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★3宮本武蔵・巖流島の決斗(1965/日)底知れない力を秘めて、海は小船の下に静まり返る。暴力に憑かれた男の地獄巡りは終わる。すべては無意味のままに。原作とは微妙に異なる結末に、戦中派の醒めた認識が窺える。ぽんしゅう[投票(1)]
★3宮本武蔵(1961/日)泥濘の中から始まり、「俺は愚かであった!」で終わる。青春というには凄惨過ぎる彷徨を極太・粘着質の語り口で。滴る汗、引き攣る肢体、噴き出す血飛沫…実はかなり性的な映画。ぽんしゅう[投票(1)]
★3ダーティ・メリー クレイジー・ラリー(1974/米)投げやりな語り口に滲む深い憂鬱。ひたすらの逃走も堂々巡りにしか行き着かない。感傷的。しかし、あの凝縮された一瞬の、艶めかしく、悲哀に満ちた美しさには逆らい難い魅力がある。けにろん[投票(1)]
★3デス・プルーフ in グラインドハウス(2007/米)いつものB級耽溺趣味。珍しい蝶を収集している暇人のようだ。お気に入りのガラクタで一杯の子供部屋から出る気はタランティーノにはないらしい。ここに怠惰はあってもロマンはない。sawa:38[投票(1)]
★5サスペリア(1977/伊)無意味なカットを秘密の法則に従って組み合わせ、何一つはっきりとは語らず、それでいて何かが隠されていることをほのめかす。中身よりもバロック的に歪んだ語り口にすべてがある。けにろん[投票(1)]
★3帰らざる日々(1978/日)地方都市・最後の夏・父の不在・年上の女…。しかし、藤田ファンとしては不満も残る。いつものように、なし崩しの逸脱へ、男と女の倦怠へ、うたかたの日常へと雪崩れ込んでほしかったが。ぽんしゅう[投票(1)]
★3キル・ビル(2003/米=日)頭の悪い中学生の描いたマンガのよう。これ見よがしの白痴的展開はイモなハリウッド大作への揶揄。B級ディレッタント趣味。耽美派ならぬ耽B派。幼稚だなあと思いつつ、結構楽しんだ。けにろん, ぽんしゅう, ボイス母[投票(3)]
★5東京オリンピック(1965/日)新幹線のデザインなどにも通じるモダンで端正な映像。祝祭らしい華やかさが、次第に、「坂の上」へ到達してしまった悲哀へと変わってゆく美しさ。戦後の日本で最も格好いい映画はこれ。disjunctive[投票(1)]
★4好色一代男(1961/日)江戸のドン・キホーテは目指す。女の歓びを、平和を、この世ならぬ至福のパライソを。夢想家の果てしなき聖戦。世界が狂っているのなら、物狂いこそが人間的だ。雷蔵・鴈治郎は完璧。ボイス母[投票(1)]
★4エロスは甘き香り(1973/日)「何も表現するものがない」という若い芸術家の悩み。虚勢→ヤケクソ→自信喪失→女と寝る→最初に戻る。生きることを巡るぐじゃぐじゃ。それが生の全て。藤田は描く、「何もない」ことを。ゑぎ, ぽんしゅう[投票(2)]
★4バージンブルース(1974/日)ボウフラのような流れに任せた無為の日々。人生は道草。目的なんてない。そしてそこにも終わりはやって来ると知った時、彼女は何かを喪失する。日本でロードムービーをやるとこうなる。けにろん[投票(1)]
★4黒水仙(1946/英)異郷の尼僧たちに訪れるデヴィッド・リンチ的崩壊。荒れ果てた修道院のセットが次第に狂気を孕んでくる、そのデモーニッシュな変貌の凄さ。『ブルー・ベルベット』の世界はすでにここに。ゑぎ[投票(1)]
★4インランド・エンパイア(2006/米=ポーランド=仏)物語は半ばで急速に溶解。鳴り響く重低音と混線したイメージの氾濫から、「帝国」が騙し絵のように浮上して来る。巨大で、不可知で、おぞましく、泥のようなユング的世界。短く感じた。けにろん[投票(1)]
★4アメリカン・サイコ(2000/米)エリート男の狂人日記、または「甘い生活」。その後の彼の心境を一言で言うなら、「すべては茶番」だろうか。バカで金ぴかの80年代後半を血のように赤いソースで。グロテスクだが美味。ボイス母[投票(1)]
★3歌行燈(1943/日)鶴八鶴次郎』の闊達さは何処へやら。戦時だからなのか変に堅苦しい。それでも、障子の桟や二階の手摺の幾何学模様、松原の木洩れ陽のシュールさ、等など細部はさすがの美しさ。ぽんしゅう, ゑぎ[投票(2)]
★3修羅雪姫(1973/日)雪のように穢れなき復讐心とその裏にある破滅への欲望。自己陶酔的な暴力の爆発。マゾヒズムとサディズムを往復する極端の美学。かなり阿呆な話なのだがB級ならではの楽しさがある。sawa:38[投票(1)]
★3BROTHER(2000/日=英)野卑な暴力自慢に辟易。ハラキリ・指ヅメ・自決…無闇な自傷行為は小心の裏返しか?照れ隠し?『ソナチネ』の詩情の片鱗もなし。「アニキ」という言葉の晴れがましさのみ印象に残る。けにろん[投票(1)]
★5青空娘(1957/日)フィルムの色の驚異的な彩度。東京駅に入って来る列車の高揚。滅茶苦茶に明るいが、その底には古い衣を振り捨ててゆく一抹の悲哀が漂い、それがこの映画に気品を与えている。ぽんしゅう[投票(1)]
★3テス(1979/英=仏)黄昏の野原で踊る娘たちは巫女か霊媒のよう。時折現れる異教的偶像に漂う超時間的感覚。其処此処にあの世とこの世の仕切りを取り外したような雰囲気が…。一種の怪談なのでは?けにろん[投票(1)]
★4ジュリア(1977/米)いい加減には生きられない激しい気性の人々。孤独の高貴、内的対話の豊穣、創造の苦痛と栄光、そして、馴れ合わず独り我が道をゆく者の間にある深い絆。火酒のように澄んでキツい。けにろん, 緑雨[投票(2)]