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ジェリーさんのコメント: 投票数順

★5砂漠の鬼将軍(1951/米)アバンタイトル部でのアクションによるサスペンスフルなストーリーへの引き込み、原作者の登場から主役の初登場にいたる流れの手際、水際立った簡潔さに煌く会話、将軍や政治家たちのキャスティング、どこをとっても引き締まり、知性と緊張感に満ちた作品。 [review][投票(1)]
★3コラテラル(2004/米)昔嗅いだ匂いがする。この匂いは監督の意図したものではないかもしれない。あまりにも私風の解釈にすぎないのだが、私の目に映ったものはこういうことだ→。 [review][投票(1)]
★5ピアニスト(2001/仏=オーストリア)じっとりと湿った冷ややかさが画面に漲る。シューベルトのように極端から極端に走ることしかできない女が、密室の中で男と無器用にもゼロから性愛の規則を作り出して行く生々しい過程の描写がすばらしい。世俗的希望を捨てた無償の感情を捨て身で表現したイザベル・ユペールに脱帽した。 [review][投票(1)]
★3レッドクリフ Part II ―未来への最終決戦―(2009/中国)戦略や戦術以上に戦闘の描写に軸足が置かれた。この精緻さは驚異的だ。群集戦闘や火器扱いの表現技術の進歩を大いに慶ぶ。一方、従来の良質の戦争映画で重視された空間把握(距離感や温湿度)や兵士にかかる重力の現実感が致命的に失われてしまったことが残念。[投票(1)]
★3カッコーの巣の上で(1975/米)想像力を刺激する映画ではなかったが、大義名分の是非を問うた映画であるという見方をやめたときにこの映画の相貌は変わる。「原理主義」の戦いになってしまったがゆえの悲劇に私は見える。白と肌色が支配している領域に入ってきた黒い帽子。婦長の帽子の白との相容れなさがこの帽子に象徴されていた。[投票(1)]
★3ブルックリン横丁(1945/米)いかにもダリル・ザナックが制作しそうな社会派映画。典型的な演劇演出をやってしまっている。ブルックリンに住む生活に疲れた家族が、機関銃のようにせわしなく喋り続けてテーマを掘り下げてくる割には、痩せた感じしか与えない。 [review][投票(1)]
★4モンパルナスの灯(1958/仏)美しい男優女優のクローズアップのつなぎのなんと大胆なこと! 何よりも指摘したいのは、俳優たちが交わす視線の交錯の角度。この角度の斬新さと切れ味がこの映画を永遠のものにする。1910年代の市井の風俗の取り入れ方も丁寧で、瑞々しい一編に仕上がっている。[投票(1)]
★1さらば、ベルリン(2006/米)ノワールのぶっきらぼうな語り口を模倣するも、気の利いた台詞にも切れのいい編集にもお目にかからないうちに映画が終る。当時のモノクローム映画は白と黒の健全な色彩映画であって、光と影が病的に戯れる陰影の映画でないことも分かっていない。[投票(1)]
★2大魔神(1966/日)宗教劇の一亜種として見ている。弱点は前半部分の花房家滅亡の部分がいい加減なこと。ここがよければ後半のスペクタクルがもっと盛り上がった筈。滝の上に小さく神像の上半身が見えるシーンが良い。あのショットによって、大魔神の存在に深さがでた。[投票(1)]
★3小間使の日記(1963/仏=伊)所有の王国に侵入した果敢なトリックスターの物語と思いきや、堅牢な鏡の国の中で自分を失っていくアリスの話であった。豊穣な「細部」で惜しみなく画面が埋め尽くされる。遮蔽物としてのドア、人間の暗黒面の隠喩としての靴、貪欲の犠牲としての生き物たち‥‥‥見事な視覚化だ。[投票(1)]
★1アスファルト・ジャングル(1950/米)緩みに緩んだ映画だ。俳優と背景を映すだけでは映画にならない。同じ一つの部屋を映しているのに、カットとカットの間で、その部屋は一つの持続した舞台であるという演出者の意志が感じられない。役者には手も足もあるのに演技が顔だけでなされてしまっている。[投票(1)]
★3風櫃〈フンクイ〉の少年(1983/台湾)若竹の美しさを感じさせる。シンプルな筋だが飽きさせない。キャメラと俳優の距離感の取り方に特長があり、風景の絡ませ方が滅法うまい。特に、屋内描写に外の風景が生々しく入り込んでくる強烈さに感心した。この監督の多くの美点の中で最も輝かしい部分だ。[投票(1)]
★3穴(1960/仏)執拗なまでにコンクリートが穿たれるという事実を一箇所で凝視し続け、延々と地下に伸びる刑務所の迷路性を闇に輝く灯りの光を通して伝えるキャメラ。これほどキャメラに信頼のおける映画も珍しい。精密機械の運動を撮り続けたような映画。[投票(1)]
★2慕情(1955/米)何度も登場する丘の上の一本の木と蝶々の使い方が小憎らしくもメロドラマとしての甘さを奏でるが、この甘さは清涼飲料水のそれである。本来ビターズの機能を果たすべき、中国の共産主義化という背景と女主人公の混血の出自の設定が何の役にも立たない。[投票(1)]
★5長い灰色の線(1954/米)無声映画のようなスラップスティック演技。機関銃のような会話劇。シネマスコープの幅いっぱいを使った構図。常にスペースに人が入っては次のスペースを生んでゆく動きの淀みなさ。相矛盾する要素が一つの器に渾然と融けあい揺るぎない統一体が創られている。[投票(1)]
★3あなたと私の合い言葉 さようなら、今日は(1959/日)市川崑が放つスクリューボールコメディの秀作。棒読みに近い小刻みの台詞は日本流のマシンガントークに他ならない。そして我々は若尾文子のコメディエンヌぶりに瞠目するのだが、そのときに彼女の鼻梁に乗る眼鏡に注目しなければならない。 [review][投票(1)]
★4グロリア(1980/米)迷いながらも軸はぶれない女主人公の徹底した行動原理にハードボイルドの王道を見る。ロケーション撮影が本当に素晴らしく、街の中を縦横に動き回るジーナ・ローランズの雄姿には、映画における女優の機能(役割期待)を革命的に進化させた威厳が宿る。[投票(1)]
★4河(1951/米=仏=インド)河のほとりから階段をおりて河に入る。ほとりに佇むことは許されない。片足を失った退役兵にも、家族を失った姉妹たちにも河に入るべきときを自ら考え自ら実行すべきときが確実に訪れる。「受け入れる」ことの大切さが圧倒的な画力で静謐に主張された作品。 [review][投票(1)]
★4ノーカントリー(2007/米)アステアのダンスを撮るような汗ひとつかいていないキャメラと言えばいいだろうか、沈着無比の撮影。けれんの演出を施す必要すら感じていない日常行為としての殺戮。まるでダレ場とでもいいたげに省略の対象となる重要人物の殺戮。ノワールの21世紀がこの映画に始まる。[投票(1)]
★2プロフェッショナル(1966/米)兵站確保を失念することなく双眼鏡とコンパスによって練られた戦争ミッションがきちんと描かれた前半部は、汽車、馬、火薬の効果的活用とシネスコサイズをフル活用した構図に支えられ上々の出来だが、あわただしく急転する終結部に大穴。人物設定はもっと単純でよい。[投票(1)]