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けにろんさんのコメント: 更新順

★4判決、ふたつの希望(2017/レバノン=仏)家族を虐殺され故郷を蹂躙された者に軽々に融和や和平を言う資格が誰にあるかという思い。駐車場での一幕は糸口にはならず男は侮蔑し殴られるをもって心と体の痛みを等分するしかない。レバノンの街角で吹き出した民族怨嗟の潮流が大騒乱に至る顛末は生煮え。[投票(2)]
★3昼下りの情事(1957/米)おっさんが小娘にメロメロという設定が生半可で振り切れてないので薄ぼんやりしてる。アンチモラルを厭わないワイルダークーパーに遠慮した本懐でない妥協作。そんなこんだで列車を使った王道なラストが来るのだが当然に目出度いの感慨も湧かない。[投票]
★3ペンギン・ハイウェイ(2018/日)平穏な日常が異物混入により変容し少年少女が大活躍して平穏を取り戻すというウンザリな中二病世界だが、おっぱいへの異様な拘りと蒼井優のリアリズムが世界に風穴を開ける。ひと夏の経験で少年は何かを永遠に喪うという鉄板テーゼが辛うじて刻印された。[投票(2)]
★3E.T.(1982/米)使い廻しめいたUFO始めスピルバーグにしてはお手盛りの廉価ムービー。ET造形の逆説と少年少女の純粋な庇護欲の対置は鯔の詰まりピーターパン症候群なメルヘン描写に帰結する。そこには計算はあってもワンダーは無い。サディズムを封印した出涸らし。[投票]
★4海潮音(1980/日)風土に根差した家父長制度の崩壊が侵入者により齎される文学的バロックを志向した意気は買うが舌足らずで生硬。だが効果音としての和製ポップスと旧家屋のトリッキーで余りに映画的な構造といったアンビバレンツが混在し荻野目の天才がそれらを突き通す。[投票(1)]
★2汚れた英雄(1982/日)削ぎ落としたのではなく描ける内容が限られてるから無機的になった。結果的に女をこますこととバイクを走らせることという事象に特化して純粋映画になることもできたろうに哀しくも角川の精神支柱はどうしようもなく浪花節であった為に限りなくダサい。[投票(1)]
★4検察側の罪人(2018/日)善悪論は置いといて語り口の映画として原田の資質に適合した題材。加速された台詞廻しと編集は許容範囲を超過した情報を盛り込みバックボーンに厚みを持たす。要の取調べシーンでは対峙する空気を推し量りニノの暴走を呼び込んだ。逸脱こそが映画だ。[投票(1)]
★4プリティ・リーグ(1992/米)時代の間隙を埋める徒花であったにも拘らず誠心誠意がむしゃらに走った彼女たちへの賛歌であり文句無しに気持ちいい。一方で1人の男の再生の物語にもなっているのも又抜かりなくハンクスの場末感が最高。男は女で生きもするし死にもする。真実である。[投票(2)]
★3吸血鬼(1932/独=仏)即物的で感情移入の余地がない会話が世界を孤絶させその異郷感は禍々しさ一歩手前なのだが突き抜け切れない。ジャンルムービーの予断がそうさせるから。棺桶視線による仰角移動の街並みの陳腐や杭打ちの哀れ白骨標本化のトホホや悪漢医師の粉塗れの刑の冗長。[投票(1)]
★3フィッシャー・キング(1991/米)2人の男のトラウマ脱却話としては回り道が多すぎメッセージが直に伝わってこないし、大体、自己憐憫から簡単に堕ちてしまう奴に共感したくもない。なんだかホームレスって気楽な稼業っぽい映画的な言説に安住している。ギリアムの中世嗜好も我田引水だ。[投票(2)]
★3BLEACH(2018/日)母殺しの悪霊に物語は収斂せずに死神兄妹&彼氏(?)の痴話げんかと併存することで拡散しパワーを失う。随分と手前勝手で甘っちょろい世界観と思うが少年漫画にそれ言っても始まらない。ホロウの造形が宮崎チック過ぎるのは興醒めだがちゃん力演。[投票(1)]
★4ふくろうの河(1962/仏)殊更目新しいアイデアでもないがモノクロ撮影で捉えられた森の光と影がもたらす全篇に漂う幻想味が秀逸。この世界は掛け替えのないもので充ちており、そのことに気づいたあとの喪失は1度目より苦渋は倍加する。身悶えする余りに儚いフラッシュバックの余韻。[投票]
★31999年の夏休み(1988/日)近未来・やおい・男装少女と3拍子そろえば茶番に成り下がりそうなもんだが踏み止まったのは岸田理生の観念世界が映画を統御したからだろう。異界・外界から列車で2度侵入する少年は静謐世界を攪拌するが何も変わらない。そして夏休みは永遠に続くのだ。[投票(1)]
★2姐御(1988/日)女侠映画のパターンを忠実に現代に置き換えただけのもので健さん鶴田のポジションにたけしってのが新鮮で気が利いてるとは思うがそれだけだ。肝心の黒木がどうにも柄じゃなく肚の据わりに欠けるし鷹森演出には映画エキスの欠片も無い。[投票]
★4Bao(2018/米)子ども可愛いやはやがて反抗と断裂に至るという全く在り来たりの肉饅頭に託した掌話なのだが終局が鮮やか。唐変木めいた親爺はちゃんと鎹となって妻と息子の不和を見守っていた。時間こそが全てを融和させて解決する。そして新たな饅頭の作り手が加わるのだ。[投票]
★3DEAD OR ALIVE・犯罪者(1999/日)対決構図が描きこまれておらず2大スター競演の意味が無いし物語が収斂するラストの反則技もとってつけた感が拭えない。単なる自棄糞の公開オナニーだ。寧ろ既存セオリーを破壊したのは冒頭の短縮戦術で遣りたい放題。勢いに乗る無限縦走は映画を沸騰させる。[投票(1)]
★4カメラを止めるな!(2017/日)迎合的な劇伴と映画賛歌は若干鼻白むところだが、パラノイアな女房・娘との家庭の為に自分を殺して世間に頭を下げる男は不如意な経緯からカメラの前に立った瞬間スイッチが入る。虚構に仮託してクソな奴らをばっさり斬って棄て現場は好循環。これこそ理想郷。[投票(11)]
★3ファーゴ(1996/米)多義的状況を描くのでなく一応主人公と目されるメイシーが存在するというジレンマが解消されぬので茫漠。2人組の掛け違えた歯車が狂っていくのでなく根っこからゲスで狂ってるので単線的であるし女性署長の好人物は対置される世界が頓狂味では効かない。[投票]
★3グリース(1978/米)生き方のポリシーを変えるのは男か女かのジレンマは突き詰められないのだが、クライマックスで名曲「愛のデュエット」のイントロが流れトラの腰がくねりだすと全てが雲散霧消してしまう。絶大な多幸感。チャニングのやさぐれ感も随所でサビとなった。[投票]
★3新・兵隊やくざ 火線(1972/日)全くもっての在り来たり展開ではシリーズ末期的症状にいくらカラー化や増村再登板をもってしてもリストラクトは適わない。相変わらぬ勝新の暴れっ振りを見てるだけで退屈はしないとは言えホモセクシュアルを匂わす描写は覚悟がないならやらぬがまし。[投票]