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[コメント] キル・ビル(2003/米=日)

(ほとんど)全ての日本人が「なかったこと」にした70年代のバカ邦画を、タランティーノは忘れさせてくれません。ああ恥ずかしい。でもなんだか同時に、嬉しい。
lukie

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







いったん、捨てたんですよね。80年代に。 根暗(死語)で泥臭くて残酷で粘着で脂ギトギトの上に湿気たっぷりな日本人であった自分を。80年代には根アカ(これも死語)で軽くてオシャレで薄くてあっさりしょうゆ顔(死語連呼)な日本人に生まれ変った・・・はずだったのに。

実際、すっかり忘れていましたよ。日本人って、もうあのギトギトな情熱は失くしてしまったんじゃないかと思う。梶芽衣子の恨み節なんて、聴くのも恥ずかしくて、半笑いしながら「昔ってこんなのもあったねえ」となつかし番組で語る過去の「かつて一生懸命過ぎてかっこ悪い日本人であった自分の恥」を自嘲するネタ・・・くらいの扱いしかできなかったでしょう。

ところが、ここに伏兵。米国人でオタクなタランティーノ。 全編が冗談のような残酷に彩られて、一瞬ただのおバカ映画かと思うのに、オープニングの「BANGBANG」、そしてエンディングの「恨み節」……ここだけはまじもんの本気。この歌を大真面目に流し、そしてばっちり決まってしまっている。 やばい、じぃん、ときてしまった。自分の中の「日本人」を刺激されてしまった。

いろいろな意味で、「恥の文化日本」を見せてくれたタランティーノに、感謝。 もち、それを抜きにしても面白かったです、よ。

(評価:★4)

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