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[コメント] 息子の部屋(2001/仏=伊)

不在と欠落は突然やってくるのに、その状態に突然慣れるということはありえない。
なつめ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







この映画でも再生が劇的に起こるさまをみることはできない。そして、それはとても正しいことのように思えた。

失った人を語るには家族という密度は濃すぎる。共通の思い出を持つアリアンナの出現は、風穴を開ける解放のきっかけに見えた。彼女はアンドレアにラブレターを送っていたけれど、アンドレアを失った家族の前に現れたときボーイフレンドを連れていた。家族にとって「アンドレアの死」という共通の思い出を持ちながらも、「しかし私たちは生きている」ことを体現してみせた存在なのではないか。死を受け止めながらも生に向いている存在。

彼女とボーイフレンドに結局朝までつきあうことになった家族は、離れがたくてそうしていたようにも思えて、その反面、朝になりいよいよお別れのときには、走りゆくバスのほうへ目を向けることはなかった。

そこに、劇的にではない、しかしなにかきざしが見える。抑制されたところに品を感じた。

(評価:★4)

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