思えば子供ってふわふわファンタジーの主人公より、カッコいいヒーローになりたい子の方が多いんじゃないでしょうか。決してスピルバーグ印のファミリー映画を否定するつもりはないけど、彼が「子供心を忘れない人」という評価には少し疑問。むしろ「子供心を忘れたくない大人」に近い気がする。多分子供たちが楽しそうに遊ぶのを微笑ましく眺めるタイプの映画を撮っているんじゃないでしょうか（いや、それで十分良いですけど）。

　ところがロドリゲスはどうでしょう。もう一緒になって「ゥワーイ！」とおおはしゃぎ。はしゃぎすぎて激しく転んだりしてる様が目に浮かびます…。

　ハチャメチャな展開だけど、冒頭からラストまで一貫して「家族」を謳った映画。２人のスパイが恋におちた冒頭にしてもイチャイチャした描写はなく、最初から２人が「家族」を作ろうと決意を固めているのが好感。危険なスパイ稼業よりさらに大変な任務、それは「家庭」を持つ事という母親のセリフにはげしくうなずく家庭人も多いのではないでしょうか？

　一人っ子なので実感は出来ないけど、本当の姉弟ってあんな感じなのかな？とリアリティを感じる。「家族パワーで乗り切ろう」とは言わせても、観客を泣かせるつもりはさらさら無く、子供の見たいモノをたっぷり見せてあげよう！という監督の心意気が頼もしい（自分のルーツを忘れないところも）。「僕の番組は何かが足りないんだ…何だろう？」の問に「子供だよ」とアッサリ答える弟のセリフを、ロドリゲスの最近の映画界への返答とみるのは考えすぎでしょうか。

※ティム・ロス似のアラン・カミング、ちょっと気になります。あんな番組あったらカルト番組として人気出そう。