コメンテータ
ランキング
HELP

煽尼采さんのコメント: 点数順

★3イグジット・スルー・ザ・ギフトショップ(2010/米=英)覆面作家バンクシーについて知ろうと思っても肩透かしを食らうのだが、彼が対峙している現代美術界というものがどういう世界なのかの一端は知れる。手持ちカメラの映像に酔いそうになる(笑)。 [review][投票]
★3レギオン(2010/米)既存作品のツギハギだが、天使が銃撃戦や肉弾戦を繰り広げるバカげた世界観を真剣に追求する姿勢が嬉しい。普通は米映画の「背景」に透かし見えるキリスト教性が前面に出ている倒錯性。オリジナリティが無さそうでいて意外と独特の雰囲気を醸し出している。 [review][投票]
★3カラフル(2010/日)実写的な光景を、絵として丁寧になぞること。主人公が絵を得意にしているという設定と併せて、世界からその「カラフル」さを拾い上げ写しとるという行為そのものが、作品の主題との一致を示す。 [review][投票]
★3若者のすべて(1960/仏=伊)聖人然としたロッコがシモーネと同程度に「最低」に見えるのも、善悪美醜様々な人間の縮図としての一家に於いて、一人の行動もまた、一家の内部で循環し一つの宿命へと集束するからだ。楽園としての故郷を後にした一家の罪と罰。 [review][投票]
★3フローズン・リバー(2008/米)勿論、悪くはないが、国境を越える道としての「凍てついた河」を渡ること(=危険な筈の行為=違法行為)への恐れが充分に演出されず、そこを渡ることにも早々に慣れてしまうのがまず不満。広漠とした氷原と化した河の空間性も充分には活かされていない。 [review][投票]
★3木靴の樹(1978/伊=仏)人々の息遣いに合わせるような緩やかなリズムや、「寒さ」という厳しさが強調される反面その色彩の濃密さが画面に灰色の冷たさを侵入させない、体温の宿ったショット等、普通人レベルの人間愛さえ持ち合わせていれば傑作と感じられるとは思う(笑)。 [review][投票]
★3セックス・アンド・ザ・シティ2(2010/米)四人がアブダビなんぞに行ったせいで再確認、やはりこのシリーズにはニューヨークが絶対必要。単に豪華で煌びやかなら良いわけではないのだ。キャリーのアパートのような、雑然として狭い空間の生活感と対照的に、夢のような豪華ホテルが現実感を奪う。 [review][投票]
★3WATARIDORI(2001/仏)僕が観た安田成美がナレーションを担当している日本語版では、脚本と演出が久世光彦らしいので、ジャック・ペラン監督の意図にどこまで沿っているのかは分からないが、鳥の心情を擬人化して語るのが鬱陶しい。 [review][投票]
★3エルマー・ガントリー 魅せられた男(1960/米)バート・ランカスターの演劇的で大仰な演技も、長尺に付き合う内に慣れるが、彼の口八丁手八丁が信仰復興を社会現象化する事態への批評性に乏しい。冒頭の字幕は明らかに誇大広告だし、それ自体が主人公の詐欺師ぶりに沿っていると見ても詰まらない。 [review][投票]
★3魂のジュリエッタ(1965/仏=伊)祝祭的でカラフルな色彩が、ジュリエッタの魂に侵入する他者の多様さ、ひいてはジュリエッタの混乱を現出し、登場人物の顔が影に隠されるショットの頻出は、自他の境界が曖昧になり、自分の魂の声を見失いそうになるジュリエッタの暗中模索を表象する。 [review][投票]
★3曲がれ!スプーン(2009/日)可愛いはずなのになぜか瞬間的に不細工になる時がある長澤まさみの「普通さ」が良い作用。超能力者の「あるある話」的な日常感や、ちょっとした緊張感をとぼけた雰囲気で包み込む構造など、気楽に観る分には悪くない。 [review][投票]
★3パリ・オペラ座のすべて(2009/仏)非日常としての舞台とその裏の準備作業が「日常」そのものである「オペラ座」という時空間。 [review][投票]
★3ゲッタウェイ(1972/米)銃付き『イタリア旅行』。 [review][投票]
★3スペル(2009/米)生理的嫌悪感を誘う要素や、突然の大音響で驚かせる、殆ど物理的な衝撃で観客を驚かす演出には、サービス精神を見るべきか、演出の短絡さを嘆くべきか。野暮ったい俗物ヒロインも、その人格的なくだらなさが不徹底なせいで笑いに転じることなくただ不快。 [review][投票]
★3ピアノの森(2007/日)ピアノの透明感ある繊細さと、海(上戸彩)の野生的な才能とを体現する「ピアノの森」の静寂と光は幻想的なのだが。『鉄コン筋クリート』で少年の声を演じた蒼井優は収録中「声が艶っぽい」と指摘され修正したらしいが、上戸は注意されなかったのか? [review][投票]
★3大いなる西部(1958/米)原題の「Big Country」は劇中の台詞にも何度か使われるが、その西部の広大な土地よりも更に広い海を知る東部の男が、「水」を巡る争いに介入する。「Big Country」の狭さを描く反西部劇性。だが彼もまた超越者ではない。 [review][投票]
★3病院で死ぬということ(1993/日)ディゾルブやフェードイン&アウトで紡がれる緩慢な時間感覚が、ベッドの上で動かずにいる生活の、静けさと停滞感を醸し出す。温い蒸留水のような、清潔さと微温感に包まれる画面。スクエアな優しさによって些か事態がぼやかされている気もしないでもない。 [review][投票]
★3ハンニバル・ライジング(2007/仏=英=米)耽美的映像で綴られる濃厚かつ残酷な美食家の高貴さと、奇矯と思えた日本文化の挿入が意外に倒錯的な必然を帯びている点に惹かれた。『羊たちの沈黙』の不条理な恐ろしさと対照的な、全てが一対一対応の因果性を暗示しながら繰り広げられる整然とした殺戮劇。 [review][投票]
★3しんぼる(2009/日)全く不条理ではない、明快な映画。松本人志演じる男と「しんぼる」との関わり方に、芸人としての松本の諧謔と欲望との混在した自画像を見てとることも可能かも知れないが、芸人としての彼について殆ど無知な僕には与り知らぬ所ではある。 [review][投票]
★3死亡遊戯(1978/香港)ツギハギ編集で強引に死者を甦らそうとする、禁忌の人体練成の如きおぞましささえ漂う作品だが、メタ映画的仕掛けで自らを正当化させる工夫が面白い。リー自身が遺した格闘シーンへと観客を導く為の体裁を整えて曲がりなりにも完成させたこと自体は立派。 [review][投票]