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けにろんさんのコメント: 投票数順

★3ダラス・バイヤーズクラブ(2013/米)体制に抗する義侠心とか共闘者との心底からの親和とかは無い。そういう意味で実モデルに準拠し抑制の効いたクールネスで統御されてるが、だからどうしたとも思う。見たいのはドラッグラグへの今更の告発なぞでなくもっといかがわしいドラマトゥルギーなのだ。[投票(1)]
★5ほとりの朔子(2013/日=米)受験少女の感傷バカンスに片寄するほど暇でなく、擬似ロメールめいた寂れた浜辺の無為な会話も左程成功してるとも思えぬのだが、仮初の言葉に隠された本音や余裕の下の切実や衝動が静かに立ち昇り健全な肢体が闇と対峙する。まるで相米映画みたいに。[投票(1)]
★5舟を編む(2013/日)押せ押せのベタ展開に乗っかってる一方で、このセルロイドの無機人形のような理解の及ばぬカップルが映画内で成立してるアンビバレンツが堪らない。今村的オバコン趣味が伊佐山渡辺を復権させクセ男優2人が良い人演るのに躊躇はない映画王国。[投票(1)]
★3タンゴ・リブレ 君を想う(2012/ベルギー=仏=ルクセンブルク)3角関係が4角になる話なのだが、どうにも脚本を書いた主演女優の脳内妄想めいている。女は中心でチヤホヤ&ハッピーなのかも知れんが男はたまったもんじゃねえわな。カリスマダンサーチチョパブロも単に出ただけで展開にいささかも機能しない。[投票(1)]
★3大統領の執事の涙(2013/米)所詮は執事の垣間見たそっくりさんショーレベルの物語で、米近代史の隠された裏面というほどのものはないし、ダニエルズらしい毒気も封印されている。しかし、ウィテカーの絞った体躯での洗練された所作が最高ランクの職能を体現し随所で心地よい。[投票(1)]
★4パラダイス:愛(2012/オーストリア=独=仏)セックスバカンスに興じるオバン達もだが、現地の男どもの恥も外聞も無い買ってくれ攻撃の衒い無き生活本能と深層悪意。そういうパラダイスで自己開放し恥を晒した果てに垣間見える女の孤独地獄だがアイロニカルに見つめる毒視線は心なしか仄かな慈愛がある。[投票(1)]
★4エージェント・マロリー(2011/米)高を括って見始めたそばからのダイナーでの顛末。華麗な関節技でのワンサイドなテイタムボコ遣られに一気に覚醒したアドレナリンは最後まで退かない。本気が横溢した映画でミッションの腑に落ちなさもどうでもいい。やられる男たちは心なしか皆満足気だ。[投票(1)]
★4いとしきエブリデイ(2012/英)ドラマの無為性はコンセプトとして新しくもなく、5年かけた撮影も子供は大きくなるという当前の事実をフィルムに刻むだけだが、個々の事象に対し過度に寄らず総体としての年月の集積こそに意味があるとした点が新しい。ナイマンのメロディが大きく寄与。[投票(1)]
★3ガタカ(1997/米)ホークの下卑た感とロウの持って産まれた感がドンピシャの『太陽がいっぱい』焼き直しだが、それだけである。寧ろ信じて念じ続けりゃ何とかなる的甘さが後退とも思える。未来社会の多くの意匠は局地的で広がらないが切なさを倍加させるに貢献してる。[投票(1)]
★4オンリー・ゴッド(2013/デンマーク=仏=タイ=米=スウェーデン)原色に濡れたアジアが異界めいてるのだが、そこに理解を超越した倫理が跋扈し通り一遍のノワールを遥かに逸脱している。堪らなくゴアでクールだがギリシャ悲劇のようでもあり吉本新喜劇のようでもあり香港映画のようでもあるホドロフスキー献上の怪作。[投票(1)]
★3ドラッグ・ウォー 毒戦(2012/香港=中国)おセンチを脱ぎ捨てたジョニー・トーが大きく舵を切ったことに異論は無いし、膨大な背景を窺わせつつ容赦なく裁断することで深まる世界の奥行きにも少し痺れた。だが、銃撃戦の人物配置が脳内想定内で固定化するスタイリッシュ・ナルシズムは変わんねえ。[投票(1)]
★4エンダーのゲーム(2013/米)最前線はモニター内に閉じ、青春の青汁めいたドラマの主舞台が殆ど屋内に終始する拡がらなさも終局で納得するしかない。ヴァーチャルがリアルを侵食し生命は不可視領域で肉片と散る現実を徒に否定するでもなく従容とその先を模索する。取敢えずは肯定したい。[投票(1)]
★2ウォーム・ボディーズ(2013/米)初期設定にこれ程違和感を覚えたことは無く、「ゾンビ映画」なるものに些かの愛着も持たぬ俺でさえも、これはジャンルの新たなステージの開拓などではなく終焉をもたらす冒涜に思える。腐りズルムケる表現を回避し、骸骨野郎を敵に設定する茶番は噴飯ものだ。[投票(1)]
★3もらとりあむタマ子(2013/日)丁寧な仕事だし山下の印も過不足無く織り込まれた或る意味全うされた作品だが、だから何なのと言いたくもなる。プロモ的素材ということで『四月物語』を思い出したが、タマ子を松たか子のように愛でる訳にはいかない。人間的な共振対象は野郎で充分。[投票(1)]
★4ジャッカルの日(1973/米)ジンネマン演出はけっこう粗いのだがテンポだけはやたら良く、感情を排した即物的描写の連鎖が気持ち良い。こういうのを力技と言う。テロルのヒロイズムに言及するわけでもないのだが、この徹底した職能性への拘りは結果ジャッカルをヒーローたらしめる。[投票(1)]
★3悪の法則(2013/米)「起」を抜いた進行形の渦中にいきなり叩き込まれるのは良しとしても、板子一枚下の地獄をブラピの台詞で全語りするのは小説的に過ぎないか。糞尿の中で彷徨い続ける死体等如何にもな文学臭が美味しいにしても。2女優のピークアウト感も興味を減殺する。[投票(1)]
★3俺達に墓はない(1979/日)遊戯』シリーズ系譜上のパターン演技を踏襲する優作のアドリブ的ヘタウマ演技のために、べらぼうなテキトー設定も釈然とさせる映画王国のマジックなのだが、どうも、その王国から志賀勝が浮いている。真面目すぎて情の無い世界とは相性が悪いのだ。[投票(1)]
★4危険なプロット(2012/仏)虚実ない交ぜの語り口が流麗で闊達なのとプチブル夫妻を主人公に置いた点でアレンのようだという言説は免れないが、パゾリーニ的トリックスターを混入させ撹乱する。途中まで圧倒的におもろいのだが、終盤はどうにも強度が不足。ラストは寧ろ凡庸だ。[投票(1)]
★4二匹の牝犬(1964/日)このゲスな3面記事題材に沢村を筆頭に皆半端ない気合の入りようなのが良い。小川の冷たい熱量に対し田舎臭い魔子も小悪魔への変貌で拮抗する。演出も今村増村÷2みたいな太さ。斜角の構図がダサくないのは見てくれで撮ってないから。[投票(1)]
★4ランナウェイ 逃亡者(2012/米)所詮はハリウッド流に閉じる展開なのだが、それでも棄てた者と棄てざる者の過ごした膨大な年月の質量が否応なく滲み出る。そういった時代を同時代として生きた者達が共振するリアリティ。敢えて前面に出たレッドフォードのスレスレ感が男気を感じさせる。[投票(1)]