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disjunctiveさんのコメント: 更新順

★4ドニー・ダーコ(2001/米)教育の私物化と怪奇の恐怖を同列に扱う手際は懲悪をスムーズに進めながらも、政治とは無縁のはずの精神科医・物理教師・老女ら工学家たちを批評する。理詰めで世界を救おうとする彼らの営みがジェイク・ジレンホールに決定的な感化を与えてしまう。 [review][投票]
★4FLEE フリー(2021/デンマーク=スウェーデン=ノルウェー=仏)貧困とは情報の乏しさであるから、状況が劇画化すればロシア人警官のように人物は類型的になる。劇画のリスクから遠ざかったホームドラマに劇画は筋の完成度において劣後し、作画スタッフは猫の描画にいよいよ情熱を燃やす。 [review][投票]
★3女神の継承(2021/タイ=韓国)情に流されヘマをする人々に筋をまとめ成立させる力はなく、もっぱら恐怖は病態の迫力に依存して、事件対処の過程はいつまでたっても始まらない。 [review][投票(1)]
★4TITANE/チタン(2021/仏=ベルギー)健康の問題によって男の妄想による束縛を理由づけるように、話は怪奇への発散ではなく常識への収斂を目指す。職種の頼もしさと父性依存の短絡や消防車の上でやらかしてしまう惰性は常識指向の効用である。 [review][投票(2)]
★4死霊のはらわたII(1987/米)力を欠きスピードに依存する死霊たちは空間に人を誘導すべく挑発をしてくる。俗化された死霊に憑依された母は生前そのままの姿であり過ぎるために哀感を呼ばない。死霊に力がないのは正体を定義できないからであり、人だったり植生だったり形姿が一定しない。 [review][投票]
★4ベルファスト(2021/英)大状況が、移動すれば終わってしまう課題に矮小化される。ヤクザ・入院・滞納といった日常の脅威は段階を踏むが、父のキャンブル癖は世界の果てまでついてくるだろう。 [review][投票]
★4裸の島(1960/日)乙羽信子の給水スリラーを成り立たせるのは、期間工のような挙動で畑に注水する殿山の生産性パラノイアである。 [review][投票(2)]
★4スパイナルタップ(1984/米)状況の裏付けのなさに由来する笑いが、迷路のようなバックステージをさまよううちに、80年代を文化的閉塞物として捕捉する。批評精神の発揮は、終わろうとする幼年期の古典的な辛みによって状況を迂遠に裏付け、 [review][投票]
★4セイント・フランシス(2019/米)同情と共感に誘導する技法は共通の敵を次々と投入し好悪の間合いを操作する。外敵は常にマウントや政治を抑えきれない類型的な姿で襲いかかる。観念に対抗し和解を促すのは、尿漏れや生理といった器質の圧である。 [review][投票]
★4破れ太鼓(1949/日)経済の利害は時代を越えるために、阪妻の辛みだけが伝わってくる。彼の人生に話が帰着するに及んで、辛みは逆流して阪妻は昭和のモラルを越えていく。彼は女中の病気に偏見を持たないのだ。 [review][投票]
★4恋は光(2022/日)男の幸せを願う女は文系の邪念から男を救うのだが、自分は恋と憐憫の区別をつけられなくなる。そこに端を発する恋の光が見えない問題を物語自体は把握していない。 [review][投票]
★4波止場(1954/米)パンチドランクによって言語化できなくなったストレスとは何か。牧師たちの尽力で発見された去勢された男の失意は克服されるどころか、波止場の男たちに遍く感染し、リー・J・コッブすら荷主に頭が上がらなくなる。食物連鎖の非情な構造が辛みを汎化する。[投票(1)]
★4ブルー・バイユー(2020/米)犯罪に飛躍しても大して重大視されない時点で社会小説として終わっている。出生の起源に向かう高揚や元夫の変貌を軸としたオッサンたちの連帯といった劇画ならではの展開は、娘を男たちの世界への闖入者に見せてしまい、社会批評とは真っ向から対立する。 [review][投票]
★4陽のあたる坂道(1958/日)千田是也一家の気持ちの悪さが一個の怪物を育んだ。これに自覚的な物語は、クズ情報の開示が始まれば、小高雄二の長い顎に難なくサイコ的風采を付与する。サイコとの遭遇という受け手にも共有できるリスクが三角関係のハラハラを充実させる。[投票]
★4カインド・ハート(1949/英)ことごとく後継者が資質を欠くとなれば、デニス・プライスの性能ならば企みを画さなくとも自ずと機は熟したと思われる。後継者たちの個性を誇張する苛烈なメリトクラシーは、能力を当人から自律させ発揮させずにはいられない。 [review][投票]
★4ジョン・ウィック:コンセクエンス(2023/米)全編に立ちこめる霧のような感傷はドニーの扮装に由来するノスタルジーにすぎないのか。体のキレが人々から貫録を奪い続け、氷結した時空に成熟を見失った男たちは大階段を上っては転げ落ちる。 [review][投票]
★4さがす(2022/日)犯罪扶助の動機には佐藤二朗と清水尋也の両者に一定の合理性はある。にもかかわらず、残る違和感は何なのか。伊東蒼と清水の遭遇は偶然ではなかったのだが、偶然の印象は去りそうもない。 [review][投票(2)]
★4煙突の見える場所(1953/日)時折爆発するホームドラマには場違いなレイアウト主義の冷たさは関千恵子や田中春男ら境界人を容赦なく怪物にする。劇画化は育児ストレスとの混線に過ぎないにしても、赤ん坊は淡々と大人たちの愛欲を交通整理し高峰と芥川比呂志をラヴコメになだれ込ませる[投票]
★4カモン カモン(2021/米)ホアキンの取り組む課題が甥のやや特異な性格に根差すのなら状況を普遍化できないが、作中で最も予後の不安な健康問題が発火するのは意外な場所である。 [review][投票]
★4THE FIRST SLAM DUNK(2022/日)微細な日常芝居をやると、レタッチという名の人力シェーディングの質感がリアリズムのモーションと相容れなくなる。アニメ屋はリソースに不足してモーションに支配を及ぼせず、 [review][投票]