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disjunctiveさんのコメント: 点数順

★4故郷(1972/日)民子物が倍賞千恵子のアイドル映画ゆえに、男はつらいよが潜在的に持っている近親相姦的な不穏さが、渥美清の間男的な配役によって本作では美事に露見していて、その緊張が全編を引き締めている。 [review][投票(1)]
★4雪の轍(2014/トルコ=仏=独)オッサンがMacBookで毎晩ブログ更新に勤しんでいる。この戦慄すべき俗物根性の発露に語り手の自覚はあるのか。彼が姉に糾弾されるように、確かに語り手の自意識はあって、主人公と語り手を同じ倫理水準に置けない類の話になっている。 [review][投票(1)]
★4イントゥ・ザ・ストーム(2014/米)竜巻を周回する巨大物の滞空感に愛嬌がある。莫迦という概念が目に見えるものとして表象されているのである。物体の運動によって担われた“莫迦”は、タイタス号が竜巻の中心に到達するや、今度は光彩によって表象され詩的な催涙喜劇となる。 [review][投票(1)]
★4鬼龍院花子の生涯(1981/日)人間の高潔さが他人との関係によって定義されない。その孤立が契機となって、あらゆる人間が場違いに見える。立派なのは岩下志麻と夏木マリであるが、喜劇の挙動で話を沸かし続ける仲代達矢と志麻の高潔さが釣り合わない。彼女は鬼政のどこに惹かれたのか。 [review][投票(1)]
★4殿、利息でござる!(2016/日)松田龍平がサイコパスか否か。これが争点となることにより、何かが恣意的であることの恐怖が地味な政策過程の叙述を政治スリラーと文明批評に変える。 [review][投票(1)]
★4スポットライト 世紀のスクープ(2015/米)非当事者という職業の特性がキャラクターを埋没の危機に曝している。彼らの造形が空間の構成に沿って彫琢される一方で、その流動性に抗すべく造形の記号化は進み、物語はオッサンらの魅惑的な着せ替えショーと化す。話は棚ボタである。[投票(1)]
★4BRAVE HEARTS 海猿(2012/日)この堂々とした航空パニック物は堂々とそれをやるほど海保とは関係のない話になってしまう。また、奉職概念に対する感傷的なアプローチは本作をきわめてドメスティックなものにしている。 [review][投票(1)]
★4ドン・ジョン(2013/米)どんな言動ならば嫌悪感を引き出せるのか。どんな振る舞いならば知性を表現できるか。人物造形の具体的な裏付けを執拗なほど気にしていて、しかもそれに成功している。『(500)日のサマー』の弱さが気になったのではないか。 [review][投票(1)]
★4テロ,ライブ(2013/韓国)巨大な構造物が崩れる実感を、その巨大なる感覚を維持したまま、微視的な視野で把握する作業は一種の矛盾である。モニターに映る倒壊しつつある物体が、直に破壊を及ぼすに至るまでの重々しいタイムラグが、その矛盾を乗り越え、かかる感覚を表現している。 [review][投票(1)]
★4フライト(2012/米)フィクションとはいえ、依存症の救済のために人死にを出すとなると、そんな大事をせずに断酒会に集う人々はどうなるのか。体験を書籍として売り物にするデンゼルの神経もわからない。入試のエッセイ目的で親父と和解する息子もどうかと思う。 [review][投票(1)]
★4ドラッグ・ウォー 毒戦(2012/香港=中国)凡人こそ殺人マシンとする世界観が、香港人のナショナリズムを仮託されるかたちになっている一方で、凡人の報復を喰らった公安のオッサン(スン・ホンレイ)は、なぜゾンビ化してまで戦うのかという、不思議な情熱で物語を普遍化する。 [review][投票(1)]
★4恋のロンドン狂騒曲(2010/米=スペイン)キャラクターの抱える課題が、当人のネガティブな性質に去来するならば、課題は効果的に発現する。 [review][投票(1)]
★4デルス・ウザーラ(1975/露)尻尾を振る子犬のような「かぴた〜ん」の媚声をうれし恥ずかしく享しめるのは、政治的な正しさから無縁だからだろう。危機の創造と展開にあたっては、有無も言わせず事象を受容させるような、純化した技術論の迫力がある。[投票(1)]
★4追想(1975/仏)メタボを戦闘機械にするのは、自身がメタボであるロベール・アンリコの邪念であるが、フィリップ・ノワレはこの邪念に対応しながらも、やはり体は正直で、交戦後に草むらに転がり喘ぐ場面の尺は長い。 [review][投票(1)]
★4ゼロ・グラビティ(2013/米)ペース配分が気になった。序盤の、クルーニーの白馬王子化を超える感傷がなく、結果、ソユーズ内の愚痴が、コンフリクトとしては長く機能しすぎな印象を受ける。この重さは、サンドラの性格造形に疑念を及ぼす。 [review][投票(1)]
★4最高の人生の見つけ方(2007/米)そもそもこの金満家のオッサンには人生の課題を見込めないのだから、物語は奇妙な背馳を始める。あくまで、何事かが解決されるという感覚が先行するのであって、解決されたのだから、課題は確かにあったのである。 [review][投票(1)]
★4別離(2011/イラン)深刻な課題とした地理の遠隔性が、エキサイトする話に引きずられ、やがて人々は縦横無尽に移動できることになる。かかる曖昧さは、本作の緊張の依拠となる子どもの罪悪感をわれわれが想像し共有する能力をも奪いかねない。 [review][投票(1)]
★4悪の教典(2012/日)仕事ができることの徳性を、理念的な舞台を設定することで、抽出しようとする志向は、生徒らを技術的特性で分類して組織化する試みからも、明らかだろう。かかる徳が、徳とは全く反する現象から浮かぶ様には、独特の眩惑がある。 [review][投票(1)]
★4マレーナ(2000/米=伊)興行上、ファシズムの農村近代化を検討する立場を避けねばならないのは理解できるが、他に家計の手段があったと思わせることが話をスポイルするとすれば、近代化の肯定以外の何物でもなくなるのではないか。[投票(1)]
★4つぐみ(1990/日)牧瀬理穂の屹立とした顔面は、光源によって趣を変えて行く表情筋の地誌である。90年代前半型デューク真田がそこに投じる不穏な影の往来が、われわれの欲望を、条例違反のボーダーライン上で縦揺させる。[投票(1)]