★4 | アンダーグラウンド(1995/独=仏=ハンガリー) | 非常な苦難の歴史をナチや西欧・米への皮肉を込めたユーモアで描いてしまうタフさに頭が下がる。しかも安易なナショナリズムに冷静に距離を置いたラストは、普遍性まで獲得している(「国」という表現だけは多少、気になったが)。混乱も面白さとして見た。 | [投票(2)] |
★4 | 砂の女(1964/日) | 砂の壁にひび割れが走り、崩れ始める、ああ怖い。人間は自由だが過酷な大地よりも不自由だが居心地のいい監獄を好む。このテーマ、実は以後もいろんな映画で描かれているが、この作品を超えるのはまず不可能だったりする。岸田今日子以上の適役はいない。 | [投票] |
★3 | 卍(1964/日) | 「あれを90分でまとめたらそうなるよな」といった感じの梗概的な展開なので、原作を読んでいないと訳が分からなくなると思われる。若尾と岸田の関西弁は正直言って未熟。しかし岸田は存在だけで面白い。 [review] | [投票] |
★4 | 白痴(1951/日) | 黒澤は松竹に「カットするならフィルムを縦に切れ!」と怒ったというが、確かに映画的には完成されていないかも知れない。なのに見ているだけで気圧されそうな凄まじい迫力。『七人の侍』より強力な映画なのでは、と妄想しそうになる。森雅之、素晴らしい。 | [投票] |
★4 | ビフォア・ザ・レイン(1994/英=仏=マケドニア) | 人間の殺し合いの歴史の円環構造、その度し難さを非難するだけでもなく、怒るだけでもなく、悲しむだけでもなく、じっと見据えるのは、実は非常に強靭な映画的姿勢かも知れない。叙事詩的な崇高さにまで上昇していくラストは奇跡的にすら感じられる。 | [投票(2)] |
★4 | クーリンチェ少年殺人事件(1991/台湾) | 長い、が、そこがいい。少年たちの世界を台詞ではなく映像に語らせる、その辛抱強さ・執拗さ。と同時にチャン・チェンの一家をモデルに台湾の現代史もじっくり抉ってみせる。見た後はあどけなさの残る少年の面影が浮かび、ただ切ない。何回でも見たい。 | [投票] |
★3 | ラヴソング(1996/香港) | 確かに甘いといえば甘いが嫌いになれない。マギー・チャンは上手い。レオン・ライもいい味。童話的ラブストーリーを、文革以後の幾多の中国人が経験し今も経験しつつある経済的発展物語と重ねることでリアリティを補っている。そういう意味で→ [review] | [投票(3)] |
★4 | ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ(2001/米) | 主張を台詞ではなく音楽に載せたのが正解。偏見に満ちた世界での苦しみを描くのではなく、自身もそれに縛られかねない偏見を乗り越えた地点から逆に世界を見返している所に好感。マジョリティよりむしろマイノリティ自身への在り方の問いかけにもなっている。 | [投票(1)] |
★3 | トレーニング・デイ(2001/米) | デンゼル・ワシントンの善と悪の間を揺れる人物の演技は一級品。それに圧倒されずに踏ん張ったイーサン・ホークもいい。リアリティは文句ないが、整理不足感も残った。ともかく、「白人のアメリカ」の嘘臭い「正義」へ一石を投じようという姿勢は買える。 [review] | [投票(1)] |
★3 | キャラバン(1999/英=スイス=仏=ネパール) | 映像は素晴らしい。しかし物語には違和感が。これがチベットの一部族のリアルな物語とは思えない。西欧人のオリエンタリズムの枠組みを出ていないからだろう。監督は現地で実際に生活したというが、植民地宗主国人の病理の根深さを却って浮き彫りにしている。 | [投票(2)] |
★4 | 仁義なき戦い 広島死闘編(1973/日) | 北大路欣也を見直した(この作品に関してだけは)。凝縮され、印象深く、同時に鋭い演技。ラストの哀感も稀有なもの。前作に続いてパワー炸裂感がすごい。 | [投票(1)] |
★3 | JFK(1991/米) | こういう姿勢は大事だと思うけれども、映画としては大味ですね。 | [投票] |
★5 | 2001年宇宙の旅(1968/米=英) | 初めて見た時、少し眠くなった。2度目、まったく眠くならず、ただ引き込まれた。「階層構造である宇宙での人類の位置」を考えたというから、実際の2001年を過ぎた現在でも人類はキューブリックとクラークの思考を追い越せずにいるのか。30年後の今でも前衛。 | [投票(1)] |
★2 | シャンプー台のむこうに(2001/英) | 笑える。すぐに消えてしまうような笑いだが。そしてそれだけの浅〜い映画。母親を中心に、誰もが決して順調な人生を歩んではいないのに、ぜんぜん深いところに入っていけないまま終わってしまう。苦笑。 | [投票(1)] |
★5 | 赤い殺意(1964/日) | 今村監督の映画の中で一番好きな作品。春川ますみの一世一代の名演が可笑しいと同時に哀しい。西村晃の怪演も、露口茂の存在感も貴重。戦後の東北に生きるぼんやりした女が自我に目覚めて行く姿を笑いとスリルと辛辣さの同時進行で描いている、強い映画。 [review] | [投票(2)] |
★4 | にっぽん昆虫記(1963/日) | 左幸子が素晴らしすぎ。歌物語風に短歌が挟まれるのも面白い。こんなに東北弁がしっくりくる映画はこれと『赤い殺意』くらいだろう。 | [投票(1)] |
★4 | 仁義なき戦い(1973/日) | オープニング、広島の原爆のきのこ雲に赤い字のタイトルが重なる。これも、裏社会から描いた紛れもない戦後史。単なるヤクザ映画として済ませられない。菅原文太の鋭い目と存在感は忘れられない。 | [投票(5)] |
★4 | ロスト・ハイウェイ(1997/米) | コピーが「いかがわしい映画。」言い得て妙。きちんと整合性を付けて理解しようとして「訳分からない〜」などと言ってる人がむしろ理解できません。
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★5 | マルホランド・ドライブ(2001/米=仏) | どこがどう、というのも難しいのだが、とにかく好き。訳が分かるとか分からないとか、そういう当たり前の見方すら乗り越えてしまう。映画でしか出来ないことを存分にやってくれている。 | [投票(3)] |
★2 | GO(2001/日) | 考えさせられる。映画とテレビドラマの違いは何なのか。なぜならテレビドラマにしか見えないから。窪塚洋介の演技は凡庸。 | [投票(1)] |