コメンテータ
ランキング
HELP

ぽんしゅうさんのコメント: 点数順

★3運動靴と赤い金魚(1997/イラン)親に頼る発想は端からなく、教師や大人たちに訴える気もなし。まして宗教など・・・。兄ちゃんの驚くべき大人社会からの自立心と現実認識力は、イスラム革命前のイランを20歳まで謳歌したと思われるマジッド・マジディが次世代に託す「力」の象徴だろう。 [review][投票(4)]
★3エッセンシャル・キリング(2010/ポーランド=ノルウェー=アイルランド=ハンガリー)逃げるという行為は黎明期からの映画の基本モチーフのひとつで、古今東西、出つくした感の「ただ逃げるだけ」の話しなど、と期待と不安半々で臨む。スコリモフスキは、物語でも撮影でもなく編集で、それも映像というより音響編集でこの今さらな題材をねじ伏せた。 [review][投票(4)]
★3アンストッパブル(2010/米)意志もなく動く物が、まさに動物へと変貌し疾走し始める序盤から中盤の不気味さに心躍るも、実話がもとだなどと言ってしまったばかりに結末の選択肢は狭まり自らの首を絞める。止まらないものは止まらない!という居直りもまた、今どきの見世物の気分なのだが。 [投票(4)]
★3カムイ外伝(2009/日)「逃げ、追い続ける」ことの視覚的象徴として、ぎりぎりのところでリアルな肉体感覚を残しながらの、文字通り走るカムイと追忍の「身体」の疾走ぶりがスリリングで好い。一方、その結果として逃げる者の心に巣くったという「猜疑心」の方は一向に伝わってこない。 [review][投票(4)]
★3007 慰めの報酬(2008/英)描写としてではなく、物語として有無を言わさぬという点でこのボンドは度を越して暴力的だ。その暴力の根拠が、巨悪に向けられた正義の暴走なのか、女をめぐる悔悟と怨念のなせる技なのかが見えない。理屈の喪失は、確信的なようでもあるし演出ミスにも思える。 [review][投票(4)]
★3エターナル・サンシャイン(2004/米)逆走の疾走感はカウフマンというよりも、エレン・クラスの湿気をたたえた画づらとゴンドリーの精密なフィルム刻みが創り出す間(ま)の妙味であり、脚本の深みはむしろ恋人たらんとする恋人たちと、恋人であることが許されぬ元恋人たちの対峙のさせかたに感じる。 [review][投票(4)]
★3アフタースクール(2008/日)前作に比べてキャラクターの明確化と物語の意味づけが濃くなっている分、逆にその掘り下げ方に物足りなさを感じてしまうのも事実だが、映画として抜群に面白いことに間違いはない。内田けんじは、「純粋娯楽映画」という新分野を開拓しているのではないか。 [review][投票(4)]
★3デス・プルーフ in グラインドハウス(2007/米)女は意識してケツを振る生き物なのか、いや勝手にプリプリ揺れるのが女のケツなのか。頭ではなく、まるで尻で思考しているとしか思えないほど、女の尻と気ままさに満ちている。確かにカーチェイスもまた、ケツを追い、ケツを追われる十分に偏執的行為なわけだ。 [review][投票(4)]
★3ぼくたちと駐在さんの700日戦争(2008/日)大した入りでもない劇場なのに、吹き出し笑いやクスクス笑いがあちこちから聞こえる秀作コメディ。目新しいギャグなど皆無だが、少年たちのキャラクターの明快さが生む爽快感と、それを受け止める駐在さん(佐々木蔵之介)の好演の賜物。要はボケとツッコミの妙。[投票(4)]
★3ラスト、コーション(2007/米=中国=台湾=香港)まあ、「Caution(警戒)」は分からんではないが、「Lust(肉欲)」が何とも中途半端。かろうじてスパイ映画の体裁は保ってはいるものの、前半の純愛青春パートと後半の性愛肉欲パートの突込みがおざなりで、カタチだけのドラマはあっても人間がどこにもいない。 [review][投票(4)]
★3タロットカード殺人事件(2006/英=米)アレンとヒロインが丁々発止を繰り広げる定番パターンは大好きだ。そこには、役者アレンの十八番である男の身勝手さ、意固地さ、ひ弱さの噴出の裏に、自分でもコントロール不能に陥った「愛情」という情を前にした男の戸惑いがいつもあったからだ。 [review][投票(4)]
★3どろろ(2007/日)妻夫木百鬼丸には、血肉を持たず復讐の化身と化した者が放つ負の壮絶さは皆無だが、蒼白美顔が醸し出す虚無があった。柴崎どろろには、戦場の孤児の諦観に裏打ちされたアナーキーさは求められないものの、女が男を演じる健気さがその生き様に上手くダブっていた。 [review][投票(4)]
★3ホテル・ルワンダ(2004/伊=英=南アフリカ)見終わった後、傍観者としての多少の同情と反省が心の中に頭をもたげても、やはり平気でディナーが食えてしまうほどにしか罪悪感が起きないのは、この映画に殺された側の当事者としての思いや声が欠落しているからだろう。本当の痛みは被害者自身にしか描けない。 [review][投票(4)]
★3父親たちの星条旗(2006/米)いたって真摯な作品だと思う。ただ、硫黄島からの帰還兵たちが抱え込んだ苦悩は確かに戦場で受ける計り知れないダメージと戦争の理不尽さを体現しているのかもしれないが、そのメッセージはあまりに自閉的でありアメリカ国内向けの力しか持ち得ていない。 [review][投票(4)]
★3ユナイテッド93(2006/仏=英=米)高度なテクニックを駆使した極めて完成度の高い仮想再現フィルムだ。管制官たちがWTCを始めて目撃するショットなど鳥肌が立つほど上手い。しかし、巧妙かつ慎重に仕組まれた意志と意味の排除が、関係者への作者の誠意なのか覚悟の足りなさなのかはなはだ疑問。[投票(4)]
★3東京原発(2002/日)原発問答に関しては講義のような情報が面白いのであって台詞が面白いわけでなく、後半のサスペンス部は状況は面白いのだが、講義の知識が恐怖にまで高まる緊張感があったかというとそうでもない。ということは、つまらない話ではないが面白い映画ではない。 [review][投票(4)]
★3疾走(2005/日)死を実感することなくその意味すら曖昧な少年にとって自ら命を絶つことがリアルな行為であるはずがなく、であるなら残された道は生かされつつ生きるしかない。だから、平成の少年少女たちは執拗なまでに「人とつながること」を求め続けるのだろう。 [review][投票(4)]
★3誰がために(2005/日)テーマを社会問題としてより心情として捕らえようとしているのだろうが、心象風景としての「風」の描写が既視的で登場人物の心を語るには及ばない。抑制の効いた演出手法には共感するも、時おり混じる陳腐なセリフにも興醒。期待を秘めた作家の誕生ではある。[投票(4)]
★3NANA(2005/日)大谷健太郎監督の、何事も中庸を貫くみごとなバランス感覚。登場人物にはできるだけ深い傷を負わせ、観客には痛みがほど良く想像できる程度に語られ、両者に共感が生まれたら観客が悲鳴をあげる前に優しく癒す。典型的みんな辛いけどイイ人よね映画。 [review][投票(4)]
★3狐の呉れた赤ん坊(1945/日)決してスマートではないけれど、たとえ話がどんなに定型的であろうと観客をぐいぐいと引き付けて見せきってしまう役者力。浮世絵の「写楽」を連想する阪妻のケレン味溢れる動きや、無骨で滑稽な顔のアップ。これが映画における男優の華というものだろう。 [review][投票(4)]