にお金を出す人がいる社会って、羨ましいぜ。[投票(10)]
★2プルーフ・オブ・ライフ(2000/米)先週観たばかりなのに、観たこと自体を忘れてしまっていた。観ていて、夢中になるほど面白いわけでもなく、観たあとに何かのこる訳でもない。たぶん標準かそれ以上のスタッフが集められたであろうはずだが、なぜだろう・・・。ラッセル・クロウの実在感も大したものなのに・・・。決定的に失敗している。[投票]
★317歳のカルテ(1999/米)アメリカの精神医学界が出した分類かなんかの病名を、それぞれの症状にまるでハンコを押すようにラベリングしてゆく物語に、かなりの抵抗を覚えつつも、あの時代(俺と同性代だ!)の文脈の傷や病理に共感せずにはいられなかった。しかし、それを今、映画にした意味は?考えたいぞ。[投票(1)]
★2ロミオ&ジュリエット(1996/米)アイディアを知ったときには、そりゃおもしろそーじゃん、って思ったんだけど・・。イーサン・ホークの『ハムレット』と同じく、天才シェークスピアの魔力が取り合えず映画を進行させてゆくけど・・散漫、弛緩したフィルムは編集でも救いようがなかった感じ。なんでこうなったんだろう?[投票(1)]
★4海辺のポーリーヌ(1983/仏)ロメール氏は、わずかなストーリーと少人数のスタッフでも、ちゃんと映画がとれる、ということを、すごくチャーミングに証明してくれつづけてくれたけど、それに最初に出会ったのが、この映画でした。だってもう、このオープニング・シーンの必要十分かつ妙にエロい湿度に、感服でありまする。[投票(5)]
★4チャイナ・シンドローム(1979/米)タイトルで興味をもって映画館に行った数少ない映画のひとつ。実際に科学者たちが理論値をジョークとしてそう呼んでいたわけだけど、そういうテクノロジーの奢り=主流感覚=長いものに巻かれろ感への感覚をうまく活かしてると思う。J・レモン得意の神経症的な演技にそれが集約されていて素晴らしい。[投票(3)]
★4ショコラ(2000/米)大勢のなかで右へ倣えすることを拒む生き方への、悲しくも楽しい寓話。それぞれがそういう自分をどうしようもなくて、その孤独や孤立を癒す象徴としてチョコレートを使ったのが可愛くて良い。昔は催淫剤だったしね。でもフランスの田舎町なのに台詞が英語でデップがブルース弾くのには、ちょっとひいたけど(笑)。[投票(1)]
★3バンディッツ(2001/米)「完全な人間はいない」ってのはビリー・ワイルダー師匠(とダイアモンド)作の台詞だけど、その視点から見ると善人も悪人もないぜ、っていうコメディを狙ったのでしょうね。いや、面白かったですけど・・。なぜか頭の中でファレリー兄弟と較べてしまって・・。なんかスマートすぎる?。D・スピノッティの撮影はチョー素晴らしいけど・・。[投票]
★4瀧の白糸(1933/日)オープニングの人力車横移動(だったと思う)シーンで、揺れるカメラと画質の悪さに忍耐を覚悟したが、まったくの杞憂。とくに現実と夢が交錯する橋のシーンの強烈な美しさ、裁判所のシーンの厳しい白とシンメトリカルで現代的な構図など、最後まで物語的にも美的にも素晴らしく面白い。無声? So what![投票(1)]
★5残菊物語(1939/日)この丁寧で緻密でシーンごとにほんとに迷いながら進んでゆく物語と演出に触れて、そっか今の映画の脚本はパターンで書かれているんだ、と思った。ちょっとした逡巡や、想い余っての勇み足などのディティールが「痛い」のは、脚本家も監督も役者も、高を括らずに物語を真摯に生きているからだと思いました。グローバルな品質の逸品。[投票(4)]
★5カオス・シチリア物語(1984/伊)もっとも好きな映画の一つなのに、書くのを忘れてた。カラスが運んでゆく物語たち。すべてのエピソードが、懐かしく、かつ新鮮。理性とか合理主義ではとらえられない「生」が、人間の奥に、でも日々の中にある、って感じ。カメラ、音、役者、構図すべてが素晴らしい。旅行みたいな感じで、もう5回は観た。[投票]
★4父 パードレ・パドローネ(1977/伊)風景(たとえばシチリアのあの景観)や出来事(たとえば山羊の乳を搾っていると起こること)や物自体(たとえば真空管)へのフェチズム。物語よりは、そのひとつひとつへの嫌悪や快感の流れ。言語学へ単語から始まったのは、そのためかも。だから、父(パードレ)・・・主人(パドローネ)なんだよね。[投票]
★3PLANET OF THE APES/猿の惑星(2001/米)難しい仕事を請け負っちゃったんだね、バートン監督は。でも、猿に対して人間は傲慢、っていう似非進化論=ヒューマニズムに則ったオリジナルよりは好き。それらしい動きと脳の大きさに見合った判断力の集団が権力をもったら、っていうコメディをとりあえず娯楽に仕立てたよね。しかも最後は、オリジナルにつなげてるし(笑)。オリジナルがなんか胡散臭かった理由がわかった。[投票(3)]
★5プリーチング(1997/英)愛と自由についての美しい作品。愛とか誠実とかの心の奥を探ってゆくと、我欲や支配欲、自己愛、それに滅私願望や自己実現、他者から認められたい願望などなど、真っ逆様な要素が複雑に絡み合っている。それを、こんなに正直に、かつ滑稽に見せてくれるなんて。『キラーコンドーム』以来の感動。[投票]
★4黒猫・白猫(1998/独=仏=ユーゴスラビア)「ムジカ!」って入院してた爺さんが叫ぶところが好き。例によって清濁併せ呑むっていうか、原因と結果は判定不能というか、そういうカオスが人生だぜベイビー、っていう楽観と諦念のマグマに振り回されて、うっとりと疲労感を楽しみました。ポルカってアフタービートだもんね、こりゃ腰が動いちゃうぜ。[投票(6)]
★4田園に死す(1974/日)渋谷にあった天井桟敷は子供の目にはわざとらしくて不快だったけど、寺山さんがワン・アンド・オンリーかつ強固なイメージの人なのが大人になって判った。亡くなる少し前に、やはり渋谷で小さなアパートの便所(トイレでなく、ね)を覗いていて逮捕された事件が「天然の天才」の苦悩に思えたっけ。[投票]
★3エド・ゲイン(2000/米)このところ一般化たDVとか育成環境とかトラウマとか、狂気を還元するためのいろいろなツールにかなり安直に載って作ったって感じ。だからほとんど怖くない。もっと不可解な部分があってよかったかも。犯人役の演技はなかなか頑張っていたけど。ただ、深夜のダンスは凄かった。かなり鳥肌もんだった。[投票]
★4花様年華(2000/仏=香港)ウォン・カーワイ監督は言葉の人だと思う。いくつかの決め台詞のために、役者も物語も画も音も編集もすべてがある。だから、彼の映画はつねにコラージュで、登場人物に俯瞰的な視点はない。物語がないと安心できない人には苦痛かもしれないけど、彼のそんな、刹那な美しさが私は好きです。[投票(10)]