煽尼采さんのコメント: 点数順
人情紙風船(1937/日) | 薄く軽い紙風船。薄い壁を隔てた二人の男の、遠い距離。 [review] | [投票(4)] | |
シベールの日曜日(1962/仏) | カメラワークと構図の計算。些細なショットにあっても、この画を撮る、という明確な意志が感じられる。少女の、大人びた言葉が却って際立たせる幼さが発する透明な色香と、夢幻的な映像が、この世の彼岸へ誘う。 [review] | [投票(4)] | |
浮草(1959/日) | 殆どのカットに含まれる赤の鮮やかさ。反対色の緑が各所に配されているのも絶妙。加えて、茶系統の色の落ち着きと、白による視覚的な抜けの心地よさ。色と闇の対比も見事。画の構図も、屋内のみならず、狭い路地が織り成す直線の構成による、整然たる美。 [review] | [投票(4)] | |
TOKYO!(2008/仏=日=韓国=独) | ゴンドリーの「隙間」。カラックスの「撹乱」。ジュノの「囲い」。 [review] | [投票(4)] | |
容疑者Xの献身(2008/日) | 賑やかな予告篇と違い、腰を据えて「映画」している映画。原作の石神は醜男という設定らしいが、映画では天才数学者である事の孤独に、より焦点が絞られている。全篇に漂う「寂しさ」と「哀しさ」はまさに堤真一パワー。 [review] | [投票(4)] | |
ジェシー・ジェームズの暗殺(2007/米) | 南北戦争の敗者である南軍、その生き残りとしてのジェシー・ジェームズ。アメリカの正史から取り残された者への郷愁。疑念と友情の間で揺れ動き張り詰める、緊張感に充ちた場の空気を捉えた、持続性のある場面作り。音楽の素晴らしさ。 [review] | [投票(4)] | |
28週後...(2007/英=スペイン) | 揺れ動き、疾走し、闇に脅える主観ショット。広大な空間の上を滑走する俯瞰ショット。素早いカット割り。この動的でリズミカルな空間演出と、思い切りのいい暴力描写。感染という要素によって、死にゆく感染者から飛び散る血飛沫もそれ自体が暴力となる。 [review] | [投票(4)] | |
ダンボ(1941/米) | 生まれながらの特異な個性、周囲からの孤立を強いるものが、何かのきっかけで、誰も為し得ず、誰もが瞠目する何事かを実現させるということ。才能とは、ダンボの耳のようなもの。愛らしいメルヘンなのに、ガチで狂気をぶつけてくる幻覚シーンにも感心。 [review] | [投票(4)] | |
スカイ・クロラ(2008/日) | 押井守のミシマ化(?)。イカロスにして、シーシュポス、更にはオイディプス。父への反逆を、父として描く。 [review] | [投票(4)] | |
バック・トゥ・ザ・フューチャー(1985/米) | ノスタルジーと未来志向こそ、この映画の両輪。 [review] | [投票(4)] | |
エターナル・サンシャイン(2004/米) | 単に記憶のピースを探すのではなく、心の深い所で欠けているピースを探すという事。 [review] | [投票(4)] | |
秋菊の物語(1992/中国=香港) | 法と情。 [review] | [投票(4)] | |
さらば、愛の言葉よ(2014/仏) | 言葉を、ノイズとの臨界へと追い込むゴダール。映画という人工的な装置によって逆説的に実現される、空間への原初的な驚きを、3Dという、更なる人為性を駆使して未踏の地へと推し進める。 [review] | [投票(3)] | |
十三人の刺客(2010/日) | 稲垣吾郎は、その役柄の設定や、周囲の演技によって「斉韶」という人物を成立させている面が強く、彼自身の演技ひとつで圧してくる迫力は乏しい。斉韶の、観客の憎悪を求めると同時に観客の殺戮への欲望を代理しているようなメタな悪役ぶりは面白い。 [review] | [投票(3)] | |
お引越し(1993/日) | 日常性から彼岸への、跳躍ではなく、地続きの道を歩いて到達することの驚き。終盤で別次元へと「お引越し」したかのように思いそうになるが、そうではないのだ。この終盤ゆえに、それに先立つシークェンス群もより肯定したくなる。 [review] | [投票(3)] | |
アマデウス(1984/米) | 甘い菓子のようにカラフルな舞台に響くモーツァルトの下品な笑声は、その音楽と同じく、矮小な人間すべてを嘲笑する。ミロス・フォアマンの演出は完璧とは言えず、特にDC版はテンポを欠くが、モーツァルトの音楽の素晴らしさはそれを補って余りある。 [review] | [投票(3)] | |
冷たい熱帯魚(2010/日) | 血と乳と肉が濁流となって向かう先は、奇妙に充足した空虚。欲とエゴで皮膚をパンパンに張らせた一種の究極超人のハイテンションの求心力。 [review] | [投票(3)] | |
フェイシズ(1968/米) | 一瞬一瞬の「時」に迫るカメラ。純粋にモノクロの陰影のみで捉えられたその、刻々変化する数々の顔の微細な表情たちから、観客が逃れる余地はない。人間関係の亀裂や間隙の暗がりの上での、そこに落ち込まないために持続させられる空疎な乱痴気騒ぎ。 [review] | [投票(3)] | |
許されざる者(1992/米) | 悪徳と名誉、卑劣さと倫理としての、暴力。 [review] | [投票(3)] | |
サイコ(1960/米) | プレ『鳥』としての『サイコ』。「人間」の殺害としての映画。 [review] | [投票(3)] |