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disjunctiveさんのコメント: 投票数順

★4八日目の蝉(2011/日)エキゾティシズムから不安を引き出されないために、文芸的救済の最優先対象たる森口瑤子の荒妄を容赦なく十字架にかけるサービス精神は苛烈。俗化の犀利といってもよいこの操作は、田中泯の宇宙的あざとさとして、一種の美的体験に至っていると思う。[投票(3)]
★3シェルブールの雨傘(1964/仏)発話音節数の制約下に置かれ、自ずと絢爛にならざるを得ないキャラクターの身振りが受け手に好ましく強いるのは、心理の節度が常に危機にさらされているという緊張である。エレン・ファルナーのいかにも俺好みな陰翳もこのストレスの反映である。[投票(3)]
★4ファンタスティック Mr.FOX(2009/米=英)感情の解像度がパペットという挙措の拘束具とストップモーションという時の壁に阻まれ朧気になるからこそ、ガジェットの詩は土塊の中で響き渡らずにはいられない。[投票(3)]
★3ソーシャル・ネットワーク(2010/米)プロジェクトや感情移入のきっかけとなるスケベゴコロが、スクールカーストをベースにした説明台詞を出ず、過程という概念も乏しい。物語の目論見としてはスケベゴコロの実体化に関心が向かったようで、真顔で鼻の下が延びる一発芸に帰結。これは見事。[投票(3)]
★3十三人の刺客(2010/日)救われるべき迷羊の要件を備えるバカ殿に比べ、美意識の資力や当事者性が攻め手には貧しい。その焦りの裏返しで、役所の口から職業的美意識が頻繁に解説されるが、苛烈な行動で造形を表現するバカ殿に及ぶとは思えず、火工品の迫力に甘えている印象がある。[投票(3)]
★3北国の帝王(1973/米)本当に下らない映画で、なぜこの老人たちがこんな価値のないことをめぐって憎み合い殺し合うのか、その動機のなさに唖然としつつも、不可解だからこそ感動を煽られる面もある。貨車の屋根をコロコロと進むアーネストのメタボ体の画面映えが激しい。 [review][投票(3)]
★3おとうと(2009/日)披露宴における業者の危機管理は頂けないし、医療従事者への蔑視と加瀬亮を讃える庶民主義も冷酷。しかし否定された技術職の冷淡さが、死神のように場慣れした小日向&石田夫婦のいささか猟奇的な迫力に昇華されたとき、映画は世間の価値観を超える。 [review][投票(3)]
★4戦場でワルツを(2008/イスラエル=独=仏=米=フィンランド=スイス=ベルギー=豪)Flashの制約を乗り越える工夫の楽しさは多々あったと思う。あのエフェクトの薄さでメカ描画をやるのはつらいが、メルカバのチェーンカーテンやアンテナの生体的な動きはユーモラスだ。コントラストで保たせる固いダイアローグも、後景の喧噪で愉しくなる。 [review][投票(3)]
★3スラムドッグ$ミリオネア(2008/英)ツーリズム以外に、出題の幅にともなって分化したエピソードをまとめるものに欠けがち。兄貴の心理は追いきれず、負い目と外貌以外にラティカの魅力を語るものもないから、ジャミールの執着が記号的に見えてしまう。[投票(3)]
★496時間(2008/仏)画面はフィックスがちで、人物の縦横も簡素である。奥行きに対するストイックな態度は、次々とやって来る早漏めいた編集点によって代替され、三次元空間を前提にできないジャンルアニメのようなカット割りに。 [review][投票(3)]
★4ミルク(2008/米)ショーン・ペンが有能すぎて出世街道のトレスになりがちなところを、不穏な結末を前提としたり保守的な女性をミソジニーのはけ口にしたりで、強固なエンタメ構造の助けを借りて二時間を無難に全うできたと思う。 [review][投票(3)]
★3叫(2006/日)如何にもすぎて一見のところ俗物趣味な風景もセットも、イヤらしさが高じてコントの感受性と近似するとき、そこになぜか品位と普遍性が誕生してしまう。むろん、いつものパターンではあるが。[投票(3)]
★3アパートの鍵貸します(1960/米)恋愛のお手軽感が男の成長と拮抗。 [review][投票(3)]
★3野菊の如き君なりき(1955/日)笠智衆の「はかないもんですなあ」でうっとりモード。が、稲作文明の温潤な陰湿感が恐怖映画を謳いはじめると、儚げな回想フィルターが頸部を圧迫する真綿のように思われてくる。[投票(3)]
★3カポーティ(2006/米=カナダ)人との比較で奇抜さを表現するのはたやすいが、一人っきりで居るとむつかしい。だから、書斎でちょこっと座ってるシーモアは気まずいし、その焦りがまたラヴラヴ過ぎて辛抱たまらんものもある。[投票(3)]
★3眠狂四郎勝負(1964/日)俺様の加藤嘉が幸福になりますように、間違っても落命しませんように、とドキドキしながらも、何となく須賀不二男の「ふふふ」笑いの虜にもなってしまう三隅研次のprofoundな語り口。[投票(3)]
★4柔道龍虎房(2004/香港)乱取りでアーロンもルイスも微笑み合っちゃって、ああっ、もう、イヤっ!――なウェス・アンダーソン meets 鈴木清順。相変わらず訳がわからんが、相変わらず素晴らしい。[投票(3)]
★4グエムル 漢江の怪物(2006/韓国)面の皮の厚さが、ガンホに現実を認識せしめないのか? それともこれは悟りなのか?[投票(3)]
★4TITANE/チタン(2021/仏=ベルギー)健康の問題によって男の妄想による束縛を理由づけるように、話は怪奇への発散ではなく常識への収斂を目指す。職種の頼もしさと父性依存の短絡や消防車の上でやらかしてしまう惰性は常識指向の効用である。 [review][投票(2)]
★4裸の島(1960/日)乙羽信子の給水スリラーを成り立たせるのは、期間工のような挙動で畑に注水する殿山の生産性パラノイアである。 [review][投票(2)]