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disjunctiveさんのコメント: 更新順

★2星を追う子ども(2011/日)肥大化した無意識のナルシシズムが、一人称を避ける自然主義の自我に目覚める。丸裸にされた自意識は、心理の間隙を恐れるかのように、事件の羅列を早漏のような尺で切り取り続ける。[投票]
★3スコット・ピルグリムVS.邪悪な元カレ軍団(2010/米=英=カナダ)成熟の明るい閉塞感は時への不完全な感応でもある。だとしたら、徳性の指標化によって、ノスタルジックなキッチュから審美的な責任を取り戻したい。[投票]
★34分間のピアニスト(2006/独)属性に由来する性愛を除くと、クリューガーを動機付けるものが薄い。自棄という感情の共有が、最後の最後でかろうじて救いになっていると思う。[投票]
★4ブラック・スワン(2010/米)ヴァンサン・カッセルのエロ顔が、アトラクションのように心許ない譫妄に詩趣を与えている。セーターを首に巻いて登場する所からキレているが、合法セクハラでもあり修行でもあるような不可視の官能に踏み入れた時、ナタリーの八の字眉は痛みある自足へ至る。[投票(2)]
★4新・平家物語(1955/日)時折、不安定な衝迫で受け手の不安を誘いながらも、パワハラに対する反応として雷蔵の欲望はよく理解できる作りになっているので、王朝物に仮託した近代化論としては、『山椒大夫』よりも受け入れやすい。[投票]
★3トリコロール/青の愛(1993/仏)夢想の中にある夫の風景が良き牽引となるように、セットアップから情報の減価償却に配慮があり、臆見するニートライフの観察がねむりの底から引き寄せられる。多淫な音響の意匠もエンタメとして割り切れば不快ではない。[投票]
★3突破口!(1973/米)ウォルター・マッソーの内面から受け手が閉め出された段階で、彼の禍福を観察して緊張する作劇は終わっていて、むしろジョー・ドン・ベイカーの、仕事と言うには性的すぎる生態と昂揚が主題に上がってくる。[投票(1)]
★3大陸横断超特急(1976/米)造形から意外な職能を引き出して好意を見立てる手管は、相手側のレイ・ウォルストンの職人根性にも反映されるほど一貫しているのだが、この手の愛顧と好意を展開は、情報の開示性ゆえに、切迫感の記述と対立してしまう。[投票(1)]
★3北海ハイジャック(1980/英=米)記号化の強度如何でナルシシズムが意味もなく引き出されるという事例であり、ムーアの自己愛の保存を優先した結果、パーキンスの虐待観察劇に終始する。キャラ立ち話としては意味があるものの、スリラーではない。 [review][投票]
★3ジャガーノート(1974/英)仮装パーティーと隔壁と矜持という究極の形式主義にあって、困窮といかに戯れるのか。リチャード・ハリスは過去の投影に手がかりを求める。[投票]
★4パニック・イン・スタジアム(1976/米)隊長ジョン・カサベテスのナルシシズム濃厚な薄笑いが、飛行船の非現実的な遊離感とともに、スタジアムを祝祭の場に変える。ほぼ全編に渡る壮大な死亡フラグが、絆を取り戻した人々の犠牲を個別的偶然に見せない。[投票(1)]
★4わたしを離さないで(2010/英=米)男に寄せられる斟酌なき好意が、キャリーの恋愛を母性愛として装わせる(なぜこの男に惚れるのか?)。男に潜む知慮が見出された時、同情を愛へと構成すべく、キャリーのタヌキのように愛らしい体躯が、蒼白な太陽の下、回顧的に転がり始める。 [review][投票(2)]
★4宗方姉妹(1950/日)失う物をなくした大人たちが陽気に爆弾を放り合う。殊に、死期の近いことをにこやかに語って周囲を脅しながらゾンビ化する笠の前では、せっかくの絹代と山村聰の肉弾戦も霞む。高峰への言葉責めも鬼畜。 [review][投票(1)]
★4英国王のスピーチ(2010/英=豪)ヘレナ、嫁に来ないか。 [review][投票(1)]
★4ヒア アフター(2010/米)ジミー大西の魂を眺める享しみを可能にする技術的欺瞞は、暗愁も久しい彼の顔面に微笑が宿るに至り、造形の官能性で以て不毛な自然のスペクタルを圧倒する。その様子を宇宙の中心たる料理教室からシェフが牧者のようなまなざしで見守っている。[投票(1)]
★3最後の忠臣蔵(2010/日)よってたかって桜庭ななみの造形を矯正する人倫の広がりは、ひとつのアイデアだと思うし浄化でもあるのだが、この道徳の負荷がしつこさの閾値を超えると田中邦衛親子の存在感が浮き彫りになる。彼らのユーモアがいかに稀少なのかと。[投票]
★3ある日どこかで(1980/米)恋の信憑性に不安を抱く余りただひたすらポートレートに尺を割き続ける強迫観念も、合理性を放棄した時間の楽観的な跳躍も、時への不信の裏返しである。[投票(2)]
★4コックと泥棒、その妻と愛人(1989/英=仏)食べログ炎上必至の横虐は現実感に欠ける。文系賛歌もイヤらしい。リアリズムと語り手の恣意的な欲望を超えた場所にあるものは、中小企業経営者の広蕩たる恣縦が、図解的な舞台装置と劇伴のもたらす明晰さの高みに圧迫される様である。[投票]
★4サブウェイ・パニック(1974/米)セクシィヴォイスで安心させておきながら、役に立っていない総監。修羅場に強すぎる市長夫人ドリス・ロバーツ。スリラーが後景に引いて現れるのは人間であり、その最たるものが、プロ根性とやせ我慢の織りなすロバート・ショウの好ましい気韻だ。[投票(2)]
★3ノウイング(2009/米)巨大事故のマクロスケールを人間の局所的な肉体が受け止める。これをひとつのショットとして描画しうる特異な解像度は、また、為す術もなくマンハッタンを俯瞰する距離感の寂寞さでもある。 [review][投票]