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赤い戦車さんのコメント: 更新順

★4死国(1999/日)ここでの篠田昇の撮影は実に怪奇映画然としており、はっとするほど美しい光の扱いを見せる。よく揺れたり動くカメラも、覗き見るようなカメラ位置や浮遊する動きと相まって霊魂の視点を通して観ているような感覚を与え悪くない。75分過ぎまでの、霊を極力見せずに、風や視点によってその存在を印象付けていく演出手腕の見事さ。これは良作だと断言できる。 [review][投票]
★4ゴジラVSスペースゴジラ(1994/日)十数年ぶりに見直すと中々面白かった。バース島でのゴジラに対する狙撃シーンや夕陽を見ながら橋爪淳小高恵美が語らう場面が良い。何かの動作の途中から始まるカット多し、画面の手前と奥交互に人物を配置して奥行きが出てる、ゴジラと人間を同時に収めたカットも上手くいってる、ゴジラに執着する柄本明のキャラが良い、それと君島十和子が美しい。3.5[投票]
★5キートンのカメラマン(1928/米)カメラを通して対象を観る/観られる関係性がまず面白く、加えてキートンのアクションを捉えるカメラの置き方がどれも素晴らしい。中国人の抗争などアクションそのものとカメラの視点が相まって切れ味鋭い見せ場になっている。電話口から突然疾走しだすキートンのエモーション。記録された映像を通して真実を知ることの感動。ラストで再び繰り返される祝福としての紙吹雪。個人的好感度ではこれが私のキートン作ベスト。[投票(1)]
★4キートンのカレッジ・ライフ(1927/米)スポーツというアクションを撮る上で横か縦どちらが効果的か、やはり縦なのか。と、いうぐらいに深い縦構図が多用されている。リュミエールの作品でもそうだったが、横はアクションの快楽(風景の変化)、縦はアクションのダイナミックさ(被写体の大きさが変化)が画面上に強調されてしまうものなのか。[投票]
★4引き裂かれたカーテン(1966/米)本作の農家の場面はヒッチコックがあの手この手で撮ってきた殺人シーンの集大成ともいえる見事な出来。このシーンだけでも観る価値はある。その他美術館、数式勝負、バス、郵便局、劇場、船上の荷物までサスペンス描写てんこもり。ロバート・バークスは不在だが撮影も美しく、全く衰えを感じさせない面白さだ。 [review][投票]
★4氷の微笑(1992/米)デ・パルマのパロディだがヴァーホーベンはデ・パルマより遥かに職人的な語り口で、巧さの点では数段上に思える。会話しながら署内を出入りする人物たちを追うカメラワークと編集の流麗さ、シャロン・ストーンを尾行する場面の曲がりくねった道路、スピード感。捜査の先々で出会う脇役陣の顔つきも悪くない。思わせぶりなラストまで、パロディとしては総じて上々の出来。[投票]
★3ダーティハリー2(1973/米)アクションの撮り方がちとたるい。アクションシーンの明晰さ(位置関係、だれがどこで何をどうしたか)の点では1,4はおろか5にも劣る。ハリーというキャラクターの持つユーモアを発揮させるアイデアに関してはよく詰め込まれていると思う。[投票]
★4ゴジラ・エビラ・モスラ 南海の大決闘(1966/日)3.5。これはキートンなどを模範としたスラップスティック活劇として撮られているので楽しめる。逃げては隠れ、潜入して見つかっては逃げ、といったアクションの繰り返しで進行していくから映画になる。怪獣映画というのは出現した原因や倒すための兵器の仕組みといった説明を挿入せざるを得ないのが難点だが、本作は赤い竹という組織や、その幹部の連呼する「本部」について殆ど情報を出さないのもポイント高し。だが、 [review][投票(1)]
★4任侠ヘルパー(2012/日)ドラマの延長上に出来上がるTV局製のどうしようもない代物になりそうなところを、ここでも西谷弘はその演出手腕のみでどうにか「映画」として認められるところまで持ち上げていく。今の日本映画が特に必要としているのは、このように見事な演出的努力ができ、かつ、致命傷にならない程度に妥協できる強かさを併せ持つ、職人監督ではないか。カットが割られるべきところで割られ、スムーズに進行していくことの有難味。[投票]
★3ローン・サバイバー(2013/米)太陽をこれだけ画面に取り入れてんだから何か意図があるんだろうなと思いつつ、取り立てて面白くもないのであまり考える気にもならない。こういう真面目な題材は得意じゃなさそうだ、この監督。アフガン人からのナイフとダックの調達にはその意思の齟齬が視覚的で笑えたが。[投票]
★3アメリカン・スナイパー(2014/米)冒頭からこれまでのイーストウッド作品に比べショット数が異様に多く※、観客を混乱させる。主人公や敵スナイパーの位置を明示することもせず、被狙撃者との距離関係も覚束ない。それは米本土とイラクとの距離感覚の無さの描写としても表れている。こうした「距離の廃棄」は藤井仁子の本作への批評(http://kobe-eiga.net/webspecial/review/2015/03/374/)が示す様に、主人公の伝説化を促すものなのかも知れぬ。しかしだ。 [review][投票]
★4ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ(1984/米)229分版。通りの向こうのあの曲がり角を曲がっても、この風景はずっと続いているだろう・・・と、思わせてくれるこのゴージャスさ豪華さ。こういうスケール感を出すのが映画の美術ってもんだろう。例の如く弛緩する部分もあるが、良い場面は本当に天井知らずで圧倒的に盛り上がるのがレオーネの素晴らしいところ。 [review][投票(1)]
★4釣りバカ日誌スペシャル(1994/日)大森嘉之富田靖子をレストランの窓際まで追いかけ、ブルーハーツの「ラブレター」をかけて去っていく場面は全く素晴らしい。画面奥から大森が手前のテーブルまで突進し(その間ピントは合わさない)、一挙に自分の思いをまくし立て、路上に座り込んで歌を歌う。それを上階の窓を通して見る富田。大森を追いかけ、道路を介した数回の切り返し。この圧倒的なパワフルさ。こういう場面が一つあるだけで私は満足してしまう。[投票]
★3修羅雪姫(1973/日)梶芽衣子のシリアスさと高速ズームやスローなど映画的なケレンを狙ったと思しき演出が合っていない。『河内カルメン』のように梶のキャラクターをもっと明るく軽快にするか、或いは梶のキャラはそのままで加藤泰のように盛り上げる演出に徹するか、どちらか一方に絞るべきではないか。[投票]
★2極道の妻たち 赤い殺意(1998/日)登場人物の行動が、皆賢くないように見えてしまうのはいかがなものか。これでは誰も応援する気になれない。大島ミチルの音楽だけは良い。[投票]
★4RONIN(1998/米=英)ジョナサン・プライスがスタジアムに逃げ込むと、画面奥のリンクで先ほど撃たれた選手を救急隊が取り囲んでいる。続いてロバート・デ・ニーロが駆け込むと、選手が担架に乗せられて画面手前に運び出されるところである。本筋とは無関係ながら、こうした情景描写から立ち上る世界の重層性。或いはアクション/サスペンスシーンにおける各人物・小道具の位置関係を分かりやすく見せる的確なカットの積み重ね。晩年の傑作。[投票]
★4ターミネーター4(2009/米)バイクの砂を巻き上げながらの発進を俯瞰で捉えるなどアクションの合間合間にやたらかっこいい画が時たま入るのがいい。登場人物は皆プロフェッショナル風に迷いなく動くし、くどい変な説明も無いし、海に飛び込んで「拾いに来い」だとか、画で見せて展開のいい加減さを押し切る力業の数々も楽しい。マックGにしてはカメラも演出も落ち着いている。 [review][投票]
★2ビッグ・アイズ(2014/米)冒頭、車の走行を捉えた数ショットの見事なフレーミングにバートン復活かと期待するも、面白いのはその部分だけ。物語が、人物の感情が動く決定的瞬間を捕まえたショットというものが不在だ。何が「虚」で何が「実」か。何を「見て」何を「見なかった」のか。この辺に全く敏感でないし、光と影やアクションで家族各々の立場を示す演出も不足。演技だけが突出し、サスペンスも無し。どの場面も途中で飽きる。 [review][投票]
★4私は告白する(1953/米)十字架や磔像をパンフォーカスで主人公と共に捉えたショットはあまりに象徴的(意味がありすぎる)でつまらないのだが、本作のモンゴメリー・クリフトは最後までブレない。その歩みも姿勢も動揺こそすれど、周囲の態度に流されて翻意することは一度も無い。実に一貫した人物であり、そうした一貫性を映画は行動として外面的に捉えている。だから重苦しくとも面白い。[投票]
★4第3逃亡者(1937/英)その充実した喜劇性から英国時代のヒッチコックでも特にお気に入りの一本。論理の鎖に縛られない、出来事と、それに対応する人物の行動と、その行動が元で新たに引き起こされる出来事と・・・こうした連鎖の快感は紛れもなく映画ならではのものだ。[投票(1)]