★5 | 東京物語(1953/日) | 比類ない堅牢な様式。聖性と俗性の対照の妙。精妙なカット割り。視線の鋭さと描写の柔らかさ。日本映画の頂点をなす作品です。 | [投票(1)] |
★3 | 早春(1956/日) | 東京を舞台にした日本映画を23区や市で分類すると、どこが一番よく撮られているのだろう。この映画はまさに大田区映画です。大井武蔵野館でこの映画を見ると「地続き」感がたっぷり味わえた。 [review] | [投票(2)] |
★4 | 東京暮色(1957/日) | 小津監督の「太陽族」映画としても見ることができるが、やはり、同じ「東京」のつくもう一つの傑作との対比で語りたくなる大作。 [review] | [投票(9)] |
★4 | 彼岸花(1958/日) | 小津安二郎監督カラー作品1号。完成の域に達した技法がさらに精緻に展開される。絢爛とした映画を作りたかった意思が実に明瞭で、その意味ではこの映画は監督にとって初の試みである。関西弁の導入による平安朝様式のような柔媚な味わい。 | [投票] |
★5 | 浮草物語(1934/日) | 間然するところのない堂々とした本筋の進行をふくらませるように、ユーモラスなギャグが絡む。くどくどと描きたいところを省略する映像の経済に見ほれ、ワンカットで状況を過不足なく表現する技術を目の当たりにする快癒感が全身を貫く。楷書の傑作。 | [投票(2)] |
★5 | 浮草(1959/日) | 小津安二郎が宮川一夫と組んだ唯一の作品。あらゆる作中人物が漂泊者のようなうら悲しさを帯びる。そして彼らを見つめるキャメラは実に慎ましい存在ぶりなのだが、本作の雨中のシーンだけは例外で、その例外部分は小津作品の中でも最大の奇跡。 | [投票(6)] |
★5 | お早よう(1959/日) | 登場人物が5つの家屋をめまぐるしく往還するうちに、小説や舞台劇への翻訳が絶対不可能な奇抜な視覚経験を提供する。この時代のどの家庭にも起こったことが複雑に綯い合わされて、いつの間にか微笑と哄笑に満ちた異界へ我々を誘う手練の冴え。 | [投票(4)] |
★5 | 秋日和(1960/日) | 監督ご本人も「『晩春』のよう」と指摘している映画であるが、ここでは娘の怒りの矛先を親だけに向けさせてはいない。二人の娘をここでは用意し、一人は親に、もう一人は親子を取り巻く社会(小さいがそれは社会だ)と対決させているところがこの映画のオリジナリティ。 [review] | [投票(7)] |
★3 | 突貫小僧(1929/日) | 初期の小津作品には欠かせない俳優のトリオ作品。大きな欠落はあるが、典型的な筋なので、どういう作品だったかはなんとなく想像できる。ここまで典型的だとふくらみにもかけただろう。 | [投票] |
★4 | 小早川家の秋(1961/日) | 中村雁(字を代用しました)治郎が小津映画に異彩を与える。 | [投票] |
★3 | 大学は出たけれど(1929/日) | 映画のタイトルは当時の流行語になったらしいが、人生はこう生きるべきだという黒澤明的主張を映画の中で一度もすることがなかったこの巨匠は、こうした人生の宙ぶらりん状態を描く名人だった。 | [投票] |
★3 | 東京の合唱(1931/日) | 岡田時彦は当時世界レベルで最も洗練されたコメディアンだと思う。 | [投票(2)] |
★5 | 大人の見る絵本 生れてはみたけれど(1932/日) | 描かれているのは子供だ、と初回見たときには思った。今回見たときは少し違った。 [review] | [投票(5)] |
★5 | 秋刀魚の味(1962/日) | 役者が木偶の坊になりがちな小津作品の中で加東大介は、中村鴈次郎・杉村春子と並んで強烈です。東野英治郎と杉村春子の親子は、これまでの作品にない陰惨さで、新たな予感を感じさせているのに。合掌。 | [投票(4)] |
★4 | 戸田家の兄妹(1941/日) | 小津作品のホームドラマは「親子」ものと「親兄弟」ものとあるが、後者の最初の作品。奇妙な明るさに満ちているラストだが、戦時下作品のゆえか。 | [投票] |
★4 | 父ありき(1942/日) | 親と子という後期の主題に集中し始めた頃の作品。音の劣化が激しい。
いったいに戦前の日本の映画会社って原版の管理が良くないと思う。 | [投票] |
★4 | 長屋紳士録(1947/日) | 小津監督が久々に「長屋」に帰ってきた。吉川満子の「おやかましゅう」という挨拶が耳に残る。茅ヶ崎海岸はあまり当時と変わってないな。 | [投票] |
★5 | 晩春(1949/日) | 前作と一転して夢の如き中流家庭を舞台に「娘の結婚」にはじめて取り組んだ小津監督の本流作品の1号。原節子に変質的な「父親フェチ」を感じ取った人もいるはず。 | [投票(4)] |
★5 | 麦秋(1951/日) | 小津作品の中で、原節子を一番うまく使ったのは『東京物語』ですが、監督自身が「こうあってほしい」と思う原節子を描いたのはこの作品ではないか。その意味ではプライベート性の強い映画。→ [review] | [投票(9)] |
★3 | お茶漬の味(1952/日) | 戦後小津作品で最も語られることの少ない映画ではないか。木暮実千代が小津調にあわないのだろう。 | [投票(2)] |