[コメント] エリン・ブロコビッチ(2000/米)
事件の経緯自体よりも、ある事件を通じて一人の人間の自己実現の過程に徹底して重点を置いて描いている点が成功。良いタイトルだ。
事件そのものをいい加減に描いているわけでは決してないが、あくまで焦点は一人の人間の生き様。その意味で、エリン本人がクロムに侵されていたというのが本当であったにせよ、そうでないにせよ、そのプロットを全てカットすることにより焦点を自己実現からずらさなかったのは正解だろう。
一人の「人間」の自己実現と書いた。が、その「人間」が男であったならば、それがたとえ実話であったとしても、これほど話題にはならなかったように思う。エリンとジョージの立場を逆に考えてみると、それほどインパクトの強いものには感じられない。
それは、やはり女性にとっての自己実現の過程には男性とは比べものにならないほど多くのハードルがまだまだ依然として根強く残っているという現実があることを意味する。離婚経験あり、子持ち、ということであればそれはなおさら。自分は男なのでその点を肌で感じることは不可能に近いが、多くの女性がこの作品に共感を示したのはその点を肌で感じているからではないだろうかと勝手に考えた。そう考えたら『エリン・ブロコビッチ』というタイトルがさらに奥深くこの作品に相応しいものに思えた。
それにしてもエリン役にジュリア・ロバーツを選びあの演技を引き出したスティーブン・ソダーバーグ。そして何よりその役を熱く、しかしやり過ぎることなく見事に自然にこなしたジュリア。恐れ入った。
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