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ジェリーさんのコメント: 更新順

★3南太平洋(1958/米)現実と超現実と非現実の間に漂う不可思議時空がおそらく製作者の意図とは無縁に現出してしまっている。このバランス感覚の悪さ、というか、なさがこの映画の味・面白さとなっている。ゲテモノ食い的感動を楽しめる超大作。 [review][投票(5)]
★4逢う時はいつも他人(1960/米)この甘美感は何なのか。緩やかな展開と滑らかな時間推移がすばらしい。恋愛は始まり、終わる。われわれはこれを無駄とも不道徳とも思わない。成就への希望と、成就してしまうことの心配と不安との間で、巧みに翻弄される。その翻弄の仕方の上品さがこの映画の身上。[投票]
★3シンシナティ・キッド(1965/米)ヤマ場のゲームの間に起こる色恋沙汰や恐喝や友人とのいさかいがドラマの盛り上げに全く寄与していないあたり、拙劣というしかない。それでも役者の味で楽しむことは十分に可能で、スティーヴ・マックィーンの格好良さやエドワード・G・ロビンソンの凄みは今なお褪せず。[投票]
★3ステップフォード・ワイフ(2004/米)わかりやすい寓話でしかなく、結局どこにも連れて行ってもらえなかったわびしさは残る。しかし達者な芸の脇役や美しい衣装はそれなりの見物だ。ベット・ミドラーの好演が印象深い。 [投票]
★4ミニミニ大作戦(1969/英)後半のカーチェイスのシーンが、映画の原初的な魅力を思い起こさせてくれた。映画における快楽としてのナンセンスとは、あるカットが別のあるカットといともやすやすと無意味につながってしまうことへの五感の哄笑に他ならない。それにしてもノエル・カワード‥‥‥![投票]
★2雨に濡れた欲情(1953/米)それぞれ独自性を備えていたはずの登場人物がクライマックスに向けて、安手の脚本の操り人形となっていくのがいたましい。精一杯に演技している俳優たちの良心を買ってもこの点数。生真面目さだけを武器に原作を料理して見事に映画が負けている。[投票]
★1風の視線(1963/日)救いがたい通俗的なストーリーに救いがたい通俗的な演出と脚本が重なり、一編の映画が見事な自殺を遂げる過程をこの映画の中で見ることができる。園井啓介、あれを役者と呼べるのだろうか。障子にさす竹の葉の影が風に揺れるシーンなど叫びだしたくなる拙劣さ。[投票]
★3座頭市果し状(1968/日)映画全編に深みを与える志村喬、エッジの効いた美しさの野川由美子、安手の小悪党ぶりが同シリーズに相応しい土方弘と、脇役に恵まれた一遍。格子ごしの夕照を美しく表現した宮川一夫の腕も冴え、このシリーズ中最も安定感を感じさせる1967〜1968頃らしい作品。[投票(1)]
★3舞姫(1951/日)脚本のできと演出のできが大きく異なるのが残念だが完成期の成瀬の流れるようなキャメラワークは思い切り堪能できる。鎌倉の海の波頭一つ一つに粒立つ光を見ているのは映画の至福。高峰三枝子山村聰らの立ち姿の演技に、成瀬の第2黄金期の予感。[投票]
★2殺人鬼に罠をかけろ(1958/仏)盛り上げ低調なB級作品といえばそれまでだが、アラカンや長谷川一夫の時代劇にも通じる、捕り物劇の主役としてのジャン・ギャバンの分別とおった実事師としての味とモラン夫人に扮したLucienne Bogaertという女優の光らせ方には職人くさいうまさを感じる。[投票]
★3タイトロープ(1984/米)犬を飼うという設定1つで上質のユーモアがこの映画に生まれ、クリント・イーストウッド監督作品と見まがう聡明さが感じられる。夜間撮影の名手ブルース・サーティーズがシャープでめりはりのきいた画面作りを心がけていてアメリカ映画というにふさわしい味わいとなった。[投票(3)]
★3エデンの東(1955/米)最後のシーン、病床に伏すレイモンド・マッシーにドラマ的必然として惨酷にも延々と語り続けるジュリー・ハリスを見ていて、脚本の底の浅さを思い知らされた。どこかデリカシーにかける。夜が夜としてではなく、ライトを落としたセットにしか見えない照明も品位がない。[投票(6)]
★2ネバーランド(2004/英=米)ハリウッド・スタイルに依拠しなければ盛り上がることができない程度の題材なのに、単なる現実を低回してみせるだけの演出をご丁寧に見せた後、申し訳程度に幻想のネバーランドをご披露にいたる演出の一貫性のなさに脱力。ケイト・ウィンスレットの立派さには拍手を贈る。[投票(1)]
★3トゥルー・クライム(1999/米)殺人事件の真実の追及という主筋が他愛なく、記者や犯人の家族との関係の描写がむしろ細かいというのは、映画における整理と集中の好例ではあるが、安易なジャンル分けを許さずどこにもないポジショニングをめざすという気負いがやや鼻につく。[投票(1)]
★5海を飛ぶ夢(2004/スペイン)分かり合えぬことをこそ他者の存在容認の糸口とする人間の逆説的な懐深さと、他者ぶりが際立つ者たち同士がそれでもなお果てしなく相互理解を求めようとする姿勢の、敬虔に満ちた実直さに打たれる。映画のベースに『ラ・パロマ』への深い依存と尊敬が感じられ、「夢」表現の点では映画の金字塔を打ち立てたといえよう。[投票(2)]
★3大いなる幻影(1937/仏)視界をさえぎる壁に満ちた捕虜収容所のシーンから一転して、見晴るかす風景を捉えた後半部への転調のすばらしさ。脚本や演出という殻すら突き破って屹立する人間くさい登場人物たち。そしてダースベイダーの映画的祖先としてのシュトロハイムの凄み![投票(4)]
★4老人と海(1958/米)映画をストーリーで論じてしまうことの罪深さをこの映画は静かに告発する。海洋と雲と陽光の暴力的な美しさに悲鳴を上げるフィルムと、居所のなさに主人公の老人さながら途方にくれるキャメラのために私は泣いた。[投票(2)]
★4間違えられた男(1956/米)「息を呑ませる」劇的事件の瞬時の勃発としてのショッカー映画と、「息詰まる」ぎりぎりの極限状況の連続的継起としてのサスペンス映画の違いを明確に示したこの映画の価値は永遠だ。観客のエモーション・コントローラーとして最高位に君臨したこの監督の真骨頂が本作を見れば分かる。[投票(2)]
★2冬の華(1978/日)ブルーを基調としたローキーの画像に見るべきシーンが数箇所あったにしても、東映仁侠映画の文脈に依拠しつつ、既に流行を過ぎつつあったろうフランス暗黒映画の映像感覚と港横浜の西洋意匠を採用して新味を出すという構想は無理で、ストーリーは失笑を誘う破綻状態。[投票(1)]
★2オリバー・ツイスト(2005/英=チェコ=仏=伊)このフィルムの痛ましさはどうだ。霧は霧らしくなく、室内光は室内光らしくない。そこに露呈されているのは、ただひとつロマン・ポランスキーの映画へのむき出しの支配欲。 [review][投票(1)]