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けにろんさんのコメント: 点数順

★4ノーマ・レイ(1979/米)社会意識ゼロのノーマが徐々に問題意識に目覚める過程が男と女の惹かれ合う感情とリンクされ納得性ある展開。何よりレイノルズの可愛い子ちゃんだったサリー・フィールドの捨て身の変貌と題材が絶妙に同期してる。一期一会とは本作のようなのを言う。[投票]
★4バレンチノ(1977/米)生きる縁を本能で知悉したように飛び石の如くに女たちを伝って時代を駆け抜けるバレンチノの内面をラッセルが描こうとしたとも思えない。20年代ハリウッドを取り巻くショービズ界へのノスタルジーが全てで、そういう点で徹底的に凝りまくっている。[投票]
★4さよならを言わないで(1969/伊)行き場のない刹那感に思い出はあくまで美しく縁取られ、やがて確実に来る終着点に向かって愛は昇華されていく。そして、美しい2人を、これ又圧倒的に美しく哀しい秋の佇まいが包み込むのだ。世の規範に背を向けてひたすらに閉じた世界に埋没していく佳品。[投票]
★4夜の儀式(1969/スウェーデン)土壇場での攻守の逆転というモチーフは『魔術師』から10年を経てTVという枷の中で凝縮された。「様式」と「室内」という基調に刹那的に差し込まれる「リアリズム」と「屋外」がニクヴィストの撮影で煌めく。それにしても、この緊迫感は只事ではない。[投票]
★4用心棒(1961/日)一塵の風と共に仲代登壇以降はヒリヒリする腹の探り合いが物語を引き締めるのだが、相対する勢力のバカさが黒澤流カリカチュアの形骸を露呈する。切り落とされた腕を犬が銜えて走る町にしては荒みが足りないのだ。既のところで神話に到達し損ねた。[投票]
★4田園に死す(1974/日)故郷を棄て母を棄てた思いが、自責や懐旧のセンチメンタリズムではなく分析的且つ冷徹な視線で語られる。一方、イメージは超絶に土着的で猥雑であるが又過剰に絢爛で豊穣なのだ。そのアンビバレンツを逆しまに嘲笑するJ・A・シーザーの音楽も肝。[投票]
★4ワイルドバンチ(1969/米)砂塵と血糊と汗と唾液と酒と精液にまみれた西部にモンタージュされた高速度撮影の野郎どもの連帯の機微と哀愁。静と動を頻繁に往還する構成は螺旋状に濃度を高めクライマックスに至る。時代に置かれた物語に役者陣容も高度に適格だった。[投票]
★3インセプション(2010/米)不可能作戦を遂行するプロ集団のリーダーが個人的事情に拘泥してウジウジして展開が間延びし、どっちつかずで尺だけ長い。夢だから何でも有りとは言え4段階の夢中夢の舞台設定に伏線のかけらもない。あるのは絵づらの趣向のみでアホらしい。[投票(18)]
★3マトリックス リローデッド(2003/米)脳味噌にプラグ差し込みデータを送り込めばスーパーマンの出来上がりというのは設定だから我慢しても拮抗すべき現実世界が馬鹿踊りと青い純愛で表象されるしかないのならどうしようもない。100人のスミスに至ってはシャレとマジの境界さえマトリックス。[投票(16)]
★3ダークナイト(2008/米)4人の主軸が織りなす「正義」貫徹の為の「暴力」介在への葛藤には、映画はあやふやな回答しか呈示し得ていない。究極悪ジョーカーに対しバットマンも検事も警部も軸がぶれすぎなのだ。部分的には冴えた演出も長尺を綴じる力には欠ける。[投票(13)]
★3ラ・ラ・ランド(2016/米)冒頭のユニクロ乃至コカコーラCMチックな群舞のマニュアル臭は未だしも展望台でのナンバーの申し訳なタップは新春隠し芸大会めく。総じて圧倒的タレントの欠如が致命的で俺が見たいのは圧倒的な何かなのだ。ラストの視線の交錯はさすがに胸打つが遅かった。[投票(12)]
★3HERO(2002/中国=香港)講談調語りに『切腹』、兵士と馬に『影武者』の影響を色濃く滲ませた極彩色武侠映画。殺陣は本職同士より出来ない役者のそれに誤魔化しの美を見る。チャンレオンを削ってでも我欲を捨て死地に赴くリーの悲愴と達観にこそ焦点を絞るべきだった。[投票(11)]
★3インビクタス 負けざる者たち(2009/米)加被虐に彩られた民族史を統べるポリティカルな手腕をSPの男達の融和描写で茶を濁す錯誤とダメチームの南ア代表が世界の頂点に立つ過程が何ら説得力ないお座なり感。愛すべき役者力を感じる一方救いがたき類型の惰性。寧ろ懐かしきイーストウッド節。[投票(10)]
★3ROCKERS(2003/日)映画を撮るのに何をしたいか明確に解ってることは強みであり、ただただ仲間への思いを刻んでおきたかったということなのだろう。そこに懺悔も禍根も無く真摯なリスペクトだけがあるらしいのが一本気で気持ちいい。陣内が良い人らしいことは判る。[投票(10)]
★3少林サッカー(2001/香港)スーパーマンとか超人が正規ルールのサッカーで普通人に勝っても、やったー!とは思えない。ギャグは真摯なドラマに拮抗する形で極まり、パロディは物語の形成と不可分で意味を為し、CGはアナログと融合して輝く。この映画はそれらの点が少しずつ足りない。[投票(10)]
★3TENET テネット(2020/米)ブラナーが逆行をどう利してるのか不明で、主演コンビがやってることが自作自演の絵解きにしか見えない。ノーランはリアルな世界の軸が見えてないのでスパイ映画ってもガキのお遊びになる。そんなに逆回しがオモロイのか、よかったねとしか言えない。[投票(9)]
★3エクスペンダブルズ(2010/米)前半は暑苦しい親爺どもの幼児会話の応酬に苦笑交じりの声援を送りつつ、スタステコンビの連携も冴えアクションも堪能できるのだが、終盤はもう何がどうなってるのかさっぱりな体たらく。それでも皆でガハハと能天気に笑われりゃ憎めないのだがね。[投票(9)]
★3柳生一族の陰謀(1978/日)普通の芝居をする人達の中で1人大芝居を貫く錦之介に拮抗し得るのはバカ熱い千葉のみで、この父子の相克に収斂するラストは正に傑作。時代劇であろうがナレーションとスチルで相変わらずの『仁義なき』演出を展開する深作節も愛おしい。[投票(9)]
★3ジョーカー(2019/米)社会との関係の中で悪は形成されるとすれば彼は断ち切られたところで足掻いてるだけだし、根源悪だったとすれば描かれた被虐は何だとなる。抑圧が弾け沸騰するゴッサムでの少年ブルースと対峙といった大構えなクロニクル味が取ってつけた風になりつまらない。[投票(8)]
★3ミッション:インポッシブル ゴースト・プロトコル(2011/米)アクション連鎖とコンゲーム的丁々発止が同期するドバイシークェンスを頂点に映画は停滞色が強まる。レアの退場も痛かった。以降、映画はエロスとバイオレンスが廃され挙句お子様映画化し、スペクターもどきの小粒な悪役はパロディでない分尚アホらしい。[投票(8)]