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煽尼采さんのコメント: 点数順

★4桜桃の味(1997/イラン)常に主人公が何らかの「謎」を抱え込んでおり、これが観客の注意を引きつけ続ける。延々と土砂ばかりが続く殺風景な風景は、彼の心象そのものかと思える。 [review][投票]
★4彼女を見ればわかること(2000/米)彼女を見れば――。赤いドレスと、赤い口紅。「見られる」事への願いとしての、赤。映画にとってもまた、赤はやはり特別な色だ。複数の物語であり、一つの物語。 [review][投票]
★4ウール100%(2005/日)時の編み直しじゃ。赤い毛糸もいつしか何か、血管でも編み上げているように見えてくる。少女が最初から始めようとする時間と、老姉妹が、文字通りに積み重ねてきた時間。 [review][投票]
★4昼下りの情事(1957/米)全篇に渡る、隙のない演出。太い眉毛や痩せぎすな体、吊りあがった目さえ妖精的なオードリーの愛らしさ。魅惑的な照明と、何より音楽の巧みな使い方!台詞なき脇役の、子犬や音楽隊も愉しい存在。 [review][投票]
★4ブラッドシンプル(1985/米)99年の再編集版『ブラッドシンプル ザ・スリラー』で鑑賞。淫する、と言えるほどの、影と照明への意識性。筋立てとしては「齟齬と誤解による、交代と交換の劇」とか何とか言えばいいのだろうが、面白さはそこではなく、ただもう、光と影、光と影、光と影。[投票]
★4わが幼少時代のポルト(2001/仏=ポルトガル)暗闇から指揮者のように記憶とイメージを誘導するオリヴェイラ。だがその肉声による語りは、記憶というものが、ただ私的な心象としてしか保存され得ない事、フィルムの到達し得ない彼岸の存在を示す。イメージの断片の再構成という、回想と創造の表裏一体性。 [review][投票]
★4好奇心(1971/仏)ジャズの映画としては『死刑台のエレベーター』より好きだ。劇中で流れるジャズは、映画音楽としての立ち位置と、ローラン少年にとって、女の肉体と同じく欲望と憧れの対象である立ち位置との間を往き来する。 [review][投票]
★4モンド(1996/仏)野生のままの世界の美しさに、子供の頃のように、再び目と耳を開くという至福。 [review][投票]
★4マイティ・ハート 愛と絆(2007/米)所謂「ドキュメンタリー・タッチ」の劇映画は当然、ドキュメンタリーではない。だが劇映画でしか再現できない真実がある。それを、劇映画としての分をわきまえた品性をもって構成していくという事。 [review][投票]
★4それでも生きる子供たちへ(2005/伊=仏)リドリー父娘は映画のコンセプトを何か勘違いしているように僕には思える。 [review][投票]
★4シルク(2007/カナダ=仏=伊=英=日)右(東)へ、左(西)へと往復するショットが描く旅。極東(=世界の果て)の記憶としての蚕の卵。エレーヌの想いの暗喩としてのユリの花。物理的な距離と心的距離の繊細な絡み合い。 [review][投票]
★4赤ひげ(1965/日)兎にも角にも、おとよ。 [review][投票]
★4列車の到着(1895/仏)列車という、巨大な鉄の塊が直線的にフレーム外へ向かうという事。最初の構図の遠近感を遮断する、この黒々とした被写体。視界の遮断によって、傍観者=観客をショット内の出来事(列車の接近)に引きずり込む。[投票]
★4白い巨塔(1966/日)患者の病巣と、医学界の病巣を巡るドラマの同時進行が、科学者としての立場と政治的立場との絡み合い、という一本のドラマをも成す。単なる権力闘争に留まらず、個々の医者としての価値観のぶつかりが、陰影を生む(だが肝心の財前と里見は紋切り型)。 [review][投票]
★4プレステージ(2006/米=英)かのジョルジュ・メリエスが奇術師だった事が想起される。映画という仕掛け自体が、トリックを用いて時空を自在に繋いでみせる奇術。物語が中盤に差し掛かった頃には既に、物理的な奇術からイメージの奇術への主題の移行が感じ取れる。 [review][投票]
★4DEAR WENDY ディア・ウェンディ(2005/デンマーク=仏=独=英)ダンディーズはゾンビーズ。死にとり憑かれた思春期のリビドー。『ドッグヴィル』の箱庭感が、演出法を引き継いでいた前作よりも却って再現されていたのには驚かされた。 [review][投票]
★4グレースと公爵(2001/仏)絵画を背景に用いる手法は、映画の平面性、虚構性と共に、絵具をキャンバスに塗り込めた物としての絵画に潜む生々しいドキュメンタリー性を顕在化させる。歴史と映像の、革新と保守の間での、ロメールの徹底的な中間性。 [review][投票]
★4スリ(1959/仏)細部まで計算され、最小限にまで純化された脚本、ショット、カット割り、視線の動き。そこにただカメラ映えする身体が嵌め込まれてあるということの美しさ。 [review][投票]
★4キャンディ(2006/豪)徹底した空虚さの凄みも感じさせない、芸術家気どりの若者の、凡庸な青春の一断面。だがそれを、甘くまたクールに描いたショットの数々は一級品。アングル、焦点の合わせ方、色彩設計、全てがハイセンス。殆ど老巧でさえある。 [review][投票]
★4ブラック・スネーク・モーン(2006/米)「引き摺る」物語。鎖の鳴る音、ブルースの歌声、そして男と女の関係性が織り成す、矛盾と逆説。引き摺られ、反復される記憶。弁証法的な救済の物語。「黒い」蛇が暗示する、アメリカという国。 [review][投票]