煽尼采さんのコメント: 点数順
大統領の陰謀(1976/米) | 効果音やBGMも控えめで、事の発端となる事件の描かれ方さえ地味なのが、却って面白い。記者の仕事は、人から聞いて集めた些細な情報を繋ぎ合わせる地味な作業なのだと痛感。ディープスロートという超越的な存在によって初めてサスペンスとして成立している。 [review] | [投票(2)] | |
刑事ジョン・ブック 目撃者(1985/米) | ともかく、緩やかな編集のリズムが心地好い。原題の「witness」は「目撃者」の他に「…を経験する」の意味もあるらしく、実際、この映画のサスペンス的要素は、観客にジョン・ブックを通してアーミッシュの生き方を擬似体験させる為の仕掛けとも思える。 [review] | [投票(2)] | |
キネマの天地(1986/日) | インテリ用語(?)である「映画」ではなく、大衆の慰めとなる「活動写真」の方へ。だが当のこの作品自体が余りにもベタなせいで、どこか自己弁護にも思えるのがやや難。新人女優に如何に演技を付けていくかの過程には惹き込まれる。 | [投票(2)] | |
長江哀歌(2006/中国) | 全篇これ「間」の映画。ゆっくりと横移動するカメラワーク。繰り返される『壁の破壊』。大きな時間の流れの中で、移動と崩壊によって視界が開けていく、密やかな出来事の呼吸。河は、時間的・空間的隔たりを派生させながら、それ自身は悠々とただ流れ続ける。 [review] | [投票(2)] | |
SF ボディ・スナッチャー(1978/米) | 視聴覚的な、肌を這うような不気味さの演出にはこだわりが感じられる。隣人が、或る日別人に見えてしまう、という精神病理学的な不安には、あまり興味が無さそうだ。 [review] | [投票(2)] | |
サイドカーに犬(2007/日) | 少女期の薫を演じた松本花奈は成人後のミムラの面立ちと連続性があり、この細かいリアリティにまず好印象。控えめな少女の、相手を見つめる目に宿る訴求力。その彼女を輝かせる光の眩さは、ヨーコ(竹内結子)の存在そのもの。 [review] | [投票(2)] | |
赤い風車(1952/英=米) | 絵画的かつ音楽的。シンクロする音と映像によって描かれる、シンクロし得ない二つの世界のもどかしさ。 [review] | [投票(2)] | |
フランス軍中尉の女(1981/英) | 劇中のグローガン医師は産婦人科医のようだが、彼の部屋には精神を病んだ人の顔写真や、人の頭蓋骨が置かれている。これは性愛と死が表裏一体である物語の暗喩ではないのか。そして狂気と死は、共に‘虚構’が常にその内に孕んでいる要素でもある。 [review] | [投票(2)] | |
炎上(1958/日) | 三島作品は幾つか読んではいるものの、実は『金閣寺』は未読。だが少なくともこの映画の筋を追った印象としては、「炎上」の必然性が生じるには、以下の要素をもっと観客に印象づける必要があった筈→ [review] | [投票(2)] | |
女の都(1980/仏=伊) | 不思議の国のちょいワルおやじ。列車とトンネルの関係をフロイト的に解釈したくなる映画。胎内回帰とインターコースの両義性?男性性への自虐的な責めが却って被虐趣味にも思えたり。 [review] | [投票(2)] | |
茄子 アンダルシアの夏(2003/日) | これはちょっと掘り出し物だ。自転車レースの躍動感と、意外な戦略性。黄金色に光る茄子も画面に映え、その象徴性もしっかりしたもの。何よりこの短さで、一本の映画を観た満足感を味わえるのが嬉しい。無意味に他人の時間を奪う映画よ、去れ! [review] | [投票(2)] | |
スティング(1973/米) | エンターテイナーのsting。 [review] | [投票(2)] | |
あかね空(2007/日) | 丁寧に作った豆腐のように、良心的でスクエアで清潔でシンプルで、どこか四角四面。(その事と、内野聖陽の一人二役について→) [review] | [投票(2)] | |
サマータイムマシンブルース(2005/日) | これは、辻褄を合わせる為の編集作業に奮闘する、‘映画部’の活動記録である――なんて考えれば、成る程、舞台作品から映画化した意味はあった。上野樹里の、夏みかんのような存在感。テキトーな感じのするタイトルも、実はイイ味を醸してくれる。 [review] | [投票(2)] | |
ダイ・ハード4.0(2007/米) | ダイ・ハード9.11、或いは危険のインフレーション。9.11以後のアメリカを風刺しているようでいて、マクレーンの好戦的マッチョ主義はかつて無いほど単純明快。 [review] | [投票(2)] | |
容疑者 室井慎次(2005/日) | 学園祭的なお祭感と、お子様ランチ的なカラフルさの『交渉人 真下正義』とは対照的な、大人風味。色に喩えるならブラウン。地味。だが、僕の好きな『踊る』のエッセンスは、むしろこちら。 [review] | [投票(2)] | |
弓(2005/韓国) | 張り詰めた弓。張り詰めた情念。そこから発する、優しい旋律と、憎しみの矢。 [review] | [投票(2)] | |
セックスと嘘とビデオテープ(1989/米) | 他者と触れ合う接触面にして、互いを隔たらせる壁としての、肌と言葉とカメラのレンズ。セックスと嘘とビデオテープ。 [review] | [投票(2)] | |
イワン雷帝(第一部・第二部)(1946/露) | 終盤のカラーも見事だが、モノクロ映像の、まるで銀細工のような完成度には、溜め息。キューブリックの『バリー・リンドン』のように、美術品として認定できる映像美。 [review] | [投票(2)] | |
迷宮物語(1987/日) | 映像的には見るべき所がある反面、何となく雰囲気だけで煙に巻かれているような気も...と思いきや、≪工事中止命令≫の辛辣なユーモアがGood。 [review] | [投票(2)] |