[コメント] ロッキー4 炎の友情(1985/米)
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「ヒーローになりたい男」「右翼的」「筋肉バカ」「ゴールデン・ラズベリー賞の常連」「20世紀サイテー男優」… オレが愛した不世出のスターにしてすぐれた脚本家、シルベスター・スタローンに対する世間の評価は最低もいいところである。
この映画もアメリカ万歳バカ映画の代表のように言われている。本当にそうだろうか。オレがこの映画で最も印象的だったのが、ロッキーとドラゴのトレーニングをカットバックで見せたくだりだ。雪山で原始的トレーニングに励むロッキーと、科学者に囲まれマシントレーニングに余念のないドラゴ。単純な「根性vs科学」の対比かと思いきや、トレーニング内容が実はまったく同じであることに途中で気づく。ロッキーが走っているとき、ドラゴも走っている。ロッキーが丸太を持ち上げるとき、ドラゴもウェイトトレーニングをしている。
東西冷戦を背景にした対照的な二人のボクサー、氷のドラゴと暑苦しいロッキー。この二人が、実は同一人物とさえ思えてくるほどまるっきり同じ人間であることが、あのシーンを見て判った。中学生だったオレにも、はっきり判った。のちにドラゴはロッキーとの試合中、国家を背負うのをやめて自分のために闘うことを宣言する。あれは2人の男のシルエットが完全に重なった瞬間だった。東西冷戦なんかどうだっていいんだ。アメリカ対ソビエトをあおったのは客入れのための営業にすぎず、映画のテーマは別にある。映画をちゃんと観れば、それは判る。スタローンがそう信じてこの映画を作ったと信じる。
脚本家としてのスタローンは、いつも人間の感情を生き生きと描くことを最優先させてきた。彼は何よりも「情」の作家だ。シリーズのテイストは時代と共に変わっても、ロッキー・バルボアは変わらない。見事な人生だと思う。それは、スタローンが終始ロッキーの心を描き続けてきたからなんだ。
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