★4 | シン・レッド・ライン(1998/米) | 敵兵も含め、兵隊のほとんどが大岡昇平だったらこうなるという戦争映画。リアリズムは差し置いて、ひとつの理念(理想)として語られる。高地戦の陣取り合戦などの「面白さ」はしかし、大岡昇平をも興奮させるリアリズムの毒がある。 | [投票] |
★3 | 六條ゆきやま紬(1965/日) | ここは山水館か [review] | [投票] |
★1 | トレインスポッティング(1996/英) | ラリって赤ん坊を死なせてしまう件が残酷。報いであるべき主人公のコールド・ターキーが、妙にポップで面白半分なのがおぞましい。こんな感想は分別臭いか。 | [投票] |
★3 | みな殺しの霊歌(1968/日) | かつて吉本隆明は松本清張の作品を、酷い目にあった者は何をしても許される世界と評した。加藤泰も三村晴彦もこの系譜に属しており(清張の『天城越え』も撮っている)、本作は典型的。佐藤允と倍賞千恵子が不思議といい相性。 | [投票] |
★4 | パルチザン前史(1969/日) | 「暴力は悪じゃないよ」 [review] | [投票] |
★2 | 江分利満氏の優雅な生活(1963/日) | 午前四時にクダ巻くオヤジの滑稽に辟易とする。話の中身が戦中派のありふれたいい訳なら尚更だ。 二瓶正也 が気の毒と同情するばかり。 | [投票] |
★4 | 折鶴お千(1935/日) | サイレントの字幕が入ると、当たり前だが長回しがブツ切れになる。これが厭で溝口はトーキーに早々と乗り換えたんではなかろうかと思った。前半は退屈だが後半盛り上がる。山田五十鈴 の狂女が凄まじい。 | [投票] |
★3 | リスボン特急(1972/仏) | 蒼い背景に映えるヘッドライトの美しさよ。しかし肝心の見せ場で、突然サンダーバードのヘリが登場するのには膝カックン。せっかく積み重ねてきた品格が丸潰れではないか。あれだけ観なかったことにしたいところ。 | [投票] |
★1 | さらばアフリカ(1966/伊) | どこがヤラセかなあと観ていると、全部ヤラセに見えるから不思議なモンド映画。ゾウの射殺を企てるヘリに同乗してカメラを回したら、それはモロバレだろうに。しかし人間が殺されるところは本物らしい。この映画を制作する労力を、もっと別の何かにぶつけられないものかと、残念でならない。 | [投票] |
★2 | 悪人(2010/日) | 本当の犯人は満島ひかりの同僚の女ふたりである。推理物の出だしで、途中で犯人が独白するなど、いかにも物語が破綻していて、きっと裏があるに違いないと思わざるを得ない。その辺りは裁判を扱う続編で明かされるのであろう。 | [投票] |
★4 | 黒薔薇昇天(1975/日) | 義一さん原作のホノボノとした艶笑譚。タクシーで日傘をさす谷ナオミが可愛い。ゆるゆる進む観覧車が作品のノンビリしたリズムとマッチしていて絶妙。 | [投票] |
★4 | 情婦(1957/米) | いや面白かった。この映画を教えてもらったシネスペに感謝したい。ディートリヒの絶叫を引きで撮る演出の呼吸が素晴らしい。 | [投票] |
★3 | 野性の少年(1970/仏) | このような「人間中心主義」を朗々と謳うのは、トリュフォーの69年への回答なのだろう。淡泊な印象で、詩的に充足したという以上のものがない。この題材を90分は短い、3時間ほしい。 | [投票] |
★1 | 星くず兄弟の伝説(1985/日) | 「京子ちゃんカワイー」ほか、映研の学生が余ったフィルムで撮ったような、面白くもない内輪ネタの羅列。制作者は未知の観客に語りかけることを放棄している。屑と呼んでは誉めすぎであろう。 | [投票] |
★5 | 柳と風(1999/日=イラン) | 巧みに仕組まれた悪夢。子供の頃、このような酷薄と不条理に体面したような記憶が、頬打つ雨とともにふつふつと蘇る。 | [投票] |
★3 | 雪の喪章(1967/日) | フルコースを10分で喰わされた駆け足感ありありの原作もの。若尾文子の足袋を脱がせて足先に息を吹きかける天知茂、灯火管制を告げる声とともに暗転する料亭の照明など美しい。しかし火事で空に舞う金箔はやり過ぎ。 | [投票] |
★4 | 白い酋長(1952/伊) | 中年太りのアイドルが巨大なブランコで現れる辺り、爆笑の連続。唐突さの呼吸が絶妙。 | [投票] |
★3 | 濡れた荒野を走れ(1973/日) | 当時のポルノ摘発に追われる日活には、警察はこのような悪徳組織に見えていたに違いなく、精神分析のサンプルとして興味深い。山科ゆりは好演だが、内情を知る由もない彼女の結語は空廻りしている。 | [投票] |
★5 | 湖のランスロ(1974/仏=伊) | 作者の手法ばかりが浮き彫りになる失敗作というものがあるが、あえて「失敗作」を一作撮ってみたのが本作ではないだろうか。遠近感を失った世界がそこに転がっている。森の一軒家の件のみ古典的な映画の質感があるが、対照のため加えられたに違いない。 | [投票] |
★2 | 宮本武蔵(1944/日) | 構図の瑞々しさはいつものように求心力があるが、人物が重なったり殺陣が途中で終わったり、物資不足によると思われる残念な場面が散見される。「敵討ちより誠の道」などと建前論を喋くりながら斬りまくる武蔵の造形は愚かしい。 | [投票] |