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[コメント] 切腹(1962/日)

日本映画界においてあらゆる賛辞を受けるべき至宝。『七人の侍』がならば『切腹』はの金字塔である。
sawa:38

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







何年振りに再見したのだろうか?歴史を勉強し直してこの映画の設定を見なおすと、より深く脚本に込められた「皮肉さ」が理解できて★を5点からさらに上へランクアップさせたくなった。

仲代の仕官先は福島正勝で先代福島正則が創始した安芸の福島家。先代は関が原の戦いの際、東軍一の猛将として参陣しており、先陣の一番槍の栄誉を密かに狙っていた。

家康が決めた先陣は「井伊の赤備え」として恐れられていた徳川四天王の一人、井伊直政。世紀の対決の開始の先陣は、徳川譜代の家臣でなければならないと考えていた家康に対し、大胆にも福島正則は真っ向から反抗し、勝手に最前線に踊り出るや否や一番槍の栄誉を強引に奪ってしまったのだ。

その後も家康が天下をとるにあたって欠くことの出来ない活躍をした福島だったが、天下が平穏になるやその存在は逆に邪魔になってくる。そして家康は外様大名たちを粛清し改易する政策を打ち出した時、外様大名の象徴的存在であり、英雄でもあるはずの福島家を「見せしめ」に改易したのだ。

その結果、家臣たちは家を失い浪人となった。本作の仲代たちの事である。

本作では仲代石浜は因縁浅からぬ井伊家へ出向く設定になっており、旧主君の因縁を上手く練りこんであるように思う。さらに仲代はラストで、井伊家の先代、井伊直政の具足を畳にたたきつけて破壊している。このシーンは徳川四天王の井伊家に対する反抗と嘲笑であり、ひいては幕府批判、さらには武士そのものへの反抗だったのだ。

(評価:★5)

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