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[POV: a Point of View]
ロマンポルノを棄てた男・藤田敏八と村川透の仕事

60年代、青春映画とアクション映画を量産する日活に入社し共に70年代のロマンポルノを足がかりに地位を確保した藤田敏八、村川透。しかし藤田は秋吉久美子を始め時代と呼応する女優達を得て青春映画へ、村川は松田優作と仙元誠三を得てハードボイルド志向のアクション映画へと急速に舵を切る。結局、二人は古き良き日活の路線を継承しつつ独自の映画世界を開花させた。そして二人はロマンポルノを棄てた男でもある。  (A=藤田敏八監督作品 B=村川透監督作品)
A★5八月の濡れた砂(1971/日)コレのどこがいいの?って、みんなに聞かれる・・・しょうがないじゃん、好きなんだから。 [review]投票(7)
A★4新宿アウトロー ぶっ飛ばせ(1970/日)脱プチブル・アウトロー原田によって、サソリ(成田)と死神(渡)の旧体制的しがらみに打ち込まれたクサビは、死神を組織から引き剥がし、個人V.S組織の構図を構築するものの、所詮行く末も身の置き所も定まらぬ「個」は社会の表層を浮遊物として漂うという寓話。投票
A★4野良猫ロック ワイルド・ジャンボ(1970/日)白馬の美女(范文雀)に導かれ、武器を携え本気とも、遊びともつかぬ臨海学校的ちんたら訓練に励むバカさ加減に当時の気分である「命」の軽さ感が漂う。理想追求から無目的指向へ、ヒーロー物語から集団徒労話しへと日本の青春映画が転換する記念碑的作品。投票(2)
A★4赤ちょうちん(1974/日)60年代の青春が不足に対する充足願望を推力にしたならば、70年代は充足の中の孤立打破を推力にする。義眼(=見えない目)を飲み込み世間と対峙しようとする男、義眼をお守りに世間に耐えようとする女。あの時代の、そんな気分。投票(2)
A★4天使を誘惑(1979/日)支えや接点をなくした宙ぶらりんな登場人物たちは、まさに70年代後半の日本を覆っていた転換期の一瞬の浮遊感を体現している。この時代感覚に溢れた不思議な映画は、あの数年の曖昧な空気を察知した者にしか作り得ず、また理解できないかも知れない。投票(1)
A★4ダブルベッド(1983/日)自由人を気取りつつ男女という制度の内側を這い回る男どもを尻目に、女(大谷)はするりと呪縛をすり抜けた。そんな快感のリアルを追求する真摯な大谷直子の“声”が実にエッチ。ロマンポルノ史上最も猥褻な声を、映倫や検察は見逃して、いや聞き逃してしまった。投票(2)
A★4バージンブルース(1974/日)’74年。40余歳のいわゆる“戦後闇市派”は、20代の“戦争を知らない子供達”に嫉妬と憧憬を抱いていたのだろう。やり直し願望イコール、バージン礼賛。結果的に時代にポジティブな青春映画になった。 [review]投票(2)
A★4Revolver リボルバー(1988/日)佐藤正午の持ち味であるご都合主義の面白さを荒井晴彦が手際よくまとめ、藤田敏八が、らしからぬ歯切れよさでさばいた佳作。撃つべき相手も見えず銃を持つ権利だけを手にした男から、狙うべき私念の標的を持つ者たちの間を転々と彷徨うリボルバー。 [review]投票
A★4赤い鳥逃げた?(1973/日)連帯や反抗心、まして気分や友情などでなく、原田、大門、桃井たちは「ある空気」によって結ばれている。いかにボジテュブに状況にコミットしても、小悪党からも大悪党からも相手にされぬ彼らは、始めから行き詰っているのだ。作品に充満する70年代初頭の空気。投票(1)
A★4野良猫ロック 暴走集団’71(1971/日)「暴走集団」と銘うちながら、シリーズ開始たった一年で彼らは車やバイクという移動手段すら持たぬ停滞集団となった。廃バスのねぐらを抜け出しちんたら自転車で向かった地方都市での緩い奪還劇は、裏切り者の処遇をめぐり初めて追い詰められてやっと暴走する。 [review]投票(2)
A★4エロスは甘き香り(1973/日)自らの力で前進不能。70年代初頭の閉塞感と足踏みを続ける若者の焦りを高橋長英が好演。目の上のタンコブである団塊世代山谷初男の何かを悟ったような根拠なき余裕は、彼らにとって憧れであり脅威なのだ。桃井かおり伊佐山ひろ子共演の貴重な1本。投票
A★3帰らざる日々(1978/日)ちょっと恥ずかしい芝居も散見されるのだが、城戸賞の中岡京平脚本はしっかりしており主人公と同世代の私としては・・・ジ〜ンとさせられる。 [review]投票(4)
A★3もっとしなやかに もっとしたたかに(1979/日)家族への疑念と帰属意識。森下愛子高沢順子。対峙する二人の生き方がいつの間にか交錯する面白さ。ゆるゆるの小林竜雄脚本と藤田演出が不思議なムードを醸し出す変な映画。 [review]投票(2)
A★3スローなブギにしてくれ(1981/日)とり散らかったままで焦点の定まらない内田栄一の散漫脚本に、持ち味と言えば言えなくもない藤田敏八ののらりくらり演出が追い討ちをかける。ずるずると引っ張られて観終わった後には「ああ、やっぱり敏八だな」の感想と南佳孝の歌声だけが残る。投票(3)
A★3妹(1974/日)帰属の喪失。ドレス、ジーパン、浴衣、そして花嫁衣裳。着せ替え人形と化した青春。帰る場所も、行く場所も見えない。学生運動終息後の時代の空気がこんな作品を生んだのでしょう。投票(3)
A★3修羅雪姫 怨み恋歌(1974/日)復讐を終えた雪(梶芽衣子)の次ぎのテーマは、「逃げる」ではなく「前進する」だ。冒頭の息を呑む移動撮影に始まり、全編通して留まることはあっても決して退くことなく前へ進み続ける雪の姿を執拗に捉える鈴木達夫のカメラがそれを雄弁に語っている。 [review]投票(1)
A★3十八歳、海へ(1979/日)まず永島と森下の妙な軽さが不気味。次に二人と対じするはずの小林・島村カップルとの距離感の無さに混乱。それでも最後まで見せてしまう田村猛藤田敏八の資質の違いが生んだ変な映画。投票(2)
A★3炎の肖像(1974/日)ケンカ(闘争)を捨てアイドルロッカーとなった男(沢田研二)にとってステージのみが自己を確認できる場でありながらその対象は顔の無い大衆でしかなく、個へと戻った彼が中山麻里・秋吉久美子・原田美枝子という3世代の女の狭間を彷徨うさまは実に70年代的。投票
A★3修羅雪姫(1973/日)敵役が皆チョロイのが最大の難点。暖簾に腕押しみたいな奴らが相手では、生まれながらに復讐を定められた鹿島雪の苦悩は霧散し、梶芽衣子の冷たい艶やかさはカタチだけに終始する。まあ、どこぞの外国人が嬉しがるにはちょうど良いかも知れないが・・・ [review]投票(5)
A★3裸足のブルージン(1975/日)過去の亡霊に捕らわれた、善意の者、悪意の者、意図せざる者たちの呪縛の融解と解放。そんな理屈っぽい観念を、なんとか笑いでくるみたいのだろうが、いかんせん藤田敏八に喜劇センスのカケラも見えず、そこはそれ理屈っぽい笑えない話しのままでも味は味。投票
■未登録作品・・●藤田敏八 『エロスの誘惑』『実録不良少女 姦』『危険な関係』 ●村川透『官能地帯 悲しみの女街』『哀愁のサーキット』『薔薇の標的』『シングルガール』『押忍!!空手部』『野獣都市 天使の囁き』『よるべなき男の仕事・殺し』『復讐の掟 ROGUE COP』『復讐は俺がやる DISTANT JUSTICE』『甦る優作“探偵物語”特別篇 聖女が街にやって来た
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